【緋彩の瞳】 2014年07月12日

緋彩の瞳

2014年07月の更新履歴

2014年06月2014年08月

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 END

 概要: 「ちょっとは元気になってきたね」 「ん、そう?でも、案外さっぱりしてるのよね……」 あれから季節を1つ通り越した。 レイちゃんとみちるさんは、ゆっくりゆっくりと距離を離していって、あまり会わなくなった。 「みちるさんは元気?」 「電話ではね。明日、久しぶりに会って一緒にご飯食べるのよ」 「そっか」 少し暖かくなってきた。 もうすぐ夏が始まる。 重たかった服が薄着になるように、太陽を迎えるように、今のレイちゃん...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 ⑥

 概要: 「レイ、どこにいるの?」 朝、昨日の夜レイから忙しくてマンションに行けないと連絡をもらい、気になって神社に様子を見に行くと、活動するには早い時間なのに誰もいない。 『おはよう、みちるさん。ちょっと用事があって東京じゃないところにいたのよ。今から帰るの』 「東京じゃないってどういうことなの?何をしていたの?」 『ぶらり1人旅みたいなもの。途中で美奈と合流したけど』 どういうことだろう。東京じゃないところで...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 ⑤

 概要: アルテミスから“コロニス”が何者なのかを調べようとしていたと聞き、レイちゃんの携帯電話に電話をかける。きっと繋がらないだろうと思っていたのに、あっさりとレイちゃんの声が聞こえてきた。 「今どこ?」 『どこかわからない』 「わからないって何よ?」 『電車に乗って、適当なところで降りて、また知らない電車に乗って……乗り継いで行けるところまで行ってみたのだけど』 「いつからそんな、ぶらり1人旅なんてする人になった...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 ④

 概要: 「お帰りなさい」 「ただいま」 「疲れてるでしょう?お風呂、沸かすわね」 みちるさんは小さく微笑んで、一緒に入りましょうと誘ってくれた。 バスタブに深く腰を下ろすみちるさんに手招きされて、そっとそのしなやかな両腕に抱きしめられる。 「さっき、美奈子に会ったのよ」 「あぁ。ごめんなさい、1人で食べるのもつまらないし、勝手に呼んじゃったの」 「構わないわ。神社に帰るのをとどめたのは私だから」 みちるさんは、気...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 ③

 概要: 「レイ」 ここのところ、ほとんど毎日コロニスの夢を見る。思い出しただけで息が詰まるほど恥ずかしい記憶も鮮明にあるというのは、迷惑なことかもしれない。コロニスを心から愛して、そしてコロニスから愛されていたことは事実だけれど、現実の世界にコロニスはいない。いるのは彼女の妹だったマーズの記憶を持たないレイ。 何も知らないレイ。 「みちるさん」 彼女はあまり人に微笑みを見せない。ストイックで冷めた印象が強いし...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢 ②

 概要: どうして夢に彼女が出てきたのだろう。あまりにも遠い前世の記憶なのに、どうしてこの体は今もその全てを覚えているのだろう。 鮮明に。 優しいほど、それは痛い記憶だというのに。 「…どうかしたの?みちるさん」 蘇る記憶が体温を上げてしまいそうで、何度も寝返りを打って自分にごまかしを求めていると、隣で眠っていたはずの彼女まで起こしてしまった。 「大丈夫よ。ごめんなさい」 「ううん、気にしないで。お水でも持ってき...

ポイ捨て小説] 愛が散る夢

 概要: 「あら?」 誰かがテレポートしてきたことを五感でキャッチしたネプチューンは、想像していた人数が多いのを見て、思わず笑みをこぼした。 「付いてきちゃって。ごめんなさいね」 「いいえ」 その人の左腕にしがみついて、ネプチューンから隠れようと顔を背けているマーズは、引っぺがされて前へと押しやられる。 「マーズ、ご挨拶は?」 「ご…ごきげんよう。プリンセス・ネプチューン」 まだ成人していない可愛らしいほっぺと、気...

ポイ捨て小説] 霧のように END

 概要: 「みちる、どれくらい前世のことを覚えてる?」 絡めた指を一度も離すことなく、2人はタクシーに乗り込んだ。行き先を告げるみちるに、レイはもちろん付いてゆく。 「戦士として覚醒した時は、それほどはっきりと覚えていなかったわ。プリンスとプリンセスの顔を知っている程度。でも、あなたを見て思い出したの。あなたのこと。あなたが私のものだったこと」 レイはみちるの肩に頭を乗せた。 「私、前世のこと何も覚えていなかっ...

ポイ捨て小説] 霧のように ④

 概要: 開場30分前、レイはチケットの半分を切り取った係員に自分の名前を告げて、楽屋にお祝いの花を渡した。カサブランカの花束の中に入れたメッセージカードには、レイの名前ではなくかつての自分の名前を書いた。そして受け取り主を海王みちるではなく、彼女の前世の名前を書いた。 裏から回して手に入れたチケットのため、席はそれなりにいい席だった。著名な人ばかりに囲まれても、レイはただ舞台の幕が上がる瞬間だけをじっと待ち...

ポイ捨て小説] 霧のように ③

 概要: 『ネプチューン』 レイは心の中でその名前を繰り返す。鼓動が体を小刻みに震わせ、発熱に似た気だるさは、けれど、嫌じゃない痛みを伴っている。 「でも、ネプチューンが転生しているとは限らないわ。ネプチューンは外部太陽系の戦士。もし地球にいるのなら、それは何かしらこの地球に危機が迫っていると言うこと。いてはいけないのよ」 外部太陽系といわれても、ピンとこない。レイはただ頷くだけに留まった。 「ありがと。でも、...

ポイ捨て小説] 霧のように ②

 概要: 戦士になって初めて彼女と知り合って、気心知れる仲からいつの間にかレイは彼女を傍に置いておきたいと思い始め、それはたぶん愛じゃないけれど、他人から見れば仲睦まじく見えるのは仕方がない。 「ねぇ、美奈」 「ん?」 「…私に恋人いたかしら?」 「何言ってるのよ、亜美ちゃんがいるじゃない」 「あ、そうね。2年経ってるわ」 「なにそれ。倦怠期?」 レイは美奈子に鋭く突っ込まれて、“別に”と返した。 「今だって、なんだ...

ポイ捨て小説] 霧のように ①

 概要: あぁ、滅びる悶えのその刹那 美しい星の終わり あなたの元へとこの胸の星はたどり着くのかしら あぁ、けれど私は必ずあなたの元へ逝くわ 再び目覚めのときが来るのなら 必ずあなたの胸に舞い降りるわ あなたの元へ あなただけのために 私はまた生まれ変わる 夢を見る 彼女の髪に触れ 彼女の頬に触れ 彼女のうなじをなぞり 彼女の胸の鼓動を確かめるように身体を預け 目が覚めるとその温もりを与えてくれる人の顔さえ覚えていない。...

ポイ捨て小説] CHANGE END

 概要: 「みちる、TAから電話」朝、学校へ行こうとしてせつなに呼び止められたみちるは受話器を受け取った。「・・・すいません、体調が悪いみたいで」どうやらここ数日、レイが学校にきていないらしい。またサボり癖が出てきたのだろうか。保護者ではないけれど、親しいということを学校側が知っていて、わざわざ電話してくるとは。「みちるたちが悪いのよ」「いい加減、教えてくれてもいいじゃない。元気になったかと思えば、急に落ち込...

ポイ捨て小説] CHANGE ⑦

 概要: 「何?」「昼、屋上に来るだろ?」「なぜ?」「話があるから」「私にはないわ。どいてくれない?」朝、下駄箱ではるかに行く手を塞がれたレイは、忘れていた苛立ちがまた募ってきた。土曜日、日曜日と、美奈子として両親と思う存分過ごした満足感と後悔と。とにかく苛立っている。「迎えに行くから、嫌でも連れて行ってやる」「悪いけど、昼は一人で食べることにしているの」初日は屋上ではるかたちといたけれど、それが美奈子とし...

ポイ捨て小説] CHANGE ⑥

 概要: 5日間のテスト週間も終わり、レイは美奈子の名前でテストを無事終わるとクラウンに来ていた。テストから開放された十番高校組み全員揃って歩く。もちろん、はるかもみちるも。「美奈子、テストが終わったのに元気ないわね。そんなに散々だったのかしら?」「そういうわけじゃないわ」学校を出てから一人じゃなくて、ずっと仲間達と一緒に歩くということが嬉しいようでちょっと複雑で。「みんなー!」パーラーに入ると、レイの姿を...

ポイ捨て小説] CHANGE ⑤

 概要: 「おはよう、美奈子ちゃん。どうしたの、こんなに朝早く?」まことの驚く顔を見て、やっぱりもう少し時間を遅めにすればよかったとレイは思ったけれど、教室の場所やら、靴箱の場所やら聞いていないことがたくさんあったから、早く来るしかなかった。ちなみに、出席番号は1番だった。当たり前か。「ちょっとね」「今日からテストだよなー。勉強した?」「え?えぇ、やって・・・ないに決まっているじゃない」「だよね、美奈子ちゃ...

ポイ捨て小説] CHANGE ④

 概要: ...

ポイ捨て小説] CHANGE ③

 概要: 「ダメじゃないか。ちゃんと乾かせよ」美奈子はタオルでパンパン髪の水分を拭いながらリビングに向かうと、キッチンに立っていたはるかが、ちょっと怒った口調で近付いてきた。「乾かしているでしょう?」「ダメ。風邪引くよ」だって、ドライヤーがどこにあるのかわからないだろうが。美奈子は鋭く突っ込みたかったけれど、はるかがリビングを出て、わざわざドライヤーを持ってきてくれた。律儀にコンセントまで挿してくれて、渡さ...

ポイ捨て小説] CHANGE ②

 概要: 「みちるさん、どこへ行くの?」車の中で美奈子は、隣に腰を下ろしているみちるに尋ねた。「どこって、家に決まっているじゃない。今日は土曜日よ?」土曜日って何があるだろう。あぁ、夜の音楽番組にお気に入りのアイドルが出るけれど、レイの格好でそんなものを見るわけにはいかない。後で自分の家に電話を掛けて、ビデオを撮ってもらわなければ。美奈子は首を傾げる。「とにかく、まだ本調子じゃないみたいだから、ゆっくり休ん...

ポイ捨て小説] CHANGE ①

 概要: これはいったいどういうことなんだろう。美奈子はとなりのベッドで眠っているとても馴染みのある顔をマジマジと見つめて、それでもやっぱり理解不能でパニックになっている。「レイ、まだ身体中アザだらけなんだし、今は横になっておいたほうがいいわよ。美奈子もすぐ目が覚めるわ」「・・・美奈子・・・」あぁ、やっぱり。まさか自分に生き別れの姉妹がいるとは。いや、でもさっきみちるは“レイ”と言った。「みちるさん」「何?」...

みちる&レイ小説[幼馴染]] ラヴ・サンドウィッチ END

 概要: きっと美奈子は、日付が変わる瞬間をレイと過ごしたくて電話をかけて来たのだろう。 出てしまって余計な喧嘩の種をまいたようだ。 「美奈、明日は大丈夫よ。学校が終わったら会いましょう」 『今日の夜会わないと意味がないでしょう?!!!!!』 漏れ聞こえてくるのは、レイが携帯電話をずいぶんと耳から遠ざけているから。美奈子が怒るのも無理はないかもしれないけれど、レイが会えなかったのはみちるのせいに違いはない。 「...

みちる&レイ小説[幼馴染]] ラヴ・サンドウィッチ ②

 概要: レイちゃんの携帯電話を何度も鳴らしているのに、全く出ない。たまに、だけれどこういうことがある。携帯電話を忘れたり、あるいはうるさいとか言って電源を切っていたり、充電を忘れたりしている。通信気を使えばいい話ではあるけれど、アルたちに便利な道具として私生活で使うなとわりとよく怒られる。これは最終手段として残しておかなければならない。 「まったく。今日はどこで何をしているんやら」 放課後のクラウンに姿はな...

みちる&レイ小説[幼馴染]] ラヴ・サンドウィッチ ①

 概要: 『あぁ、レイ。やっと捕まえたわ』 「………やっと?…」 やっと。 そういえば、見たこともない番号からの着信が確かにいくつも並んでいた。それが国際電話だということになんて気が付くわけでもなく、何となく放置していた。 そして今は朝の6時。 目ざましだと勘違いをして、伸ばした先にあった携帯電話の通話ボタンをうっかり押してしまって、この声。 『ごきげんよう、レイ。今は朝?』 「深美ママ……何?」 まさか、この前のちびち...

ポイ捨て小説] 炎   SASYONARA

 概要: つまらないことだと、あなたは笑った。人を好きになることに理由はないと。 「悲しい顔、するなよ・・・」 別れとは、思ったほどに痛みがないことを知る。最後のキスもそれは感情のないもので、みちるにとっては気持ちいいものでも悪いものでも、どちらでもなかった。 「はるか。私が好きになった人のこと、知りたいとは思わないの?」 「知っているよ」 そう言って、彼女は涼しく笑う。 「レイだろ?」 「……気づいていたみたいね...

ポイ捨て小説] BLUE END

 概要: 「みちる」「レイ、遅くってよ」いつものように同じ公園の同じベンチで、みちるはレイを待っていた。静かな公園には周りに誰もいない。レイの頬にみちるの唇が触れる。「行きましょうか」挨拶のように交わされるキスは、レイが忘れていた人の面影を少しずつ削り取ってゆく。二人寄り添って歩くことをレイは不自然には感じなかったけれど。少し違和感を覚えた。それは忘れていた大切な人との違和感だということに、気が付くことがな...

ポイ捨て小説] BLUE ②

 概要: 「ごきげんよう」案外再会はすぐだった。3日後また胸騒ぎがしたからだ。急ぎ足で公園へ向かうと、やはりそこには手帳をじっと見ているレイがいた。「こんにちは、みちるさん」顔色もずいぶんよくなっている。みちるはとなりに腰を下ろした。「どうなの?」「……家中を探してみたら、この子以外にも沢山、知らない人と写っている写真がありました」「そう」「それで、制服で写っているのもあって、その学校を調べようと思ったんです...

ポイ捨て小説] BLUE ①

 概要: 胸騒ぎというのは、いつも、ある日突然だ。みちるは水色のセーラーに掛からないように、アクアマリンの髪を、1つに束ねた。「いってらっしゃいませ」黒塗りの国産車を降りて、執事に頭を下げてもらうと、まるでその場所だけが切り取られたような、とても豪華な校門をくぐった。都内でも、また日本でも有名な女子校は、みちるには特に刺激もないものだった。ずっと変わらない顔ぶれ。自分の能力を過大に評価してくれて、融通が利く...

ポイ捨て小説] One Way, No Way

 概要: 「知ってる?あのTAのお姫様に彼氏がいるって噂」 「聞くところによると、雨の日に肩を抱かれてひとつの傘に入っていたらしいわよ」 「どこぞの御曹司かしらね?」 「金持ちで美人だもの、選び放題よね」 TA女学院ではない制服の少女たちが、ヒソヒソとは言い難い声の音量で噂話に花を咲かせている。このあたりの学生たちが口にする、TAのお姫様なんてレイのことに決まっている。 “お姫様”は、うらやましさ、嫉妬、憧れ、いろんな...
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