【緋彩の瞳】 2014年08月

緋彩の瞳

2014年08月の更新履歴

2014年07月2014年09月

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]] 溢れる涙の愛しさに ④

 概要: 「……へぇ。なんだ、レイって優しいのね」自動販売機の前のレイは、飲み物をすでに2つ買っていた。紅茶とオレンジジュース。「……何がよ」「別に。それより、何よあのメール」「馬鹿に馬鹿って送っただけ」「二日間メールが来なくて寂しい、っていう意味でしょ?」レイは何も答えない。黙ったままふたつのペットボトルを小脇に抱えて、次の飲み物を買おうとしている。美奈子は持っていた小銭をコイン入れに通した。「レイは何を飲む...

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]] 溢れる涙の愛しさに ③

 概要: 「……どうした?」「別に、何でも」「そう?顔に書いているけれど、相談に乗って欲しいんじゃないの?」「……別に」土日、美奈子からはメールも電話も来なかった。謝ってくるとか、文句を言ってくるとかそういうことを想像していたけれど、美奈子とお揃いの携帯電話は、買ってから初めて一日中、美奈子の歌声の着信が鳴らなかった。怒らせたままなのだろう、と言うことはわかった。何も期待しない、と言い放った美奈子の顔を思い出す...

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]] 溢れる涙の愛しさに ②

 概要: 「……私はマーズじゃない」「だから何よ」「抱いてなんて、私は一度も言ってない」「だから、私は“マーズは”と言ったわ」でも、レイはマーズだ。確かに前世を持っているけれど、それを記憶していない。レイが美奈子を好きだと思うのは、美奈子がヴィーナスだからじゃない。前世のことなんて知らないし、知りたくもない。それにとらわれてしまえば、美奈子が望んでいるのは自分ではない気がしてしまう。美奈子がレイのように前世を記...

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]] 溢れる涙の愛しさに ①

 概要: 『ヴィ…ヴィナ…』息をさせてくれないほどに唇を求め、愛に溺れる。彼女の背中を指先でなぞりながら、そっとリボンを解く。それにも気づかず、マーズはもっとキスをねだる。『ヴィナ…抱いて………愛して』もっと求めて。もっと愛して欲しいとねだって。『愛してる、マーズ』『……死ぬときに、私の名前を叫ぶくらい?』『当たり前じゃない』変なの『……ウソツキ』そんなつぶやきが聞こえた気がしたけれど、聞こえなかったふりをする。ヴィ...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 優しさ小さじ1杯 END

 概要: 次の日の夜。うさぎが呼びだした18時を30分過ぎている。「亜美ちゃん、うさぎは本当にここに来るように言ったの?」こんな時間から3人を呼びだす事情って何だろうか。誰かの誕生日と言うわけでもないのに、何のサプライズをするつもりなのだろう。「あの…うん。もうちょっと待ってみよう」「電話したら?」「さっきしたんだけど、繋がらなかったんだ」「はぁ?」「レイ、とりあえずさ、うさぎは遅刻する性格だし、待ってみようよ」...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 優しさ小さじ1杯 ①

 概要: 黒木ミオがうさぎ騙して美奈子のライブやっちゃうAct30「……え?」学校から帰ってくると、鳥居の傍に1匹の…ひとつのぬいぐるみがいた。「アルテミス」「やぁ、マーズ」いつもの黒い方じゃない。レイはアルテミスを抱きあげて、その持ち主であるアイドルもいるのかと辺りを見渡した。「あ、いや、美奈子はここに来てないよ」「1人で来たの?」「そうだよ。なんていうか、行って来いって言われたんだけどね」「ヴィーナスに?」白猫ぬ...

みちる×レイ小説] 妬かれる幸せ

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。「れ~いちゃん!!」チリンチリンという自転車のベルの音が後方から聞こえてくる。けれどもそれよりも大きな音量で自分の名前を呼ばれて、レイは振り返って誰なのかを確認するという作業をせずに済んだ。凄い勢いでレイを追い越した自転車は、停止予定位置をオーバーして、両の手で必死にブレーキを掛け、地面とスニーカーを摩擦させて若干の煙を吹かせている。相...

その他・小説] たとえ相手が子供でも

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。「ネプ、抱っこして」ドレスの腰の部分より少し低いところを引っ張るかわいいプリンセスは、ネプチューンをとても困らせる。「もぅ、……マーズったら」食べちゃいたいくらいの白いほっぺた、撫でても撫でても指の間をすっと通り過ぎる綺麗な髪、ネプチューンしか映らない小さな瞳に、首にまとわりついてくる細い腕。「ネプ」そして、鼻をくすぐる幼い匂い。抱き上げ...

その他・小説] もう少し側に

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。 「プルート!」「…どうなされました?マーズ」四守護神になって以来、もう2度と会うことが許されなかったはずの彼女は、あの頃のような深紅のドレスではなく戦闘用コスチュームに身を包んでいた。本来なら誰も立ち入ることの許されない時空の扉と自らの孤独を守る心に存在する、唯一の他人。自分がこの世界でただ独りではないということを証明して、そして同時にそ...

美奈子×レイ小説] 大人気なくても

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。お勉強の時間だというのにプリンセスの姿が見えない、と、さっきからマーキュリーが血相を変えてパレスの中を走り回っていた。まぁ、おおよそどこに行っているのかくらいは簡単に想像が付くのだから、マーズはそれほどあわてない。プリンセスがいないということは、彼女も一緒というわけだから。プリンセスが命の危険にさらされるような可能性はないだろう。「ヴィ...

美奈子×レイ小説] 二人だけの場所へ

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。大好きだとあなたは言った大好きだと私は言えなかったそれが自分の弱さだと十分にわかっていたあなたもそれをわかっていただから、あなたが見せた笑顔が本物じゃないこともわかるそうやってわかりあいすぎるからそうやってわかりすぎる私とあなただから私たちは重なりすぎることが許されないって想うのそう想う私の気持ちをわかるって言うあなたが愛しいのとっても...

美奈子×レイ小説] 隙だらけの君

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。 「レイちゃん、早くっ!」「わかってるわよ」階段を駆け上る美奈子に腕を引っ張られたレイは、今にもバランスを崩して顔面を階段にぶつけそうなくらいだった。引っ張られた腕が痛そうに見える。「おーい、そんなに急がなくてもチケットはちゃんと手に入れているんだけど」僕はその二人の姿を、階段を上りきるまでゆっくり眺めていてもよかったんだけど、あまりにレ...

その他・小説] 以前は気にしなかったのに

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。それは、この心に生まれた恋心を自覚した瞬間に訪れてしまった。その瞬きほどの瞬間で恋を知り、失恋を経験した。「レイ」あ、まただわ。トクン…。わずかだけれど、その名前を聞いて体は反応を示した。「なぁに?」「明日は9時よ」「何度も聞いたわよ」「日曜日はお寝坊さんのあなただから、口をすっぱくしているのよ」緑黒の髪を手に取り、みちるさんは遠慮なくそ...

その他・小説] 手を振った先

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。プリンセスがお生まれになったその日、まだ言葉をすべて理解できるか出来ないかというくらいの年齢の少女たちはそれぞれの星の輝きを胸に、月の船からこのシルバー・ミレニアムに降り立った。「ネプチューン、案内ご苦労様」あまりに大勢の兵士たちに出迎えられた幼い少女は、お世話係りネプチューンに抱かれたまま顔をずっと埋めている。「ウラヌス、あなたのお姫...

みちる&レイ小説[幼馴染]] 「友達」でも油断しないで

 概要: ◆嫉妬まじりの恋のお題「恋したくなるお題」からいただきました。「ねぇ、レイ」丁寧に爪を磨く友人は、視線をあげずに名前を呼ぶ。今のレイの正しい位置は、ヴァイオリニストの爪>幼馴染「んー?」別に爪ごときになんて嫉妬しない。レイだってソファーに寝転がって分厚い小説を広げているわけだし。視線だって上から下に行ったり来たりしているわけだし。「あなた最近、忙しそうにしているわね?」「そうかしら?だったらここで...

みちる×レイ小説] 聖なる夜に END

 概要: みちるだけがいない、いつものメンバー。アルコールの入っていないシャンパンを飲み、急いで作ったらしいまことのケーキを食べ、相変わらずのうさぎと美奈子の笑い声に時間が経つのも忘れて大笑いする。いつでもこんなに楽しい時間を持とうと努力をすれば、そこには温かさがある。自分でも羽目をはずしていると言う自覚はありつつも、でもどうしようもなく楽しい。「怒りんぼうの・サンタクロース~♪」「うさぎ、それはあわてんぼ...

みちる×レイ小説] 聖なる夜に ①

 概要: 会いたくても会えなくてもあなただけを想ってる「……何です?」「ですから、クリスマスの予定ですわ」取り立てて仲がいいとは思っていないクラスメイトに声を掛けられて、レイは本当に日本語が分からないといわんばかりに首をかしげた。「クリスマス?今年は24日が土曜日だからミサは22日にするってシスターがおっしゃっていたじゃない」「火野さん、学校の行事をあなたに確認しているわけじゃありませんのよ」頭の中で今週の予定...

みちる×レイ小説] 絵文字乱用御用心?! END

 概要: ほたるを寝かしつけてリビングに降りると、せつなとはるかがシャンパングラスを傾けていた。 「みちるも飲む?」 「えぇ」 ほたるの前ではお酒を飲む姿を見せないと言う約束。賑やかな食卓も、小さな子一人いないだけで落ち着いた空気が流れだす。 「明日、お花見にでも行こうかってせつなと話をしていたんだけれど。どうする?」 グラスにシャンパンを注ぎながら、はるかはみちるが来る前に2人で話をしていたことを簡単に教えてく...

みちる×レイ小説] 絵文字乱用御用心?! ①

 概要: 「絵文字?」 「……うん、そう。怖いんだよ、レイちゃんのメール」 「怖いって、失礼な」 桜はもう満開と言ってもいいほど美しく咲き誇っている。それなのに、思いのほか気温が上がらない。スプリングコートの中は桜色のシャツと薄い白のセーター。それでも、外に出るには寒さに震えてしまう。寒さから逃げたレイが入ったクラウンには、美奈子とうさぎがアイスの入ったパフェを頬張っていた。季節というものを問わず、2人はいつも同...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 一緒に……END

 概要: 「そっか。まぁ、これからもたまにはクラウンに来たら?うさぎたちも喜ぶわ」「……うん。いいよね、あぁ言う感じ。カラオケさせられるのはちょっと嫌だけど、でも、仲間でワイワイするのって……なんか、いいなって思う」1人でいなければいけなかったあの頃。命を捨てても守らなきゃいけないと思っていたあの頃。守る理由が違うレイと対立して、でもレイの言っていることが今ならわかる。仲間を守る。前世からの因縁とかじゃない。大...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 一緒に……③

 概要: 「温かいうちに食べましょう」カップルがやたら多いベイサイド公園の中は、ライトアップされた観覧車を眺めるにはきっと、凄くロマンチックなデートポイントなんだろう。よくわからないけれど。レイは空いているベンチに腰を下ろして、美奈子との間にハンバーガーの紙袋を置いて、フィッシュバーガーとチキンバーガー、ポテトを取り出した。「どっちがいい?」「レイは?」「うーん、どっちもいいなって思ったから買ったのよね。美...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 一緒に……②

 概要: 「ちょっと!遅いわよ!」扉が開いてレイと亜美が満面の笑みを浮かべながら階段を下りてきた。美奈子は背中にべったりくっついて離れないうさぎごと椅子から立ち上がり、レイに向かって抗議の声を上げる。「そう?30分で帰って来たわよ」テーブルの上に置かれた大きな買い物袋。亜美の両手も同じ店の紙袋がぶら下がっている。「レイ、何してたの?」「だから、亜美ちゃんと遊んでたの。雑貨を見て回ったりね」レイは紙袋からクッシ...

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]] 一緒に……①

 概要: 友情です。NOT LOVE 単発...

ポイ捨て小説] 希い(ねがい) you were a half of me END (to the beginning)

 概要: 大きな庭は秋に咲くバラが小さな蕾を作っていた。定期的に噴水の音も聞こえてくる。みちるさんはマンションを引き払い、何もかもをこの場所でスタートさせている。緋彩が住んでいた部屋は、元から何もなかったような空き部屋になっていたらしい。十番高校の美奈の机の後ろには、違う人が座っていて、誰も麻倉緋彩という人がいたことを覚えていない。初めから存在などしていなかったように、世界は今日も時を刻んでいる。だけど、ひ...

ポイ捨て小説] 希い(ねがい) you were a half of me ⑩

 概要: 「レイ」身体中に巻かれた包帯。静かに上下する胸は生きていることを伝えてくれるが、返事はない。細くなった身体に短くなった髪。しばらく会わない間に変わり果てたその姿は、緋彩が…コロニスだけがそうさせたのではないということは、十分にわかっていた。怪我をさせたのも、髪を切った理由も、何もかもみちるが大きく関係している。レイがみちるを好きでいてくれたから。握りしめた冷たい手。うっすらと自らを傷つけた痕を残し...

ポイ捨て小説] 希い(ねがい) you were a half of me ⑨

 概要: フォボスとディモスの気配を感じながら、その方が胸を躍らせながら鏡を見つめる姿を、対になる様にして見つめていた。「あっ……美奈!ちょっと、つまみ食いしないでよ!」「いいじゃん、ちょっとくらい。そんなにみちるさんの誕生日会が楽しみなわけ?私の時なんて、市販のケーキだったのにさ。どうしてみちるさんだと手作りなのよ」「い、いいでしょ……」「ふん!綺麗に髪もセットしてさ~。いつまで鏡見てニヤけてんのよ」「うるさ...

ポイ捨て小説] 希い(ねがい) you were a half of me ⑧

 概要: 「ここは?」『ここは星の終焉と再生の場所』「私は、……死んだの?」コロニスの攻撃を何度も受けた身体は、生身の人間の身体は、やはり限度を超えていたのだろう。命を引きかえにして守りたいと思っていた仲間たちを、悲しませてしまうことになったのではないかと思うと、情けない気持ちだった。それでも、誰ひとり死なせずに済んだのはよかった。『あなたがここに来るのは2度目です。覚えていますか?』「……前世の頃?」星の終焉...

ポイ捨て小説] 希い(ねがい) you were a half of me ⑦

 概要: 振りあげている剣の照準をみちるへ合わせようとしたその時、背中から熱い衝撃が襲う「ありがとう……コロニス」いつも、ごめんなさいと心苦しそうにしていたマーズがありがとうと囁いた「マーズ……」「愛する私の半神。…もういいわ。約束通り、私はここに戻ってきているでしょう?」「マーズ……」「ここにいるわ」あぁあぁ希いが……身体を縛り付ける希いから解放されるこの時をどれほど待ちわびたことかもう夢と言う残酷な想いを抱くこ...

みちる×レイ小説] 暑い熱いキス END

 概要: 「お目覚めかしら?」 …… ……… 「おはよう、せつなさん」 「おはようって言うけれど、今は夜よ?」 なんでせつなさんがいるの? そう思いながら、自分がどこにいるのか思い当って、身体をめぐる血液が冷えていくのを感じた。 「深くは尋ねないけれど……」 レイはみちるさんのベッドで寝ていた。 みちるさんが先にシャワーを浴びて、夕食の買い物に行くと言っていたけれど、レイは体力を全部奪われて、ついて行かないで見送ったはず。...

みちる×レイ小説] 暑い熱いキス ②

 概要: そっと頬に右手を添える。指先がかすかに震えていることがたぶん伝わっている。 左の手で洗いたての髪を撫でるとうつむいたレイは少し瞳を閉じた。 シルクを撫でるようにさらりと指の間を通る。みちるの髪質と全然違う、エキゾチックストレートロングの翠黒。 みちるが近づくより先に、レイがみちるに近づいてきて。 迎え入れるように重なった唇は、想像よりもひんやりしていて蜂蜜の味。 唇をついばむように角度を変えて味わう唇...

みちる×レイ小説] 暑い熱いキス ①

 概要: 「……うぅ」 玄関の開く音と共に聞こえてきたのは、誰かのうめく声。 チャイムも鳴らさずに入ってくることができるのは、この家の住人ともう1人。 「レイ」 玄関には髪をアップにまとめて、シャツの背中を汗で濡らしているレイの後姿があった。腰をおろしてサンダルの紐をほどいているのだろうが、丸くなったその背中はぐったりとしている。 「みちるさん……暑い…」 足元に投げ出された日傘はたたまれることなく、苛立ちをぶつけら...

みちる×レイ小説] あなたの気持ちは知っている END

 概要: クラスメイトからみちるさんとどういう関係なのかと問い詰められて、疲れ果てた。知りあいと言えば、どういう知り合いなのかどこで知り合ったのかをしつこく聞かれ、携帯電話の番号なんかも知っているのかとか、家に遊びに行ったことはあるのかなど、聞いてどうするつもりなのかというような質問もされた。さぁ、どうでしょう?なんて笑って済まされないこともよくわかっている。たびたび、レイとみちるが歩いているのを目撃したこ...

みちる×レイ小説] ライター 苦くて愛しい

 概要: 彼女がタバコに火をつける。それを見て、眉を顰める。「嫌味ね。嫌いだって知っていて私の前で吸うの?」「えぇ。嫌なら帰って」「帰らないわ。私があなたに会いたくて来たのだから」激しく抱いたあとは、彼女はいつもタバコを吸う。今までの行為が煙になってかき消されるように。「吸ってみる?」「いいわ。なんとなく、味を覚えてしまうと怖い」「いい勘しているわ。やっぱり芸術家ね」「ありがとう。何か飲む?」まだ、燻ぶる熱...

みちる×レイ小説] あなたの気持ちは知っている ②

 概要: 教室に向かうと、どこからか知らない後輩らしき人間がレイを呼び出し、長い列を作ってプレゼントを押しつけてきた。すでに紙袋に入っているプレゼントを受け取ったらしいという情報が出回っているのか、やたら今年の列は長い。チャイムが鳴り始めるまで両腕いっぱいに積まれたプレゼントの山に、レイはもはや笑みもなく唖然とするだけでしかない。 レイの机のまわりだけ異常に紙袋がぶら下げられて、なんだか恥ずかしい。それでも...

みちる×レイ小説] あなたの気持ちは知っている ①

 概要: みちるは事務所の人から受け取った仕事のメールを読み返して、本人の意思を聞くまでもなくOKの返事をしたらしいそのコンサートの内容を読みながら、心の中でやれやれとため息をついた。 今回の仕事は本当にボランティアだ。メールの最後の方には「お父様、お母様からも了解を得ています」なんていう嫌味のような一言が付け加えられている。仕事に関して何かと口を出すのはいつものことだが、先手を打ってくるとはどういうことだ...

みちる×レイ小説] 独占禁止法 END

 概要: ベッドに寝転がりながら映画を立て続けに2本見終わり、さすがに空腹感で苛立ちを押さえきれなくなりそうなので、ホテルの中の料亭で食べようかと思った。けれど、やっぱり一人お店で食事をする勇気なんてなくて。結局、フランス料理フルコースをルームサービスしてもらい、まともに食事を取っていなかったため、ぺろりと平らげることが出来た。 大きなベッドが2つある片方で小さくなって目を閉じる。携帯電話を家に置いてきたか...

みちる×レイ小説] 独占禁止法 ①

 概要: 『ゴールデン・ウィーク』 とは、国民が連休を有意義に過ごすためにあるもの。家族と、恋人と日常の嫌なことを忘れてバカになれる日。 「・・・暇だわ」 レイは広いベッドで大の字になり、かれこれ何時間かしたところでぽつりと呟いた。 「暇、暇・・・」 こみ上げた苛立ちに、ついにブチっと来る。勢いよく立ち上がったレイはシャツとズボンを脱ぎ捨ててドレッサーをバンっとあけると、ブランド物の服を引っ張り出し、歩きながら...

みちる×レイ小説] 夢の夢の中で

 概要: 愛する人に触れたくて腕を伸ばしたら 温もりがなかった ひんやりとしたシーツの波間を泳がす腕に いつもは絡まってくる漆黒のさらりとした髪の感触 ない シャワーでも浴びに行ったのかしら お水を飲みに行ったのかしら まさか、ベッドから落ちちゃったのかしら それとも、みちるの傍で寝ることが嫌で帰ってしまったのかしら 確認しないと 瞼を開けて、名前を呼べば、 もしかしたら部屋の中にはいるかもしれない ほら、早く 瞼を開...

みちる×レイ小説] 魔法の手

 概要: 「また、降ってきたわね」昼間はおぼろげながら、太陽の形が見えるほど回復したように思われた空も、やはりこの時期だ、日にちが変わる少し前から、窓の外で雨が木々の草に当たり、雫の落ちる音が聞こえてくる。「窓閉めてくれる?エアコンも除湿にしてよ」雨音が聞こえてきてすぐ、レイの周りを包む空気の柔らかさは失われてしまった。この時期の雨がひどく苦手なのだ。読んでいた本も集中力を乱されて、テーブルに投げ出されてし...

みちる×レイ小説] Waiting time MICHIRU

 概要: 18時の待ち合わせを19時だと勘違いしていた。気がついたのは17時40分だった。待ち合わせ場所まで走って20分。でもまだ服を着替えていない。今日のために買っておいたネックレスもピアスも、お洋服も、まだ袋の中に眠ったまま。彼女は遅刻することに怒るような人じゃないけれど。いつも10分前に行って彼女が微笑んで駆け寄ってくる姿を見るのが楽しみなのに。おしゃれを取るか。彼女の微笑を取るか。彼女が“素敵ね”って洋服を褒め...

みちる×レイ小説] 海神 Neptune

 概要: 静かな海 今、海の中にいる 肺から出てゆく過去は泡にならず 耳は自分の心臓の音を伝えず 瞳は何もとらえてはいない どこまでもネプチューングリーンの広がる海にいる “いる”というより、身体が溶け込んでしまったよう あふれた愛の海は幸せに満ちている 愛に溺れ 人魚に引きずりこまれたのかもしれない そして、海水に溶けてしまった 彼女の海に溶けてしまった きっと、そうに違いない 「お目覚めかしら?」 「…………何……してるの?...

みちる×レイ小説] ため息ひとつ END

 概要: 1ヶ月ほど前に、一緒に点灯式を見に行こうと確かに約束をしたことを。 珍しくレイから誘ってきて、行きたそうにしていたことを思い出す。 あの時、確かレイは無理ならば気にしないでと言っていた。でもみちるは問題ないと強くうなずいていた。あの約束をした時からすでに今の仕事は決まっていたけれど、1~2時間くらいなら大したことがないと、自分から言っていたはずだ。それにあの約束をした日はちょうど、大きなコンサートが終...

みちる×レイ小説] ため息ひとつ ①

 概要: 12月。 毎年この月になると思う。 1年ってなんて早いのかしら、と。 1年の初めに計画したやりたいことを、どれだけこなせたのかを振り返るより、残り1ヶ月をとにかく充実させて1年を終えてしまいたい。 悔いが残るか残らないかは、この12月にかかっていると言ってもいい。 3度目のため息だった。 いや、本当のところ何度ため息を漏らしたのか数えていない。 3度と数えてみたのは、少なくしておけば大した悩みではないと思える気が...

みちる×レイ小説] キスのある風景 MICHIRU

 概要: 土曜日の朝は、少しだけ寝坊するのが2人の間で勝手に作られた暗黙のルールだった。その分、金曜日の夜は夜ではなく、明け方に眠るのはみちるが作った暗黙のルールだ。「・・・・んー」カーテンから零れ落ちた爽やかな光がしつこく朝を告げる。みちるはセットしていない目覚まし時計を手に取った。「9時半・・・」今年始まって一番の冷え込みだと言われていた昨日の夜は、寒い寒いと彼女が文句を言うから、しっかりと抱き合って眠っ...

みちる×レイ小説] SAY LOVE ME 

 概要: 「レイちゃん!」 大声で彼女の名前を呼ぶ。振りかえり軽く手を挙げるしぐさ。遠慮なく抱きつくうさぎに、特に嬉しそうな顔をするわけでもないけれど、ほんの少しだけ上がる口角。 「うさぎ、遅かったのね」 「うん、美奈Pたちは掃除がなくてさ。置いて行かれちゃったよ~」 「そう」 うさぎが呼びとめるまで、ふわふわした気持ちでレイの隣を歩いていたのに。せっかく明日一緒にお買いものをしようという誘いの言葉を、口にし始め...

みちる×レイ小説] 過去をめくれば END

 概要: そこには、「持ち出し厳禁」の朱が色褪せた印鑑が押してあるが、かつてそれが持ち出せていた証拠がある。 20年以上前の日付とたった1人名前が書かれてあった。 おそらくそのあとで持ち出し厳禁になったみたい。 今となってはなかなか手に入らない貴重な画集なのだから、いたしかたないけれど。 「これがどうかしたの?」 20年経っても陽に焼けずにまっ白いままの貸出カード。 まさか、知っている人なのかしら。 みちるの手元に返っ...

みちる×レイ小説] 過去をめくれば ①

 概要: お取り寄せには1か月かかると言われて、みちるが仕方なく向かった先は区が運営している図書館。 どうしても急に見たくなった画集はあいにく手持ちにはなくて、いったいどこで見た記憶があるのだろうかとじっくり考えてみると、日本ではなかったことに思いついた。 インターネットで調べてみれば、歩いて少しのところにある図書館で閲覧ができるらしい。 こうして、今みちるは静かな図書館に来ている。 滅多にこういう場所には寄ら...

みちる×レイ小説] 雨 きまぐれBABY- END

 概要: 目が覚めると、思ったよりも明るかった。 あぁ、朝なのねと。息を吸うと、予想よりも涼しい空気が胸に入り込んできた。 クーラーが付けられていて、レイの体感にはちょうどいい温度。寒いくらいが気持ちいい。 みちるさんにはこの温度は辛いかもしれない。そう思って隣に視線をやると、誰も何もなかった。 ベッドのシーツはすでに冷やされていて、そこに長い時間空白があったことを証明している。 結構いい時間なのか。この温度じ...

みちる×レイ小説] 雨 きまぐれBABY- ①

 概要: 雨 雨 雨 寝付けないのは湿気を含んだ空気と、窓の外から漏れ聞こえる雨音のせい。しつこく寝がえりをうっていると、左隣から温かくてしなやかな腕が伸びてきた。 「大丈夫?クーラー入れる?」 控え目に頭を撫でてくれる。指先が頬を掠めた。 「………ごめんなさい」 湿度は高いけれど、気温はそれほど上がってはいない。重たい空気が軽く頭痛とけだるさを身体に染み込ませて、眠りを邪魔しているだけ。レイは大丈夫だと言うつもりで...

みちる×レイ小説] ONE MORE KISS END

 概要: 「美奈に電話でもしたの?」 予想以上にすんなり部屋に上がらせてもらうと、レイはすぐに聞いてきた。 「えぇ」 「そう」 「私、酔って色々迷惑をかけたみたいね」 「まぁね」 クリアなバリアに阻まれている気もする。おずおずとレイの傍に正座をして、両手をついた。 人生でこんなことをするのは、もちろん初めて。 「本当にごめんなさい」 「……土下座してください、なんて言ってないけれど」 「キスをしたうえに、それを覚えてい...

みちる×レイ小説] ONE MORE KISS ④

 概要: 『みちるに確認を取った。タクシーに乗ったことすら覚えていないらしい。キスのことは言ってないからね』 はるかさんからのメールを読んだ後、ムッとしているレイちゃんの顔色をうかがった。 「で、みちるさんからメール来たの?」 ストラップも何もないレイちゃんの携帯電話が一度本人の手に戻り、ボタンを2度押してまた違う画面が現れた。 『昨日はお食事に付き合ってくれてありがとう。そして、ごめんなさい。あなたに随分迷惑...
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