【緋彩の瞳】 2016年10月

緋彩の瞳

2016年10月の更新履歴

2016年09月2016年11月

美奈子×レイ小説] Never say love you

 概要: 形があるものはいつか壊れてしまういつか、消えてなくなってしまう握りしめているあたたかいと感じているはずのものもひとたび、その指の力を抜いた瞬間風も雨もない空間だと言うのに消えてなくなってしまうあなたは、愛をそういうものだと言う「ねぇ、マーズ」「………何」言葉もなく誘い、笑顔もなく受け入れられて、汗に張り付いた黒髪をそっと撫でる。言葉を受け取るつもりもないと背を向けて眠るのは、何度同じような夜を迎えよ...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 「好きよ」

 概要: 「あなたの匂いがないと眠れないの」「えぇ、承知しています」「本当よ」「えぇ」 そのセーター、預けておきます。 アッサムは呟いて、吐息で前髪を優しく撫でた。 好き。  その言葉に、彼女の感情のすべてが込められている。 夏の戦いが始まる。恒例となった情報処理部GI6と共に行われる相手校の情報収集のため、アッサムは3日間、聖グロの学生艦を離れることになっていた。アッサムがいない間、ダージリンは訓練を中断する...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] Actress

 概要: 炎天下、蒸し暑さに耐えて夕闇が訪れるまで続いた訓練。黒森峰との試合を間近に控え、隊員たちはへとへとになって寮へと戻っていく。いつもは元気が有り余っている1年生たちも、今日は無言でダージリンから逃げるように姿を消した。 ここ数日、ダージリンは明らかに疲れが溜まっている。決してそれを態度にして見せつける人ではない。しかし、完璧であろうと背筋を伸ばして、微笑んでいる瞳に映える演技が、ダージリンをよく知る...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 大切な儀式

 概要: 「ダージリン」 ドアの鍵穴に外から鍵がさしこまれる音。視線を注いでいると、つまみがゆっくりと横から縦になった。部屋の主以外でそんなことができるのは、スペアキーを持つ人だけ。 机には図書室で借りていた分厚いイギリス戦史の本と、開かれたままの辞書。ダージリンは名前を呼ばれて、指で差していた単語から視線をその人に向けた。「何かしら、アッサム」「お勉強中ですか」「思わず手に取ってしまったのに、開かずに返す...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] あなたに希うものは、私への恋 END

 概要: 「………………夢?」 息苦しさを覚えて、ベッドから飛び起きる。充電の終えた携帯電話の青い小さな光。 腕を伸ばして充電器から抜き取って、画面を付けた。午前3時。「いたっ……」 急に襲った痛みは、人差し指の爪が剥がれていたことを思い出させた。電気を付けて確認してみると、わずかに血が滲んでいる。妙な夢を見たせいで、何かを掴んだり、何かにぶつけたりしたのだろうか。ダージリンに、きちんと病院に行けと言われたけれど、...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] あなたに希うものは、私への恋 ①

 概要:  目が覚めると、世界がゆがんでいた。 瞳がおかしくなってしまったのか。 瞼を擦ってみても、目の前に広がる何かが、やはり奇妙に感じる。 何か、得体のしれない空間の中に閉ざされている。 ベッドのシーツの白はいつも通りだけれど、それ以外のすべてが見慣れないものだ。 円形のRを描く世界。自分の姿が滲んで見えた。 「………硝子?」 手を伸ばし、そっと触れた何か。 質感はとても冷たく、指紋を薄っすらと残す。「硝子...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] Tea with Milk

 概要: アッサムティーが苦手だった。 舌の奥に少し残る苦味が好みじゃない。 茶葉だけの色や味わいを楽しみたいと思うと、アッサムティーを避けるしかなく、ずっと飲まずにいた。ミルクを淹れると、何となく子供っぽいと思ってしまう気がして、いつも、ストレートでも美味しく感じるものばかりを選んでいた。 たぶん、背伸びをしたい子供だったのだ。「それは、ダージリンティーですか?」「………え?……えぇ」 入学式の数日前。すでに...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] Always

 概要: 「………ダージリン?」 課題に追われている放課後。同じように課題に追われているクラスメイトたち。図書館の中央にずらりとある机には見知った顔が並んでいて、みんな、一心不乱に薄紙を捲る音と、ペンを走らせる音をたてて、まるで合奏をしているようだった。  アッサムも電子辞書と古い本を積み上げて、胸を張って得意だとは言えない英語で書かなければならないレポートに向かい合い、その合奏に参加していた。ノートパソコン...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 秋桜色の瞳

 概要:  つい先日まで10月なのに暑いわねと、お茶会をするたびに語り、涼しさがいつになったら来るのかしらと、ジャケットの出番を待ち遠しくしていたはずだった。  秋晴れのような空。 吸い込む空気はカラカラとしていて、ゆっくりと進む船の上だと言うのに、見上げる景色に一つの変化もわからない程、雲の姿はなかった。これからの航路には、夕方を過ぎたあたりから、雨が待ち受けていると言っていたが、その言葉を疑いたくなるよう...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 彼女がメガネをかけたなら

 概要: 「ブルーライトから、目を守る?」「そうです。アッサム様も使われてはどうですか?」 最近、グリーンがメガネを新しく買ったことは知っていた。記憶では5つ持っているはずだ。雰囲気が変わることもあって、見ていて飽きないものだけれど、持っているものすべてが伊達メガネらしい。本人曰く、キャラ作りのためだそうだ。グリーンはグリーンと言うだけで十分、聖グロの中でもキャラが濃い方だと思う。 情報処理部の部屋に遊びに...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] JUST FIT LOVE

 概要: 「アッサム様~~」 訓練が終わり、舗装された道をゆっくりと歩いていた。 秋の空。 清々しく、遠く感じる。 15時を回った頃は気温も割と気持ち良くて好きだ。 夏の大会も終わり、様々なプレッシャーから解放されて、とても穏やかな日々。 今からシャワーを浴びた後、ゆっくり紅茶の園でお茶をして、その後はいつもの時間に食堂で夕食。 予定調和に日々を過ごすことができる、その穏やかさが心を落ち着かせてくれる。 背後...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 END

 概要: 綺麗な花に包まれたマリアは、本当に眠っているみたいに穏やかだ。初めて会ったときから被っていた帽子ではなく、綺麗なヴィックを付けていた。何か、最期に声を掛けてあげなければって思っても、何も言葉が思い浮かばなくて、冷たいと感じる頬を撫でてあげることが精いっぱいだった。「ローズヒップのハンカチですね」「………マリアにあげたものですわ」 組まれた両手のすぐ傍に、ローズヒップがあげたハンカチが置かれていた。神...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ⑥

 概要: 無線から声が聞こえなくなり、砲撃が静かになった。ローズヒップがクルセイダーから降りて、炎を上げている事故車両に走って近づこうとしているのが見える。危険地帯に飛び出したから、黒森峰側が砲撃を止めてくれたのだろう。 誰のために戦うのか。何のために戦うのか。 ローズヒップに偉そうに言っていたくせに。 いつだって、ルクリリが守らなければならないのは、勝利ではない。「……………ペコ、救護要請を」「わかりました、...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ⑤

 概要: 早朝の目覚ましが鳴った。飛び起きたペコは一番にシャワーを浴びて、着替え終わり髪を結った。ルクリリもローズヒップも同じベルで目を覚まし、それぞれが無言でタンクジャケットに身を包む。普段は食堂がまだ開かない時間だけど、栄養学部の2年生たちの協力の元、集合時間に1,2年の戦車道全員を始め、整備科、情報処理部、その他自由参加で他学部の生徒たちも集まってくれた。外は情報処理部から1週間前に貰った予報通り、土砂降...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ④

 概要: 「そんなに、具合が悪くなってしまったんですね」「でも、薬の効果があれば、ちゃんと良くなっていくって言っていましたわ」「そうですか。頑張って病気と闘っているんですね」 マリアの話を誰にも言うなって、ルクリリがきつくローズヒップに伝えていたから、アッサム様やダージリン様と遊んでいる時は、何も報告を聞かなかった。遊び倒して、美味しいものを食べて、お2人に沢山可愛がってもらって、へらへら笑っているローズヒ...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ③

 概要: 早朝訓練は夏の大会と同様に6時からスタートさせた。試合に出場しないメンバーとの実践訓練を何度も何度も重ねる毎日。陽が早く暮れてしまう季節のため、17時には何もできなくなってしまう。夕方になればGI6が集めた黒森峰の、出場予定の戦車の情報と、2年生全員のデータ、それぞれの車長が最近の試合でどんな役割を担って動いていたのか。資料を眺めながら、訓練を振り返り、徹底的に全員で話し合いを持った。毎日毎日、作戦案を...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ②

 概要: 「黒森峰と試合する?」「はいですわ。すっごい強い学校ですわ」「何度も優勝している、西住流の学校でしょう?」「マリア、物知りですわね」  10両で隊を作る場合、クルセイダーの出番はほとんどないことが多かった。装甲の厚さを重視して、相手が重戦車ばかりの場合は出場しないこともあった。だけど、今回の練習試合では、10両に対して、クルセイダー部隊は4両の投入をルクリリは決めた。守りではなく、攻めを選んだのだ。「...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 約束。 ①

 概要: 横浜にある小さな教会で、出会った。 彼女は天使そのものだった。 その教会は大きな病院の中にあって、本当のところを言うと、課外活動のボランティアで来ていた途中、ふらりと立ち寄ったのだ。あそこの教会のステンドグラスはとても綺麗だって、誰かが話をしているのを聞いた。だから、見てみたいと思ったのだ。決して迷子ではない。ちょっとだけおさぼり。「………あっ」「あ、ごめんなさいです。お邪魔してしまいましたわ」 マ...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 最高のプレゼント END

 概要: 2年生たちが一生懸命作ってくれたケーキが登場して、みんなで食後のデザートとしていただいた後、ダージリンはマイクを使って、今日のお礼と、お返しに用意しておいた最高級茶葉の缶を、1人1人に手渡して、パーティは終わりを迎えた。ダージリンと写真を撮りたがる後輩たちや、アッサムにも写真を撮りたいとお願いをしてくる後輩たち。ダージリンはペコからもらった青い薔薇を手に、1人1人写真撮影に応え、アッサムは、主役は自分...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 最高のプレゼント ②

 概要: 5分経って食堂に向かうと、戦車道を筆頭に多くの学生たちから拍手で迎えられた。隊長となって2度目の誕生日。生徒たちの作る歓声と拍手のアーチを潜り抜けて、用意された誕生日席へと向かうと、黄色い悲鳴に包み込まれた。隣の席は空白のままだ。アッサムの姿が見当たらない。何か、準備でもしているのだろうか。「ダージリン様、おめでとうございます」「ありがとう、ペコ」 青い薔薇の花束を持ってきてくれたペコ。後輩たちの誰...

ダージリン×アッサム〔ガルパン〕] 最高のプレゼント ①

 概要: 「あ~、忘れてた!!!!」 突然、思い出したようにルクリリが叫んた。頭を抱えてうずくまっている。オレンジペコはお花屋さんから受け取った、青い薔薇の花束をローズヒップにダメにされてしまわないように、勉強机の上に置いて、そっとバースデーカードをテープで付けた。「どうしたんですか、ルクリリ」「プレゼント!プレゼントを買うのを忘れてた」「…………何を今更」 今日は、ダージリン様のお誕生日だ。もう1か月も前から...
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