【緋彩の瞳】 遅くなって、ごめん ②

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]

遅くなって、ごめん ②

全力で肩を押されて美奈子は派手に倒された。
パンツ見られたんじゃないか、って思うくらいひっくり返る。
「美奈子、からかうのもいい加減にしなさいよ!」
「な、何よ!今の流れでからかっているように思うの?!」
スカートを整えながら起き上っても、近づくなと言いたげな警戒心丸出しの態度。
「じゃぁ、何なのよ?いい加減にしてもらいたいのよ!」
「聞いてなかったの?私は好きな人とキスをしたいから、キスをしたんじゃない」
「だから、それは勝手によそでやりなさいよ!」
「火野レイが好きだって言ってるのよ!いい加減に理解しなさいよ!」
「意味がわからないんだけど?」
「……レイって本当に頭悪いの?」
「何よ、どういう意味よ」

ダメだ。

レイは乙女心なんて持ってなければ、恋心を理解する能力もどうしようもなく欠けているのかもしれない。情に熱いくせにこういうことだけはダメなんて。
「………あなたが好きよ、レイ」
「はぁ?」
そんなに眉間にしわを寄せたら、老けて見えるから。
「あなたが好き。私はずっと、レイのことを出会ったころから……ううん、前世の頃からずっと好きだった」
命をかけて守る人はたった1人で、今もその気持ちは変わらないけれど、その感情とは別の胸を締め付ける想いが確かにある。
だから、生きなければと思った。
「………言っている意味がちょっとわからないわ」
思考停止して、きょとんとしたレイは首を傾けて美奈子にもっと説明しろと求めてくる。
殴られないだけ、少しは効果があるみたいだ。

この“好き”だという言葉。

「レイが好き。うさぎが地場衛を想うように、ううん、それよりも強く、私は火野レイが好き。火野レイにキスしたい、火野レイに触れたい、火野レイの傍にいたい。いつでも想っていたい」
口にしながら、これってすごい告白じゃないかしら、なんて心の中で思った。
「あの……ちょっと、それはつまり、告白しているっていうことなの?」
何を怯えているのか、レイは美奈子から離れるようなしぐさを見せる。
そんな、襲うわけじゃあるまいし。いや、キスしたけど。
でも、ようやく理解に近づいて来てくれたらしい。
「そうよ」
「……………」
「レイ?」
「…………で?オチは?」
「……は?」
「人を油断させておいて、今度は何を仕掛けるつもり?」
レイはそう言いながら、また美奈子との距離を取る様に下がった。
あぁ、何この信用されていない感じは。人の告白を何だと思っているのだろう。
「ちょっと、私が一世一代の告白をしているのを、冗談だと思っているの?」
「あなたはそういう人でしょ?」
「がっかりだわ。これだけ本気を伝えたら、ちゃんとわかってもらえると思ってた」
「信用がないわ」
「………ムカつくわね」
確かに、今まで散々いじって遊んで、困らせていたし。
だから信用がないのはごもっともなんですけれど。
「それはこっちのセリフよ。あと、前世前世ってね、私には記憶のないことだし、第一それは私じゃないし」
「まだ言うの?前世の約束を忘れられた、こっちの身にもなりなさいよ」

この気持は前世の続きなのか。
それとも、愛野美奈子の気持ちなのか。

どっちもなんだから、仕方がない。

「それって私のせい?」
「別に。思い出せとは言わないわよ。とにかく、私はいつでも本気でレイにキスするから」
「……何、その宣言」
「冗談じゃないっていうことよ。覚悟してもらうから。あと、毎日ちゃんとメールして、電話も寄こしなさい」
「そ、それは今だってちゃんと返しているでしょ?」
「10通送って、返信は1通だけじゃない」
「多すぎるのよ!変な写真送られても、迷惑だし」
「迷惑ですって?私の気持ちを何だと思ってるのよ」
「知らないわよ!っていうか、今、初めて知らされたわよ!」
それもそうだった。でも、できる限り距離を取ろうとする態度はどうなのよ。
「レイ、そう言うわけで、私の恋人になりなさいよ」
「はっ?……なんでよ」
「命令よ」
「なんで命令なのよ!」
「それに、レイだって私のこと好きでしょう?」


………

「…………えっ?」

怪訝な顔をしながら、拒否反応をしめしていたはずなのに。
とんでもない真実を知らされた、みたいな衝撃的な顔をしている。

あれ、もしかして。

レイは本当に美奈子のことが好きなのかもしれない。

そうよ、そうに違いない。
今までの態度はすべて、好きという感情の表現方法だったということ。

「そうよ、レイ、そうなのよ。レイは私のことが好きなのよ」
「は?え?何言ってるのよ」
「今日発売の雑誌を、まことから奪って見ていたんでしょ?」
なぜそれを知ってる?!みたいな驚愕の顔。
おもしろい反応だわ。
「べ、別に、まことが持っていたから……パラパラ」
「ううん、まことたちはレイが凄く熱心に読んでいたって」
ちょっと捏造してみた。でも、レイは悪事がバレた子供みたいになってる。
可愛い。
キスしたい。
「べ、別に興味なんてないけど、あなたが…読めって言っていたから、忘れないうちにって思っただけよ」
「好きだから、でしょう?」
「は…はぁ?!ど、どう、どうしてそうなるのよ?」
首から段々赤くなっていく。可愛くて可愛くて。逃げられないように、後ずさりするその腕をぐっと掴んだ。
驚き、身体を震わせるレイにウインクを飛ばす。ファンならイチコロ。
「どうしてもこうしても、それは好きだからそう言う行動に出るのよ」
「わ、私はうさぎに言われて初めて、愛野美奈子の存在を知ったくらいなのよ?」
「そう?それで、今やうさぎやまことよりも愛野美奈子に詳しいのよね」
「興味ないわ」
「嘘付き。いつもいつも、何かと私のことを気にしているんでしょ?まことたちが言ってたわ。レイは美奈子ちゃんのことが好きだって。恋してるに違いないって」
また、ちょっと捏造。
心の中でしれっと赤い舌を出しながら、それでも美奈子はレイを素直にさせるためなら何だって構わない、なんて言い訳を考える。
「………恋って何よ。恋愛に興味ないわよ」
瞳と瞳が重なれば、レイの優しいきらめきが美奈子の心臓を突き刺そうとする。
眩しくて、愛しくて。
前世の頃はもっと素直だったのに。
まったく、こんな風に育ってしまうなんて。
地球って恐ろしいったら。
「じゃぁ、興味持ってよ。というか、自覚したらどうかしら?」
引き寄せようと力を込めても、動きそうにない。だったら美奈子が近づいたらいい。
「ね、レイ?」
「……私が美奈子を好き?」
「うん。恋愛の好きだから、友達としてとかそういう誰にでも振りまくものじゃないわよ」
ぐっと近づいても、腕を掴んでいるから後退できない。敵を目の前にして逃げるマーズじゃないでしょう?
「………私が……美奈子を?」
「そう」
真っ赤な頬。
そっと触れてみても、逃げられなかった。硬直してしまっている。

チャンス再び。

美奈子はカチンコチンのレイの唇に深く深く口づけた。
ひんやりとした唇の感触を味わうように、ついばみ、角度を変えて何度も重ねる。
逃げないのは、逃げられないからではないんだと思う。
本当、思考回廊停止してしまっているみたい。

「……レイ?」
相変わらず、びっくりした表情のままで。美奈子はその顔をじっくり味わいながら、押し倒したい気持ちを必死になってこらえて、そっとそっと髪を撫でた。
「………レイ、大丈夫?」
「……へっ?……な、何?」
「自覚してくれたわけ?あなた、相当私のことを好きなのよ」
もう、そう言うことにしておこう。
事務所の社長にも気に入られているし、なんだかんだと美奈子のことをいつも心配していたし、前世の記憶がなかったとしても、身体は覚えているんだと信じたい。
「………あの、いや、ちょっと…」
キスされたことを怒るということを、忘れてしまっているみたい。
「レイ、大好きよ。レイも私が好きでしょう?」
「………私が美奈子を?」
「好きでしょう?いえ、間違いなく好きなの」

だから、キスしても逃げないのでしょう?
頬を赤く染めるのでしょう?
前世を忘れていても、身体は覚えているのでしょう?




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Date:2014/05/10
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