【緋彩の瞳】 心の鍵

緋彩の瞳

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

*    *    *

Information

美奈子×レイ小説[実写・単発もの]

心の鍵

本当はこの出会いを待っていた。
そして、わかっていた。
この恋が始まれば、繰り返される日常もいつかは終わりが来るだろうと。
その終わりは、悲しみでもあり怒りでもあり、
けれど同時に愛しいものになるだろうと。

彼女の夢を見た朝
彼女が描く夢を想う朝
彼女が語る夢に自分が存在しているだろうかと
心に落ちる一滴の黒い雫

彼女と私だけしか存在しない夢の世界は

夢でしかありえないことも


「マーズ」
「……」
柔らかい唇が言葉を綴るたびに、レイの背中がぶるっと震える。
嫌だと言えない強さを持つ声。
「マーズったら、どうかしたの?」
では、嫌か?と問われたら呼ばれるだけで心が反応しているのだから、たぶん嫌じゃない。
「もぅ。私これでも忙しいんだからさ。ここまで来てやりたくないわけ?」
「そ、そんなつもりじゃっ!」
万人を笑顔にさせる歌声と、美貌と。
トップアイドルという肩書きを手に入れた、美奈子の持つ七色の光はどこまででも
まぶしくて。

まぶしくて。

見ていることは好き。
テレビだって雑誌だって、自分から積極的には見ないけれど、美奈子に見ろと言われた番組は見るし、表紙になっている雑誌を押し付けられたら心の奥底ではちゃんと喜ぶこともできる。
感想を聞かれたら、少なくとも見たっていうことはわかるくらいに答えることだってできる。
「シャワーを浴びてさっぱりしただけで、まさか帰るつもりでもないでしょう?あと2時間でマネージャーが迎えに来るんだから」
「……」
嫌な顔をしたら、彼女はじゃぁ止めましょう。と言うに決まっている。
「美奈子は…」
ダブルベッドの上に座って、当然のように手招きする美奈子と。
ガウンだけで下着もつけずに立ちっぱなしのレイと。
「何?するの?しないの?」

するとかしないとか。

言葉じゃなくて身体だけを求め合いたいわけじゃない。
でも言葉を美奈子は何もくれない。
いや、それが怖いのかもしれない。
どこが好きなの?なんて怖くて聞けない。言葉にきちんとしてくれるような人じゃないと決め付けているわけじゃないけれど、勇気が出ない。
「だって…」
言葉と気持ちと身体がひとつになっていない。
少なくともレイは。

躊躇いを瞳で訴えると、面倒くさそうな顔をしてため息をつかれた。

「わかったわ。気分が乗らないのなら服を着たら?」

マーズ

彼女はレイをそう呼ぶ

それだけさえ止めてくれたら、まだレイはこんなに不貞腐れながらガウンを脱がずに済んだ。

『あなたが抱きたいのは、レイなの?マーズなの?』
その言葉を口に出したら、きっと彼女はこう答える。
『どちらもあなたじゃない』
それじゃ不満だと感じてしまうこの気持ちは、間違いなくレイという人物の気持ちがプラスされている。

でも、会っている時間を喧嘩で費やしてしまうのが嫌なのだ。
1分、1秒でも一緒にいられるのなら。

あなたを求めているのは、レイなの?マーズなの?


自分でさえわからないというのに。


関連記事

*    *    *

Information

Date:2014/05/21
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/148-68ddfc98
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。