【緋彩の瞳】 くちづけを

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

くちづけを

愛しい人が唇にそっと触れた

あぁ、愛だ

身体中がじんわりと温かくなるのを感じた








「ねぇ、知ってた?」
ついさっきまで知らなかったことなのに、まるで昔から知っていますという風に話しかけてみる。
「何が?」
その一言だけで興味を示すことももちろんなくて、セックスの疲れでずっと美奈子に背中を向けっぱなしで、たぶん目も閉じている。たぶん、疲れもだけど照れているからこっちを向かないっていうのが正解なんだけど。
「キスって人類の本能的な行動じゃないんだって」
「まぁ、そりゃそうでしょね」
「南米とかではキスの習慣もないんだって」
「まぁ、そういう国はあるでしょうね」
「相手の手足で自分の顔を叩いたりして、愛情表現したりするらしいわよ」
「悪趣味なこと」

淡々とした返事だけど、一応聞いてくれているというのはわかる。
レイちゃんは本当に興味がないことにかんしては、もっともっと反応しないし、きっぱりと興味がないと意志を示すから。
「ねぇ」
急に肌寒くなった10月23日の夜。身体中に愛を刻んでも、捧げても、注いでも、まだまだ身体から溢れる愛が止められなくて、涙目でやめてと言われてしまい、仕方なく背中を抱き締めることで我慢をしている。

でも

我慢が出来ないことだってある。

「……無理だから」

何も言わずとも、拒否の言葉が返ってくる。愛したいという想いが伝わっているだけで、それでいいかなって思ってしまう自分もいる。

「愛情表現させてよ」
「無理」
「キスさせてくれたらいいから」
「あんた、それだけじゃないでしょ?」
「キスだけだって。本当に」
「信じられないわね」

お互いに、初めて唇を重ねた相手ではない。
だけど、身体を求め合ったのはお互いが初めてだった。

愛しいと心から思ったとき、この人の唇と触れ合った過去の男を恨めしく思った。
美奈子が最後の人でありたいと強く願った。

「キスしてよ。レイちゃんの唇で私を愛しているって伝えて欲しい」
汗で背中に張り付いた黒髪に、そっと頬を寄せる。
「……伝えなくても、美奈は私が好きでしょう?」

あぁ、うん。
そうだね。

好きだよ。


愛されて潤ってゆく唇は、今もこれからも美奈子だけのものだから。

「たまには、レイちゃんからキスしてよ」
「高いわよ?」

ひんやりとした唇の温度
背中を駆け巡る、愛の焔

あぁ、愛だ
レイちゃんの愛だ



関連記事

*    *    *

Information

Date:2014/06/12
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/153-4b016a8e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)