【緋彩の瞳】 手の甲にルージュ(R18) END

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

手の甲にルージュ(R18) END


鳴く身体がレイを待ちわびている。
やっぱり暗くしてもらえばよかった、と今になって後悔しても遅い。
「手……」
脚を開かれてそこの間にレイがいることは感じている。だから余計に両手を顔から外せないのに、レイが声をかけて来た。
「みちるさん?」
「……やっぱり、…その…」
めちゃくちゃにして欲しいのに。
悪いのは自分の中にある中途半端な羞恥心なのに。
「そういうこと言われると……意地悪しちゃいたくなるわ」
セックスの主導権はいつもみちる。そんな言い訳も使えるわけがない。
いいから、はやく愛してと心の中で願っても、指の感触は全く来ない。
「……欲しいって思った?」
顔を隠した指と指の間からレイを覗こうとすると、それを待っていたように愛しい顔がすぐ前にあった。両腕をぐっと捕まえられたかと思うと、名前を呼ぶより早くに何かが腕を巻きつけていく。
「…………えっ?」
「だって、顔を隠しちゃうもの…」
「……レ…イ?」
「私にはしないで、…ね?」
囚人のように手首を巻くものは、バスローブの紐。
間違いなくこれは、完全に……
「レイ?ねぇ…」
「大丈夫」
何の根拠で、どういう意味の大丈夫なのかはわからないけれど、レイはささっとベッドの上に余ったひもをくくりつけて、腕を上にあげたまま固定させてしまった。一仕事を終えた顔をして、何事もなかったかのようにまた、唇を重ねてくる。唇から逃げるつもりはないけれど、胸を突き出すような体制のこれは、別の意味で欲を高めた。
さっき心の中で思ったことが、やっぱりレイに間違えて伝わったのかしら、と。
「嫌って言っても、もう無理って言っても、私の体力が続くまでやめるつもりはないから」
「……レイ、いつものレイと違うわ。私、もしかして何かしたの?」
答えはなくて、熱い吐息が口の中を犯した。
それだけでまた身体が反応してしまう。
重なる唇の感触と、足を這う指先。
「……ぁ」
唇が離れた瞬間、レイの指が中にゆっくりと入ってきた。身をよじっても腕を拘束されていて思うように動かない。
「痛くない?」
「ん……ちょっと…」
痛くはなかったけれど、異物感が少し苦しかった。レイが怖いくらいじっと見つめてくる。視線をそらしたいのに、それを許そうとしない強いまなざしで。
またもっと好きになってしまうような瞳。
「みちるさん」
ずるい。
レイは絶対にこんなことはさせてくれないだろう。
そう思うと自分がこんなことになってしまっていることが悔しかった。
「………なぁに?」
「毎日会っていたのに、触れられなかったから。ずっと、……したかった」
あまり感情を声に出さないタイプなのに。こういうときに言うなんて、計算なのか天然なのか。どっちにしろ、踊らされる結果には変わらない。

これは、惚れたもの負け。

「レイ、たくさん……愛して」

狂わされるほどに。
レイの手で。
レイの舌で。
レイの肌で。
溺れ死んでもいいと思うほど、深い愛の海に連れて行って。
愛していると泣き叫ぶくらい、めちゃくちゃにして。

みちるさんの名前を呼んでも、返事が来なくなってからどれくらい経っただろう。それからまた、愛でる身体は3回くらい弓なりになった。右も左も両の手がしびれるくらい愛撫し尽くして、みちるさんの涙を舌でなぞり、愛液は2人の身体を包み、肌と肌を吸いつかせる汗と温度が意識を虚ろにさせていく。
「……みちるさん…」
右の人差し指と中指は深くみちるさんの中を漂い続けたまま。
ふやけるどころでは済まないことになっているかもしれない。
だけど、本人から抜けと言われるまで抜くつもりもなかった。
「みちるさん……」
咽び泣いていたはずのみちるさんは何も答えない。
人工の光に照らされた美しい人は、涙の川に溺れたように呼吸をしているのかも怪しい。もう、ほとんど気を失ってしまっている。このまま、身体の一部が繋がったまま眠ってしまいたかったけれど、さすがにそれでは可哀想だと思った。いつもは世話を焼いてもらっているのだから、自分がこうさせたのならちゃんと責任を持たないと。
「………ぁ…」
吸いついて離れなかったそこからゆっくりと指を抜くと、みちるさんがうめき声をかすかに上げた。
「大丈夫?」
指に絡む愛液と溢れだす愛液。また、もっと欲しくなってしまう。だけど、もうみちるさんは何もできずに犯されるように愛に反応してくれないから。それはレイの本意ではない。指は青白くふやけていて、ちょっとでも傷つけるとずるりと皮膚が剥け落ちるかもしれない。途中、疲れて左を使っていたけれど、そっちはようやく色が戻っていた。両腕の疲労感を抱いて、一度起き上がって汗と涙と愛欲にまみれた頬にキスを落とす。
「タオル取ってくるから」
「………ほ、どい……て」
うっすらと開いた瞼から、一筋の涙と懇願。腕を拘束していたバスローブの紐を外すと、だらりと落ちた。その腕を取って指にキスをして、ゆっくりとおろしてあげる。
「風邪引くから、汗拭かないと……待ってて」
意識を飛ばして疲れているのはみちるさんの方なのに、立ち上がったレイもめまいを起こして少し倒れこみそうになる。壁伝いにバスルームに向かい、タオルを濡らして戻ると、1ミリも変わらず同じ体制のみちるさんの横にそっと腰かけた。フェイスタオルで顔を丁寧に拭いて、身体の汗を濡らしたタオルで丁寧に拭く。いつもみちるさんがしてくれていることを、初めてレイがみちるさんにしてあげる。身体中の赤いキスマークを数えながら、身体の力が抜けおちた真白な素肌を柔らかく抱くように。
「みちるさんは……止めてって、一度も言わなかった」
身体を拭いて、愛液の生まれる場所におやすみの口づけをすると、かすかに足の指が動いた。シャツを着せてあげたいけれど、できそうにもない。暗くしてみちるさんに抱きついて顔を汗で濡れた髪に埋めた。
「……みちるさんは私だけのものだから」
ぐったりと、その腕がレイを抱く力を失っても。レイが縋りついたらいい。乳房に手を乗せると意識が朦朧としてきて、眠りへと誘おうとする。
セックスの後の愛を囁くわずかな体力を奪っても自分は残しておくべきだった。
だけどいい。
言葉では語られないものを身体に刻み込んだのだから。

掌には、安らぎと言う快楽がある。
レイにとっては何よりも欲しいものがある。
両の手に愛する人の乳房。
目を閉じると、その海に溺れ落ちた。

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Date:2014/06/14
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