【緋彩の瞳】 幼馴染

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

幼馴染


呼び捨てにされて嬉しいと思う相手なんて、決まっている。家族は当たり前。恋人?そんなもの興味ない。

「れ~い」
「…あのね、みちるさん。何度も言ってるけれど」
「わかってるわ。周りに誰かがいるときは、他人のフリをする。でしょ?」
でも、誰もいないわよ?そういってみちるは広い喫茶店を軽く見渡してみせる。わざとらしく。だいたい、いつものように優雅に“ごきげんよう”の挨拶もなく、一人で座っているレイの前に当たり前のように座る時点でイエローカードなんだけれど。
「他人のフリって、そうじゃなくて。いいって言うまでは…」
「秘密なんでしょ、私たちのこと」
アクアマリンの巻き毛の先を綺麗な指でいじりながら、目はいたずらっぽく。ほら、また私で遊ぼうとしている。
「そうよ」
「照れちゃって。そんなに私と一緒にお風呂に入ったり、一緒のベッドで寝たりしたことがあるって、みんなに知られたら困るのかしら?」
確かにそれは、いろんな意味でネタにされるから面倒。だけど、それだけじゃない。相手にするつもりなどないから、窓の外に視線をはずして、残りわずかのアイスコーヒーを手に取った。それを見ていたみちるが、同じものを店員に頼んでいる。
「で、みちるさんは、いったい何しにここへ来たの?」
「あら、いつも会いに来ているじゃない。レイに」
「“みんなに”、でしょう」
「あら、私の認識では、“レイとその他の子猫ちゃん”、よ」
最近、みちるという人間に疑問を感じる。まぁ、嫌じゃない以上文句は言えないけれど。
「レイ」
彼女が私を呼ぶと、体はその声に反応するようになってしまっている。幼い頃からついた癖は、なかなか取れない。時々癪だけど。
「今日、ちょっと用事があって実家に行かなきゃいけないの。レイ、来る?ママが久しぶりにレイに会いたいって言っていたわ」
「だから、そういう話を外でするのは…」
やめて、と言おうとして言葉を飲み込んだ。美奈たち十番高校組がお店に入ってきたから。みちるもそのことに気がついたらしく、でも意地悪くウインクとかしてくるし。
「ごきげんよう、美奈子。うさぎたちも。みんな遅かったわね」
仲間たちは“みちるさん”に挨拶をして、彼女を取り囲むように腰を下ろした。

みんなの前で呼び捨てにしないでって言って、だったら全員を呼び捨てにすればいいじゃない、なんてみちるは言うけれど。自分以外の人間を呼び捨てにするのも、ちょっと癪。
だって、私が初めて人を呼び捨てにしたのって、みちるなんだもの。みちるはそこのところの私の気持ちを知ってか知らずか(多分わかっていて)、私の反応を楽しんでいるみたい。

だから、私は絶対仲間がいる前でみちるのことを呼び捨てになんてしないんだから。それがせめてもの抵抗なんだから。
ね、みちる。



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Date:2013/11/10
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