【緋彩の瞳】 CHANGE ⑤

緋彩の瞳

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ポイ捨て小説

CHANGE ⑤

「おはよう、美奈子ちゃん。どうしたの、こんなに朝早く?」
まことの驚く顔を見て、やっぱりもう少し時間を遅めにすればよかったとレイは思ったけれど、教室の場所やら、靴箱の場所やら聞いていないことがたくさんあったから、早く来るしかなかった。ちなみに、出席番号は1番だった。当たり前か。
「ちょっとね」
「今日からテストだよなー。勉強した?」
「え?えぇ、やって・・・ないに決まっているじゃない」
「だよね、美奈子ちゃんらしいよ」
笑い合って教えてもらった席に着く。やっぱりうさぎは来ていないようだ。
「美奈子―、いる?」
はるかが教室を覗きに来た。この時間にいると思っていなかったらしく、素直に手を上げるとびびっていた。
「どうしたんだ?本当に朝早くから来てるなんて!雨降るのか?」
「失礼な・・・。それより何でしょう?」
レイは昨日美奈子にキスをしたというはるかを見上げてみた。学校のはるかは、びしっと決まっている。
「あぁ、レイの様子が少し変なんだ。何か知ってる?」
「・・・どうして私に聞くの?」
「どうして?って、何を今更。おまえも少しおかしくなったのか?」
額に手を置かれるのかと思うとでこピンを食らった。結構痛くて両手で押さえる。
「何するのよ?」
本気で怒った美奈子の姿に、はるかは、笑いながら謝ってきた。レイは足を踏んづけてやろうかと思ったけれど、やめておいた。
「レイ大好きの美奈子に聞けば、何かわかると思ったんだけど・・・仕方ないか。美奈子が知らないなら、ぼくたちにもわからないもんなー」
最初のほうの言葉が、レイの中でぐるぐる回っている。
「どうした?熱でもあるのか?」
「な、なんでもない!はるかさん、テスト前に余裕ね」
顔をブンブン振ったレイは、何とか話題を変えてみた。
「あぁ、まぁ、簡単だしな」
はるかが言うのなら、やっぱりこの学校は簡単なテスト内容なのだろう。そうでなければ、前日に遊んだりしないし。
「じゃぁ、私は今から勉強するから」
「無駄なことを。レイと話してみてくれよ。変に元気だと怖いよ」
「はいはい」
変に元気とはどういう意味だ。レイは席につくとテストの準備をした。それはとっても簡単だった。



食堂の前で、美奈子は気合を入れた。優雅に優雅に、何度も心がけて、いざ。ぎこちなく食べている。誰も声を掛けてこないから、少し安心だけど、誰からも声を掛けられないというのはなんとも寂しいものだ。友達がいないのだろうか?今日朝から誰とも話していない。難しい授業についていっていないけれど、とりあえず寝ないでノートに取るのに必死で。もうそろそろ嫌だと思った。帰して欲しいものだ。お菓子も食べたいけれど、レイにばれたら殺される。


「見つけた」
「どうしたの、美奈子?」
はるかとみちるはランチタイムは屋上にいるとまことから聞いたレイは、誘いを断って屋上に上がった。
「ううん、一緒にいてもいい?」
「珍しいわね。恋の悩み?」
「違うわ」
美奈子の親に作ってもらったお弁当を膝の上に広げる。昨日のピクニックが効いたのか、レトルトものはまったく入っていなかった。
「いただきます」
「上品だこと。人が変わったのか?」
「まぁ、変わったかもしれないわよ」
はるかの冗談にレイは真面目に答える。はるかとみちるは気がついてくれないだろうか。というより、普通気がつくだろう。案外鈍感な人間かもしれないと、レイはちょっと思った。
「何?じろじろ見て」
「別に」
みちるは自分で作ったお弁当。はるかはみちると同じもの。当たり前だ。同じ家に住んでいるのだから。
「美奈子―、いつレイに告白するんだ?」
おかずが口から飛び出そうになった。はるかの言葉にむせ返ってお茶を飲む。
「照れちゃって。可愛くてよ」
「じょ、冗談じゃないわ」
呼吸を整えながら、レイは頭を振る。
「本気だって言っていたくせに。本当、美奈子も変になったもんだ」
「変わった、でしょ?」
「そうそう。同じ漢字を使うけどな」
レイは一度お箸を置いて、深呼吸をした。とにかくひとつわかったことがある。愛野美奈子は自分のことが好きらしい。それをはるかとみちるは知っている。
「どうしたの、美奈子?」
「なんでもない。そ、そのうちちゃんと言うわよ」
「姫を手放したくないよな、父親としては」
誰が父親だ。まぁ、確かにそういう気分に浸ってもらうのは構わないけれど。美奈子は事情を知らないはずなのに、仮にも美奈子の姿をしている人相手にそういうことを言うなよと思う。
「ちょっと、父親って何?」
「別にー。秘密だよ、美奈子には」
そうそう、言うつもりがないのなら黙っておいてもらいたい。そうじゃなくても、中身が美奈子のレイにキスをした前科があるのだから。
「は、はるかさんも変な人ね」
「おまえに言われたくない」
食事が終わるとそこは小さなコンサート会場になる。いつもは、はるか一人が観客なのだろうけれど。美奈子の自分はいてもいいのだろうか。これが本当の自分なら遠慮なんてしなくてもいいけれど。
「教室に戻ろうかな?」
「そう?5分くらい教科書を読んでおきなさい」
「はーい」
バイオリンを構えたみちるを見て、“美奈子”は引き止められないということがわかった。やっぱり、外部太陽系はちょっと内部たちを近づけない雰囲気を持っているらしい。


授業が終わると美奈子はすぐにクラウンへ向かった。淑女らしく歩いて。というより、大またで走ったらパンツが見えるくらい、スカートは短いのだ。司令室に入るとアルテミスがいた。
「アル、どう?」
「どう?って、全然わからないよ。なんでこうなったのか。妖魔はもう倒したし、妖魔からそういう、特殊なエナジーとかは感じなかったし」
「そっかぁ」
美奈子はソファーにどんと腰を下ろす。
「こら!レイの姿でそういうだらしのないことをするなよ!」
「あぁ、ごめんあそばせ」
美奈子は、慌てて脚を閉じた。やれやれ、気を使いすぎて痩せそうだ。
「早かったのね」
テストが終わったレイは、少し美奈子よりも遅く司令室に入った。
「テスト、どうだった?」
「簡単すぎて笑っちゃうわね」
喧嘩売っているのだろうか?自分の顔をしたレイを見上げて、変な気分になったから、まともに見るのをやめた。
「あまり、アルテミスは当てにならないみたいね」
レイは美奈子の姿のままゆっくりと腰を下ろして、背筋を正す。なんていう違いだろう。
「だから、みんなに協力をしてもらったほうがいいよ」
「まぁまぁ。居心地悪いけれど、レイちゃんにテストを受けてもらうのも悪くないし」
「美奈、怒るわよ?」
美奈子が自分のことを好きだということを思い出して、レイは溜息をつく。
「何よ、その溜息。何かあったわけ?」
「ないわよ。それなりに楽しいわよ。気が向いたら、一緒に吹き飛ばされてあげるわ」
「冗談でしょ?」
ふふんと鼻で笑う美奈子に、レイは何とかならないものかと思案する。美奈子の姿になったおかげで、今のところまぁ、楽しいことも多いけれど。
「とにかく、美奈を更正させるわ」
「やめてよ、レイちゃん。私はがんばってレイちゃんを演じているって言うのに」
「何言ってるのよ、いいチャンスじゃない」
「冗談じゃないわよ。はるかさんたちは変にレイちゃんに優しいし、ちょっと怖いわよ」
「はいはい、元に戻ったら本人に注意しておくわ」
「それにさ、何あの学校?誰も話しかけてこないじゃない」
「そのほうが都合いいじゃない」
「面白くないわよ」
「学校は面白くないところなのよ」
中身と外見が違う2人の言い争いは、気持ち悪い。
「2人とも、やめてくれ。頭がおかしくなりそうだ」
アルテミスはキーボードを叩きながら、猫用の頭痛薬がないかを探った。
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Date:2014/07/12
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