【緋彩の瞳】 霧のように ①

緋彩の瞳

ポイ捨て小説

霧のように ①

あぁ、滅びる悶えのその刹那
美しい星の終わり

あなたの元へとこの胸の星はたどり着くのかしら
あぁ、けれど私は必ずあなたの元へ逝くわ

再び目覚めのときが来るのなら
必ずあなたの胸に舞い降りるわ

あなたの元へ
あなただけのために
私はまた生まれ変わる



夢を見る
彼女の髪に触れ
彼女の頬に触れ
彼女のうなじをなぞり
彼女の胸の鼓動を確かめるように身体を預け

目が覚めるとその温もりを与えてくれる人の顔さえ覚えていない。温もりは体温を与えてくる。呼ぶことさえ知らないその人のために、生かされているような錯覚。
「亜美ちゃん、おはよ」
「おはよう、レイちゃん」
違う。
この子じゃない。
隣で寝ていた彼女の髪は蒼く短い。夢の中で撫でた髪はもっと柔らかで長い。レイはそれを確かめるように亜美の髪に触れた。
「どうしたの?」
「ううん。ちょっと、早く起きちゃったかしら?」
朝というには、まだ早すぎる。時計のベルが鳴る1時間以上も前に目が覚めてしまった。
「そうね」
「目が覚めちゃった」
狭いシングルベッドでうずくまる蒼い髪の亜美の体の上に乗ったレイは、まだ重たそうな目蓋の彼女の許可を得ることなく唇を奪う。
「ん・・ん、ちょ・・・」
「何?」
「これから、学校だし・・・」
「いいじゃない。まだ時間はあるわ」
この子じゃない。
違う。
夢の中で求めていた温もりも
感じた愛しさも

肝心の顔を思い出せないのは、どうしてだろう。
レイは鬱憤を晴らすように目の前の亜美の体を弄ぶ。
そのことをわかっているのかいないのか、彼女は黙って息を殺そうとするから。
もっと、もっと溺れてゆく
傷つけていることを承知の上で


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Date:2014/07/12
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