【緋彩の瞳】 暑い熱いキス ②

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

暑い熱いキス ②

そっと頬に右手を添える。指先がかすかに震えていることがたぶん伝わっている。
左の手で洗いたての髪を撫でるとうつむいたレイは少し瞳を閉じた。
シルクを撫でるようにさらりと指の間を通る。みちるの髪質と全然違う、エキゾチックストレートロングの翠黒。
みちるが近づくより先に、レイがみちるに近づいてきて。

迎え入れるように重なった唇は、想像よりもひんやりしていて蜂蜜の味。
唇をついばむように角度を変えて味わう唇。

ただ声に出せずにいた気持ちが唇を通じてレイの身体の中に染みわたればいいと願うばかり。
レイの愛がみちるの唇から喉の奥へと流れ込むように、レイもそう感じてくれたらいいのに、と。

レイの愛は熱く胸を焦がしていく。
「………好きよ」
そっと離れた唇。両腕でレイをしっかりと抱きしめて、耳元を撫でるように呟いた。
レイの両腕もみちるの身体を抱いて、仔猫みたいにみちるの鎖骨に額を押し付けてくる。
「それは、結構前から知ってる」
「そうだったわね」
レイを抱いたままゆっくりと背を倒すと、逃げずにみちるの身体の上に乗ってくる。密着した身体は冷房で冷やされていたはずなのに、やっぱり少し熱くて。
「旅行、どこに行こうかしら?」
みちるの腕に絡む翠黒の髪。こんなにも触れあったことなんて今まで一度もなかったはずなのに、まるで昨日もこんな風にしていたように自然に抱き締めているから不思議な錯覚。
「涼しいクーラーがあればどこでも」
「山か海かだと?」
「みちるさんは海でしょう?」
「そうね。せっかくの夏だもの」
「泳いだら?私、日陰で見ているし」
「教えてあげるわよ?」
「冗談言わないでよ。泳げなくても生きていけるわ」
レイは全く持って、泳ぎが苦手だから。プールに行っても、基本的には水着を見せびらかすようにプールサイドに腰かけていて、ナンパされてばかりいる。
「せっかく遊びに行ってもレイが傍にいないんじゃ、つまらないわ」
「2人でビーチバレーしても、つまらないわよ?」
何としても水の中に入るつもりはないらしいから、結局海はみんなで行って、2人で静かな避暑地に行きましょうということになった。
「みちるさん、ところで……」
「なぁに?」
レイの指がみちるの唇をなぞって、戯れる。
時々頬をくすぐる吐息のスピードは、とてもリラックスしている。
「この場合は、みちるさんから告白をしてきたということでいいのよね?」
「……何の確認?」
「賭けをしていたのよ、みんな」
“みんな”と言われて思い浮かんだのは、同居人たちと赤いリボン。
「………それで?」
「どっちが先に言うのか。みちるさんから言う、に美奈とせつなさん。私からが、はるかさんと亜美ちゃん、まこちゃん、うさぎ」
人の恋愛感情を遊びに使うなんて。最近、やたらせつながレイに好きだと言えば?なんて言ってきていたのは、応援じゃなくて勝ちたいだけだったわけね。
「レイはどっちを応援したかったの?」
「別に……。ただ、美奈とせつなさんが、大喜びをしてみんなからご飯を奢ってもらうくらいじゃないの?報告をするように、義務付けられているだけで」
「なるほどね。最近、積極的にみんな家を空けるのよね。私も出て行こうとしたら、レイが来るんじゃないの?なんて言ってきて……仕事だと思っていたけれど、そういうことなのね」
よくレイが家に来るのは、みちるが誘ったわけでもないけれど、レイは2人から家にいないということはいつもメールが来ていたとかで。
「みちるさんから言っておいて」
「あなたが言って」
「一緒に住んでるでしょう?」
「住んでいても、恥ずかしくて言えないわ」
レイに告白しました、なんてどんな顔をして言えばいいのかわからない。
考えただけで恥ずかしくて、体温が上がってしまう。
「じゃぁ……しばらく隠しておこうかしら?」
「それもいいかもしれないわね」
なんとなくお互い好きになっていて
きちんとはっきりと言葉で伝えたような、伝えていないような

キスはそれでも熟成しきっていて
とても濃厚な味

「じゃぁ、そう言うことで」
レイが起き上がってみちるの唇にキスを落とす。あまりにも自然過ぎて、あまりにも自然に受け止めてしまって。
「…………好き」
また、思わず言ってしまう。
「だから、知ってる」
「レイも言いなさい」
「何で命令口調なのよ」
ムスッとしているくせに、また唇が重なる。
「キスしてごまかしたわね?」
「さぁ?嫌ならしないわ」
「……意地悪ね、もぅ」

クーラーの温度をどんなに下げても、愛が身体の熱をあげてゆく

好きで好きで仕方がない

あれだけ長い間続いた両想い
それを楽しんでいたのに
今はちょっとだけ悔しいなんて思えてくる

なんて贅沢かしら

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Date:2014/08/14
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