【緋彩の瞳】 キスのある風景 MICHIRU

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

キスのある風景 MICHIRU

土曜日の朝は、少しだけ寝坊するのが2人の間で勝手に作られた暗黙のルールだった。
その分、金曜日の夜は夜ではなく、明け方に眠るのはみちるが作った暗黙のルールだ。
「・・・・んー」
カーテンから零れ落ちた爽やかな光がしつこく朝を告げる。
みちるはセットしていない目覚まし時計を手に取った。
「9時半・・・」
今年始まって一番の冷え込みだと言われていた昨日の夜は、寒い寒いと彼女が文句を言うから、
しっかりと抱き合って眠っていたはずなのに。両の手で包み込んでいた温もりは、背中を向けていた。
寝返りを打って返ってこなかったお姫様は、黒髪をみちるの髪に絡ませることなく、
いまだにスヤスヤと眠っている。
「起きて。ほら、朝よ」
お互いに低血圧だから、先に起きたほうがもう一人を起こさなければならない。
それは当然のことなのに、今のところ彼女が先に目を覚ましたことなんて1度もなかった。
「レイ、起きて。いい天気だから、お外に行きましょう」
耳元に向かってはっきりと声を出すと、声から逃げるように腕を振り払われた。バシっとみちるの頭に直撃する。
「痛・・・」
完全に目の覚めたみちるは、起きるどころか不機嫌そうにズルズルと羽毛布団の中に消えていくレイに、
可愛いと思いながらも少しだけ復讐心を覚えてしまう。
「レイ、起きなさいって」
「・・・・・うるさい」
布団の中から返ってきた不機嫌な声。みちるも布団の中に顔を入れてみた。
彼女の温もりで温かくなった布団は言いようもない心地よさで、油断してしまうとこのまま二度寝に突入してしまう。
「仔猫ちゃん、いつまで寝るの?」
明るい太陽の光が届かない暗闇。みちるは中から布団を押し上げてがばっと奪った。
子宮の中にいた頃と同じ姿勢で丸まっていたレイは、布団を取られて全身を振るわせる。
「お風呂入って、温まるのよ」
ようやく目を開けたレイはまだ完璧に目を覚ましていないらしく、みちるを睨む目に力もこめられない。
「起きた?」
「起きてない」
枕に顔を埋めてお尻を向けたレイ。みちるはクスッと笑って、困った仔猫の身体の上に乗った。
「じゃ、これで起きるでしょ?」
耳元で囁くと、当然のように顔をあげて唇の舞い降りる瞬間を待つから。

彼女に目覚めのキスをした。
毎週行われるレイの起こし方。まだしばらく、ベッドから起き上がれそうにもないけれど。
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Date:2014/08/13
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