【緋彩の瞳】 希い(ねがい) you were a half of me ⑨

緋彩の瞳

ポイ捨て小説

希い(ねがい) you were a half of me ⑨

フォボスとディモスの気配を感じながら、その方が胸を躍らせながら鏡を見つめる姿を、対になる様にして見つめていた。
「あっ……美奈!ちょっと、つまみ食いしないでよ!」
「いいじゃん、ちょっとくらい。そんなにみちるさんの誕生日会が楽しみなわけ?私の時なんて、市販のケーキだったのにさ。どうしてみちるさんだと手作りなのよ」
「い、いいでしょ……」
「ふん!綺麗に髪もセットしてさ~。いつまで鏡見てニヤけてんのよ」
「うるさいわね!」
彼女は頬を染めながら、ヴィーナスを追いかける。私はその姿を見送って鏡の中から抜け出した。

待ち焦がれたマーズの魂は、間違いなく彼女の中にある。
彼女は私がこんなにも傍にいるというのに、名前を呼んでくださりはしない。


「レイ」
玄関のチャイムが鳴り、ネプチューン、ウラヌス、プルートが現れた。
「あ、みちるさん!」
嬉しそうな声で彼女はネプチューンに駆け寄っていく。頬を赤く染めて、恥ずかしそうに少しうつむきながら。
「レイ、今日はありがとう」

ネプチューンが彼女を見つめる瞳は、彼女がネプチューンを見つめる瞳と同じ色をしている。

「いえ、いいの。みちるさんのお誕生日だもの。みんなで楽しみたいじゃない?」
「いや、レイ。本当は2人きりが良かったって顔に書いてないか?」
「はぁ?馬鹿じゃないの、はるかさん」
ウラヌスの足を踏みつけた彼女はそれでも、ネプチューンを愛しそうに見つめていた。

鏡を見つめるのは、私を想い出すためではない
鏡を見つめるその瞳に、私を想いだしてと希っても
彼女は別の想い人のために鏡を見つめ、髪を梳き、微笑みを作っている

私ではなく
ネプチューンのために

その魂は私の存在を忘れてしまったと言うのでしょうか
そんなことはあり得ない
2人だけの世界がすべてだった

この世界の
彼女を惑わすものをすべて取り除いてしまえば

鏡を見つめるたびに、私を想い出してくれるでしょうか
待ち焦がれていることを、想い出してくれるでしょうか

その身体からマーズの魂を切り取れば、私の元へ帰るでしょうか


どれほどに愛しても
愛しても愛しても


私はどうすれば、希いを叶えられるのでしょうか

ネプチューンと想い合う絆を断ち切れば、私を想って鏡を見つめてくれるでしょうか
あの約束の場所に、戻ってきてくれるでしょうか


マーズ、私を見つめてください
罪を犯した私を
あなたを待ちわびて、罪を犯した愚かな私を
やがて欠片すら残らなくなるこの魂を

幾千億の夜を繰り返し
希いだけを抱きしめて疼くまるだけの半神を

私はもう私を終わらせる術もなく
あなたしか、私を終わらせる強さを持っていないのです


希いをどうか叶えて
どうか
2人で描いた夢を叶えて


私たちの希いを
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Date:2014/08/15
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