【緋彩の瞳】 I love you, but… ②

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説[実写・前世では恋人]

I love you, but… ②


「あ、出た!」
クラウンを出て、レイはまことの家に遊びに行くことにした。夕食を作ってもらい、食べている間も美奈子のことが気になって仕方がない。まことは美奈子のことを何も言わず、いつものように豪華な手料理を振舞ってくれて、いつも以上に微笑んでくれている。
食べ終わってテレビをつけると、美奈子とユウトの熱愛報道がちょうどワイドショーで持ち上がっていた。
『8月上旬に、2人は麻布にあるイタリアンレストランでファンの目を気にしながらも、仲睦まじくデートをしていた様子。実は2人の目撃情報は、昨年の夏から幾度と報告をされていましたが、なかなかツーショット写真を撮ることができず、今回初めて撮影に成功したようです』
明日発売の雑誌の写真を想像の絵にしたものが、テレビに映し出される。帽子を深く被った女の子と、サングラスをしている男。わかりやすく窓際に座って、どうぞ写真を撮ってくださいと言わんばかりだ。
『なお、愛野美奈子さんは事務所名義でホテルを取ることが頻繁にあり、ユウトとの愛を誰にも知られずに育んでいるのではないか、と近しい人物が語っています』
美奈子がホテル暮らしをしているのは、影武者をしていた頃は、敵を自分に寄せ付ける必要があり、家族の身の安全を保つためであり、その後は仕事で便利だからということと、本人がホテル暮らしを結構気に入っていると聞いている。レイの神社に来ることもあるけれど、ホテルで待ち合わせをして、部屋でご飯を食べたことも何度かある。人の目を気にしなくて済むから、快適だって言っていた。
「近しいって誰だよ。胡散臭いよな~ちょっと」
「そうね」
「美奈子ちゃんがホテル利用しているからって、そこでユウトを見たわけじゃないじゃん」
「そうね」
「だいたい、10代の中学生の女の子をスクープってさ、それでホテルで愛をはぐくむって……
大人って品位がないよね」
「……それもそうよね」
確かに、そういう表現はそれとなく何を臭わしたいかがこちらに伝わってきて、気分はよくない。
「美奈子ちゃんから、連絡早く来たらいいね。私はこれ、ユウトの事務所が仕込んだことだと思うよ」
「そう?私、芸能界のことなんて何も分からないわ」
レイはテレビを見ないし、美奈子の話を聞いていても、よくわかってなどいない。見栄と嘘に囲まれている世界だ、なんて美奈子が言っていたことがある。
交際1年らしいというレポーターの話と、ユウト側の事務所は否定していないと言う話。うさぎが言っていたことと同じことをテレビで聞いて、レイは髪を掻くように頭を押さえた。
「あ、ごめんごめん。もう、消すよ」
まことが気を使ってテレビを消すから、別に消してほしいと言うジェスチャーじゃないって思ったけれど、確かにこれ以上は聞いていられない。
「………まこと、今何時?」
「今?えっと21時過ぎたかな?」
いつもはもう少し遅い時間に電話がかかってくる。レイは携帯電話を取り出して、着信履歴から美奈子のナンバーを出した。

コール7回で繋がる。

『……どうしたの、レイ?何かあった?』
いつもより早い時間に、珍しくレイから掛けたことが不思議だったのか、美奈子が声をひそめている。
「今、どこにいるの?」
『仕事が終わったから、車で送ってもらっている途中』
つまり、声をひそめているのは、近くにマネージャーがいるというアピールらしい。
「家に帰るの?」
『本当は帰りたいんだけどさ、なんか記者がうちに張り付いているっていうから、ホテル取ってもらった』
「ホテルの名前と部屋の番号、教えて」
『どうしたの?積極的じゃない』
美奈子の声はクスクス笑っているけれど、レイは全然笑えない。
「聞きたいことがあるの」
『……あぁ、もしかしてユウトとのこと?』
美奈子の声でその人の名前を聞きたくないと思う気持ちは、間違いなく嫉妬なのだろう。

誰の名前も美奈子の声で呼んで欲しくないと思うのは、いつだってレイだけの名前を呼んで欲しいと願う想いは……。

「そうよ」
『わかった。メールで送るわ』
電話を切ると、1分でホテルの名前と部屋の番号が送られてきた。
「まこと、ごめん。ちょっと会って聞いてくるわ」
「うん。あぁ、でもホッとしたよ。噂が嘘だって、もう証明されたしさ」
どういう意味だろう。本人に聞いてもいないのに。
「聞いてみないとわからないわよ」
「いや、絶対ないよ。だってさ、レイが電話をして、会いたいって言ったらすぐにでも会ってくれるわけでしょ?本当に美奈子ちゃんが二股かけていたら、レイが怖くて会えないって思うよ。相変わらず、美奈子ちゃんはレイ一筋ってことなんじゃない?」
「………そうかしら?」
何だか、そんな風に言われると今更ながら照れ臭い想いがある。
こんな風にまことや亜美ちゃんには応援してもらっていて、美奈子のことが好きだという自覚もあって、美奈子からも好きという想いをもらっていることは間違いないのだから、不安になることなんて一つもないはず。
「でも、レイを不安にさせたんだから、それは文句言ってもいいよ。ついでに私たちだってびっくりしたんだし、それは伝えておいて」
「わかったわ」
背中を押されて、レイはまことのマンションを飛び出した。




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Date:2014/09/14
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