【緋彩の瞳】 御利益頂戴 ①

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説[実写・前世設定なし]

御利益頂戴 ①

「レイは?」
ミニライブのイベント終了後、観に来てくれたメンバーの中にレイがいなかった。舞台の上からも探していたけれど、レイの姿を見つけきれなかった。うさぎ、まこと、亜美が3人並んでいて、その隣にいるはずの1人が足りてない。
「レイちゃん、誘ったんだけど神社が忙しいって」
「神社?……そんなに?」
レイの神社なら足を運んだことがある。忙しいって言うほど人が沢山参拝に来るような御利益なんてあっただろうか。伊勢神宮でもないのに。
「ほら、御守りをみんな買いに行くから」
「……御守り?」
「うん。レイちゃんちの“恋愛成就”の御守りってさ、すっごく効くんだよ」
楽屋に遊びに来てくれた3人は社長たちも顔を知っているから、スタッフも“ファン”という位置づけから少し違う対応をしてくれる。うさぎは楽屋を見渡しながら興奮してひとしきりジャンプをしていたが、今は落ち着きを取り戻して、自慢げに鞄に付けた御守りを美奈子に見せてくれた。
「これ、前に衛とちょっと微妙なときがあってさ。婚約者がいて、もうだめかもって思ったときに、レイちゃんがくれたの」
「あ、そう言えば私は、元基君からもらったんだよ。どうしてだろ?私がレイの友達って知ってるのに、わざわざくれたんだ」
まことはパスケースに御守りを挟んでいるようだ。見せてなんて頼んでいないのに見せてくれる。
狭い楽屋でパイプいすを並べて話題にするのは、御守りって……。
「元基君から?やるじゃん、まこちゃん。火川神社の御守りって、片想いをしている相手に渡すと両想いになれるって言われてるんだよ。もちろん、両想いの人はもっとうまくいくっていうし、持っているだけで恋が近づいてくるとも言われているし!とにかく、もう、御利益てんこ盛りなんだよ!」
手を組んでどこの星に祈っているのか、うさぎは遠くを見て瞳を輝かせている。
亜美、止めてあげなくていいのって思ったけれど、亜美はうさぎのこれが通常運転です、と言わんばかりに微笑んでいる。

だから、レイがいないと……

私服に着替え終わり、目深に帽子をかぶると時計を見た。夕方に終わったイベントの後は、何もスケジュールはない。
「みんな、この後どこかに行くの?人のたくさんいる場所はちょっとマズイんだけど、クラウンに行くなら、私もいけるわ」

だから、レイも呼べとまことを睨んでみた。

睨まれたまことは、何かびっくりしたような目をして、ごくりと唾を飲み込んでいる。
「やった~~!!じゃぁじゃぁ、クラウンに行ってみんなでパーティしようよ!」
お団子がぴょんぴょんと跳ねる。こういう姿を見るたびに、平和になったものねって過去を振り返ってしまうのだから、美奈子も変わったんだろう。
「あの、その、一応……、レイに聞いてみる」
亜美の手を取って喜びを表現しているうさぎをよそに、まことは物凄く真剣な顔をして、美奈子にお伺いを立ててきた。鞄から携帯電話を取り出して、電話をしている。
なんていうか、ビビらせているつもりはないんだけど、やってほしいことは伝わっているみたい。
「あ~……チクショー!なんで出てくれないんだよ……」
地団太踏んでまことは携帯電話に文句を言って。どうやら、レイは電話には出られないらしい。
「まこちゃん、どうしたの?」
「いや、レイを誘おうと思ったんだけど」
「え?だって、さっき神社が忙しいって言ってたのに?まだ、もうちょっと経たないとダメなんじゃないかな?」
「あ~。そうか、そうだよね…………だ、そうです」
亜美の冷静なコメントに、まことが気まずいですと言わんばかりに美奈子を見つめてくる。
いじめているみたいだ。
「いや、別に。私は何も言ってないわよ」
美奈子は用意していたセリフを言ってのけて、鞄を肩にかけて立ち上がった。レイのいないクラウンに行くのが嫌な訳ではない。別にうさぎもまことも亜美も、大切な仲間なんだし。
「いや、その、怒らないでよ」
「怒ってないわよ?さ、みんな。他のファンの人たちに見つからないように、裏口から外に出るからね」



全然

怒ってないし

本当、全然

怒ってないし



「あ、そうだ!クラウンもいいけど、みんなで神社行かない?レイちゃんに会いに行こうよ!」
何か思いつめたようにまことが叫んだ。
さっきまでパーティパーティって騒いでいたうさぎが、突然行き先変更をしようとするまことに唇を尖らせて振りかえってくる。
「え~!でも、レイちゃんお仕事してるなら、遊んでくれないでしょ?仕事の邪魔って怒られないかな?」
「もうすぐ日没だしさ、到着する頃には人も減ってるよ。それに、レイの部屋で待っていればいいじゃん。うさぎだって、レイと遊びたいだろ?」
うさぎはそんなにレイと遊びたいのだろうか。
っていうか、うさぎとまことの口ぶりは、いつもレイと遊んでいます。という宣言みたいに聞こえてくるのは気のせいだろうか。
最後尾の美奈子は唇を真一文字に閉じて、結局どこへ行くのよと心の中で呟いた。

レイには会いたいけれど、確実にレイに会うとしたら神社に行くしかないだろう。


「で、どうかな?美奈子ちゃん」
「………何が?」
まことの顔が急にドアップで視界に飛び込んできた。美奈子は仰け反って帽子のつばを上げる。
「だから、レイに会いに神社に行くっていうの。これなら、確実だよ?」
「……あぁ、どちらでも」

レイと会わなくてもいいし

ホント
別に、全然いいし





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Date:2014/09/20
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