【緋彩の瞳】 あの日、あの時
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マリみて、舞乙、ワンピ

あの日、あの時

舞乙HiMEのアニメより




「いいの?准将の暴走を止めなくても」
アリカ・ユメミヤという少女の中途入学を認めるか否か。各国の意見は割れている。
議会の休憩となり、オトメたちは退室をすすめられるとアインは早速フィアの腕をつかんだ。
「私に発言権なんてないわ」
「准将にもないわよ?」
卒業して、お互いにマイスターオトメになったアインとフィアは、“ちょっとお茶でも”というノリで会うことなんてもちろんできるわけがない。しばらくぶりに再会しても、会話をまともにする暇もあまりなかった。
「ユキノ大統領が何も言わないんだもの。恥と思っていないんだから、放っておけば?」
「准将をかわいがっていたのは、あなたなのに。フィアってば相変わらずクールね」
後ろをついて歩いているハルカはもちろん、二人がこそこそとそんなことを話しているなんて気がつくほど繊細な人物ではない。

在校生のパールNo.1に案内されて、乙女たちは控え室へと案内される。
開かれた扉の向こうから、飾られた花の匂いと共に何か鼻につく香りが二人の背筋に何かを伝えた。

「お久しゅう、お姉さま方」
「「……シズル・ヴィオーラ」」
二人の息の詰まった“……”はもちろん嬉しいとか感極まったなどというものではなくて、少々下品な言い方をすると“げっ”っていう感じと言える。しかしオトメはそんなセリフなど使わない。
「げっ!シズル、あんた何でこんな所にいるのよ!」
しかし、ハルカ・アーミテージ准将は別枠。
「あらぁ、ハルカさんもおりはったんどすか?」
「おりはったに決まっているでござりましてよ、このぶぶ漬け女!」
「相変わらず元気がよろしおすなぁ」
「あんたこそ、暴れまくって城の中をめちゃくちゃにしたんですって?」
「あらぁ、何のことどすか?」
先輩オトメであるフィアとアインの間から飛び出したハルカは、どしどしと大股でシズルに近づくと、仁王立ちして指差した。
後輩オトメたちのあっけにとられた視線とシズルたちに挟まれたフィアとアインはただ、ため息をつくだけ。
扉を開けた瞬間からこれだ。
この部屋で休憩をすればますます疲れる。逃げようかと思案したフィアの背後には、助けを求めるようなフロリンスのマイスターオトメ、ロザリーの視線。そして、隣にはアインの“なんとかしたら?”と訴えている目線。

……
一国のオトメになった以上、昔よくやっていた暴力にてハルカを黙らせるなんてことをしたら、大騒ぎになる。
「シズル、ハルカ。アインがお酒を飲みたいそうよ。嫌なら口を閉じなさい」

「ひぃっ!」
「……冗談ですやろ、フィアお姉さま」
あっという間におとなしくなる妹二人。
「ちょっと、フィア。どういう意味なのよ、それ」
今度はアインの異議申し立てが始まった。


落ち着きの空気にようやくつつまれた部屋。紅茶を一口飲んだシズルは、小さく咳払いをした。
「実は折り入ってマイスターのみなさまに、お願いがあるんどす」
五柱であるシズルの落ち着いた声に、若き乙女たちはみな、姿勢を正す。
「私たちから陛下に、あのアリカという少女の入学許可させるように仕向けてほしいというのなら、お門違いよ」
にっこり微笑んで話し始めたシズルに、すかさず口をはさんだのはアインだった。
「まだ何も話してないですよって」
「学園長の差し金で来たって、顔に書いてあるわよ」
シズルも学生時代と比べたら、頬に空気を膨らませたりいじけて見せないあたり、少しは物わかりのいい大人に成長しているようだ。
「いややわぁ。アインお姉さまには敵いませんわ。でもナツキのお願いを引き受けてしもうたんどす。かんにんな」
にっこり微笑んだシズルに、アインもにっこりと微笑み返す。
「この件は、ここにいるマイスターたちにどんな技を使っても無意味であることくらいわかるでしょう?」
「せやけど、アリカさんの持ってはった石は蒼天の青玉やったんどす」
蒼天の青玉と聞いて、オトメの誰もが無意識に体を震わせた。あの、閃光のオトメが持つ石とレナ・セイヤーズを知らないものなどオトメの中にはいない。
「それと中途入学とは無関係じゃない?実力を買うのなら来年でもいいじゃない」
フィアが冷たく言い放つ。こちらの呟きにもオトメたちは体を震わせた。こっちの場合は少々の怖さのせいでもある。少なくとも太刀打ちできそうにない先輩2名が反対をしている状況で、フロリンス以下若いオトメたちには何の発言力もなさそうだ。
「お姉さま方は、みすみす前途多難な才能を持つ少女を救おうっていう慈愛はないのですか!」
と、立ち上がったのはハルカ・アーミテージだった。
ばん!とテーブルを叩いて立ち上がった時、ミシっとヒビが走る。
「ハルカさん、前途多難は使い方間違えてますよって…」
「おだまりなさい!このぶぶ漬け女!私がめずらしくあんたに加勢してやろうって言ってるんじゃない!いいえ、あの子のあの力と根性!大いに気に入ったわ。あぁいう子こそオトメになるべき。あんたもそう思うでしょう!」
アインとフィアではなく、ハルカはロザリーに問い詰めた。
「あ、あの…」
「あんた、シャルルなんたらに色目使って押し切ればいいのよ!そこのあんたとあんたも、陛下に色気使ってなんとかしなさいよ。それこそオトメの役割でしょうが!そうしたら多数決で決まりよ!ナツキの差し金だかなんだか、シズルの手を借りるまでもないわ」

おほっおほっ!おほほほほほっ!


「……ハルカは大統領と仲良しこよしですから簡単なことかもしれないけれど。オトメたるものは、マスターに口出し無用。たとえそれが悪に手を染めることであっても、命に従い、命を捧げる存在よ。色目を使うなど、冗談でも口にするのはおやめなさい」
怒りという表現を超えた感情が見え隠れした。それが見えたのはアインだけかもしれない。
フィアの冷たい口調に学生時代のころから慣れているハルカにはまだ、痛いというほどではない。
「フィアの言うとおりね。でも、シズルたちがあの子を擁護する理由も気持ちもわかるわ。
いずれにせよ陛下たちが決定を下すこと。あなたたちがもしもマスターから助言を求められたのなら、それはご自分の意見を伝えたらいいわ。ここで二人が何を言おうとも、私たちの間で議論することは無意味なことではないかしら?」
ハルカはまだ言い足りないというのを表すようにまたテーブルをグーでたたいた。
大きな亀裂が向かいに座るシズルへと走っていく。
「シズル!あんた何か言いなさいよ!五柱でしょ?!」
「大丈夫や、ハルカさん。お姉さま方はちゃんとわかってくれはったみたいどす。せやからもうよろしいわ」
ハルカは一人、自分の目に狂いはないのだからと後輩たちに熱弁していたが、フィアとアインはこれ以上かかわることはせず、黙ってお茶を飲んでいた。


結局、審議会での採決は賛成多数によりアリカの中途入学が決まった。
カルデアのアルゴス王は一度反対の姿勢を見せていたのだが、休憩後になぜか賛成票を投じたようだ。
フィアが何か言ったのかは定かではない。
そして、のちにこのアリカ・ユメミヤとマシロ姫、退学を免れたニナがことの発端となり、カルデアが崩落する運命をたどるとは、誰も思いもよらなかった。


そして、ハルカもまた、壊したテーブルの請求書が送られてくることなど思いもよらずにいた。



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Date:2014/09/23
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