【緋彩の瞳】 星の行く末を ②

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

星の行く末を ②


「ふーん、で、こーんな大きな屋敷」
美奈子はアルテミスから受け取った屋敷の見取り図をみて呆れ返った。世の中不公平だとは思っていたけれど、こうも差があるものなのね。
「正義の戦士をしている私がノーギャラで、海王一族っていうだけでバカが付くほど凄い屋敷に住むなんて間違えている。明らかに世間でがんばっているのは私なのに」
「よく言うよ、授業中寝ているくせに」
「しつこい!」
猫であろうとも容赦はしない。正義の鉄拳がないはずの額にこぶを作る。
「まったく、それにしてもタキシード仮面とかっていう変態泥棒もさ、こんな金持っているところからダイアモンド1つ盗んで何が楽しいんだか」
警備システムは、それなりにしっかりしているし、名高い家柄だからだろう、何人もの警備員がたくさんいる。美奈子は双眼鏡でそれらを見ながら、ひぇ~と言わずにいられない。
「変態かどうかはともかく、そいつは特定の形の宝石だけを狙っている。まるで銀水晶を探しているようにも見える。もし、仮にヤツがダークキングダムとなんらかの関係があるとしたなら、なんとしてでも尻尾を掴みたいし、もしかしたら銀水晶を先に取られるかもしれないだろう?」
「どうなんだかね~。そんな金持ちのところに、何億年も前の幻の水晶なんてあったほうが不気味だけれど。だいたい、ピンクダイアなんでしょう?」
「銀水晶そのものがどんな形で残っているのか、誰もわからないんだ。プリンセスが手にした瞬間、普通の宝石だったものが真の姿になることだってある」
「へ~へ~、わかりました。で?私たちは結局、守るの?盗む変態から奪うの?」
「現状からすると、盗むのを阻止するのが無難だと思うよ。それに、盗んだりしたら正義の戦士じゃなくなるし」
なんとも、地味な仕事だわ。美奈子はやる気なさげに足元のアルテミスを軽く蹴飛ばす。
「でもま、一生お目にかかれないような高級なものだし?見る価値っつーのはあるかもね」
これくらい気楽なことを言っていないとやってられない。
日が落ちて、少し世界が見えにくくなる時間。美奈子は屋敷に侵入するために、警備員へと変身した。


「なかなかのものでしょ?」
広い広いリビングに通されて、高級なソファーに腰を下ろしたレイは、目の前に置かれたピンクダイアを見て、どうコメントすればいいのかわからず、固まった。
「何、レイ」
「きれいはきれいだけど。私にはよくわからないわ」
「そう言うと思ったわよ。まぁ、正直なところ私もね、ママほど宝石に興味はないから」
レイとみちるの周りをぐるりと囲む警備員たち。普段、執事と2人のお手伝いさん以外は誰もいない屋敷に、こんなに人が集まるなんて。狙われているというのはみちるの冗談だと思っていたけれど、これは割と本当らしい。
「なんで深美ママはこんなもの持ってんのよ」
「ママのおばさんが亡くなって、その方が持っていらしたそうよ。譲り受けたみたい」
もう夕日も沈んで、本当なら、あたりは暗闇に囲まれているはずの時間だけど、屋敷の中も外の庭も異様にライトに照らされて明るいのは、いつでも泥棒に入られてもオッケーということなのか。
昔のアニメみたいに、“頂戴いたします”みたいな予告でもあるのかしら。
「まぁ、VだかXだか知らないけれど、しっかり守ってもらえるといいわね」
「守ってもらえなかったら、流石にママも泣いちゃうわよ」
「宝石の一つや二つで」
その気になれば、島くらいぽんって買えるのに。というか、島、持ってるし。
「ダイアというより、おばさんの形見だからよ。可愛がってもらっていたみたいだから」
夕飯食べて帰る?なんて誘ってくる。どうやら、ちょっとは不安らしい。こんな20人くらいいる警備員の中にすでに変装した泥棒がいるかもしれないところで、優雅にご飯を食べる度胸があるなら、みちるは1人で守れそうな気もするけれど。


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Date:2013/11/10
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