【緋彩の瞳】 火野レイの朝

緋彩の瞳

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火野レイの朝

雨の日の火野レイ。

雨が降った朝は、起きるのに時間が掛かる。気だるい。
だから目覚まし時計はいつもと違うものをセットしている。
「れ~い。起きてったら起きて。起きないと窒息するまでキスしちゃうわよ!」
身体を揺さぶる人間目覚まし時計。
「……るさ、い」
「れ~い。キスしちゃうんだから」

雨が降った朝は、キスが降る。だから気だるくても起きなきゃいけない。
「起きるわよっ。もぅ」
大雨警報ならいいけれど、
こっちの警報はものすごく大変だから。
「何?キスしてほしくないの?」
「ない」
「んもぅ。せっかく起こしてあげたんだから。ご褒美のキスは?」
「支度しないと…」
抱擁で飛んでゆく眠気。
レイは雨音とそのあと続くと思われるキス音を避けるように、支度、支度、とつぶやいてみちるから逃げた。




晴れた日の火野レイ。

「美奈、起きなさいよ」
揺さぶる相手はなぜか、レイの身体の上に載ったままだ。
いつも晴れた休日の朝は、身体の痛みで目が覚める。
重たい。新たな敵の予感かもしれない。
金色の髪が天蓋のレースのように目の前を覆っていて、あぁ、またか…と思い出す。
「美奈ったら!重たいのよ、この馬鹿!」
「ん~…レイちゃんの…えっちぃ」
全体重を預けて夢の世界で何を考えているのかへらへら笑う間抜けな顔。
「…この、美奈っ」
なんとか這い出してみようと身体を横に移動させてみても、
「んー、好きぃ~」
動かしたら動かした分だけ一緒についてくる。
寝ているんだか、起きているんだか。
「美奈、いい加減にしなさいよ?泊まらせないわよ?」
冷めた声で呟く。
すると申し訳なさそうに、預けていた体がわずかに浮き上がる。
寝たフリをしていたなんて。
「ちゅーしてくれないと、美奈子目が覚めな~い」
「いっぺん死んできなさい」
「んー。ケチ。夜は素直で可愛いくせに」
「だ、誰がっ!」

晴れた日の日曜日。
いつも一日は喧嘩で始まる。


寒い冬の朝の火野レイ。

「……ん?」
もぞもぞ。もぞもぞ。
ぴと。
「どーしたんだ?」
寝苦しいなんていつも言われて、寝るときはりんごが間に入るくらいのスペースを空けるように命令されているのに。
「……」
「ったく。都合がいいんだから」
長い髪が邪魔にならないように、はるかは優しく頭をなでて指でさらりと梳いてやる。それを許可と受け取ったのか、レイはその腕に頭を乗せてきた。そして、冷たくなった足をはるかの長い足に絡ませてくる。要するに温まりたいのだろう。
「おい」
「まだ、起きる時間じゃないし」
つらい体制なんだけど…。
そう言おうと思ったけれど、残念ながらそんなことは言えない。

なぜって、それは絶対服従だから。

暑いときには、りんご3つくらいの距離くらい離されて。
寒いときは人間湯たんぽにされて。
寂しいときは背中を撫でるマシーンになって。
眠たいときは枕になる。
そして、キスが欲しいときは100億くらい降らせる。

僕はいつだって、君のための天王はるか。
「お望みなら、もっと暖めてあげるけれど?」
「いらない」
「…そう」
僕はいつだって、君に絶対服従。

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Date:2014/09/23
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