【緋彩の瞳】 シュガーシュガーシュガー

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

シュガーシュガーシュガー

旧サイトのキリ番


「レイちゃん」
「何?」
「砂糖入ってないの?」

一杯のコーヒーが美奈子を不機嫌にさせる。

「目の前にあるでしょ」
「……んも~!!わかってない!全然わかってないっ!」

美奈子は知っている。レイが好きなコーヒーは無糖で、たっぷりのミルク。たしか、注文するときは”サントス”というものだ。美奈子にその価値とか味の違いはわからない。
いつもはるかがそれをみて『ブラックで飲めばいいのに。一番おいしく飲むにはブラックなのに』と言っている。もちろんレイは、それを『私の勝手』と言い返しているけれど。

「うるさいわね。何よ?」
美奈子の舌は年よりやや低い年齢と同じで、コーヒーを飲むときはお砂糖をティースプーンに山盛り一杯入れて、ミルクも結構入れる。
レイの家に遊びに行って、出されたコーヒーにミルクは入っていた。
でも、シュガースティックは無造作にテーブルに置かれている。
「美奈、まだそれ以上太りたいわけ?子供じゃないんだから砂糖入れるの控えたら?」
「違うの!そうじゃないの!」

マグカップでもいい。お客様用のきちんとしたコーヒーカップに淹れてくれるコーヒーが嫌と言うわけじゃない。美奈子が欲しいのはもっと、身近な味と、相手への自然な愛のある気配り。
「それより甘いもの?ジュース?うちにはないわよ」
「違うってば」

レイと色違いのマグカップに、初めから山盛り一杯の砂糖とたっぷりのミルクが入ったコーヒーが欲しい。
当たり前のように好みを熟知していてくれたらいいのに。

当たり前のように。

でも、そうやって言葉にして説明をしなければならないのが嫌だ。
口にしては負けなのだ。

「うるさいわね~。何なのよ?いらないなら飲まなくていいわよ。お子様にはジュースがお似合いなんだから」

「ちがう。そうじゃないもん」

口にしては負け。

せめてもの意地で、シュガースティックの袋を破らずにコーヒーを口にした。


「……あれ?」
思った以上に苦くない。



火野レイは、愛野美奈子の思考を熟知していた。


当たり前のように。

「……馬鹿じゃん、私」
「あんたはいつも馬鹿よ」

どうせなら全部入れてくれたっていいのに。


わかっていてワザとだと思う。

シュガースティック1つと半分でマグカップにはちょうどいい甘さ。

一杯のコーヒーがが美奈子を幸せにさせる。
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Date:2014/09/23
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