【緋彩の瞳】 恋愛自白酒 ①

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恋愛自白酒 ①

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ドクター水野が開発した、オリジナル「恋愛自白酒」の実験台として、次の3人が立候補した。ドクターとしてはありがた迷惑だが、3人ともやる気が漲っているために、許可せざるを得ないのである。
当然、“酒”といわれるアルコールも含まれているので、未成年である3人は実験結果の統計には含まれることはない。



愛野美奈子の場合。。。

「これよ、美奈子ちゃん」
「ふんふん。これが飲んだとたんに、自分の好きな人の名前をぽろっとこぼしちゃうという、なんとも素晴らしいお酒なのね」
「まだ、実験段階なんだけど」
研究室を訪れた美奈子は、高そうなボトルに入れられたピンク色の液体をまじまじと見つめ、そしてうっとりとため息を漏らした。
「で?で?当然開発者の友達なんだから、私にはタダでくれるわけよね?」
「…み、美奈子ちゃん。“実験”するのは美奈子ちゃん自身よ」
やはり、それが目的か。わかっていたけれど、ドクター水野はとりあえず微笑んでみせる。美奈子は“ちっ”と明らかに聞き取れるような舌打ちを打った後、何事もなかったように振舞った。
「そりゃそうね。じゃ、実験実験。飲んでいいの?」
早速といわんばかりにボトルに口をつけようとする美奈子。
「ちょっと待って!それは原酒だから。美奈子ちゃんは未成年だからジュースで薄くして飲んだほうが」
「あら、私のレイちゃんに対する想いは、ジュースであろうとお酒であろうと薄れることはないわ!」
誰がそんなことを聞いている。お酒を飲む前から堂々と宣言をするような相手、実験台になりゃしない。ドクター水野はそれでも、微笑みながらジュースで原酒を薄くして美奈子に渡した。

「……それでね。レイちゃんったらもう、ぷーって頬を膨らませて。それがまた。超!超!ちょー可愛いのよっ。ほら、普段は何事にも興味を示さない態度じゃない?でも、私がクレーンでガツガツぬいぐるみを取ると“私もやってみようかしら?”なんて!もう、そんな初心者が簡単に出来るわけないのにムキになっちゃってさぁっ!そこがまぁ、らぶり~なんだけどね。聞いてる?!」
恋愛自白酒を飲み始めてから、ずっとずっと“レイちゃん、レイちゃん”。わかってはいたけれど、やっぱりこれじゃぁ本当の効き目がよくわからない。そもそも、毎日といって良いほどきかされているわけだから。
「美奈子ちゃん、もうわかったわ。効果は十分得られたから。次の実験者の時間だから、そろそろ帰ってくれないかしら?」
しばらくはメモを取りながら美奈子の惚気に付き合っていたドクター水野は、ハイテンションな美奈子の頭に特大のハリセンをすぱーん!と落とす。
実験者である愛野美奈子の額には、「効果抜群のため、恋愛自白酒摂取禁止」と書かれた広告の裏紙がぺたっと張られた。



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Date:2014/09/23
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