【緋彩の瞳】 恋愛自白酒 END

緋彩の瞳

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恋愛自白酒 END


ドクター水野が開発した、オリジナル「恋愛自白酒」の実験台として、次の3人が立候補した。ドクターとしてはありがた迷惑だが、3人ともやる気が漲っているために、許可せざるを得ないのである。
当然、“酒”といわれるアルコールも含まれているので、未成年である3人は実験結果の統計には含まれることはない。


海王みちるの場合

「これです、みちるさん」
「あら、面白い色のお酒ね」
先ほどの美奈子と打って変わって、海王みちるという人物はとても冷静だった。無償で実験に協力してくれると返事をもらったときは、見返りを求めないなんて恐ろしすぎて夜道を一人で歩くことが出来ない日々が続いたと言うのに、嘘のように彼女は普段と変わらない。
「お忙しいところ、協力を感謝します」
「あら、優秀なドクターのたってのお願いですもの」
口元に手を添えて微笑む彼女の頭に黒い悪魔の↑↑がにょきっと生えたことにドクターは気がつかなかった。


原酒をジュースで割ったそれを飲み、海王みちるはほのかに頬を赤くする。
ごくり、とドクター水野は喉を鳴らしてペンとメモ長に汗をにじませた。
「…では、まず。あなたの気になっている人の好きなところをお聞かせください」
「レイ」
「いや、そうじゃなくて」
「あぁ、ごめんなさい。そうね、身長は163.5cm。体重は45kgで血液型はAB型。火川神社に住んでいて、フォボスとディモスっていうカラスと意志疎通ができる子ね。おじい様と2人暮らし。好きな食べ物はフグ。嫌いな食べ物は白い缶詰のアスパラガス。TA女学院高等部1年A組出席番号は20番。部活は弓道部。」
それはプロフィールじゃね~か。と突っ込みを入れようと思ったけれど、愛野美奈子同様この人物も一度暴れだすとやっかいなためとりあえず黙って聞いた。
「彼女の好きな言葉は“諦めは愚か者の結論”嫌いな言葉は“努力”。好きな場所は自分の部屋、嫌いな場所は人が多く集まる場所。好きな宝石はルビーで嫌いなのはパール。好きな色は赤と黒。好きな飲み物は宇治茶で嫌いな飲み物はコーラ」
火野レイの好きなものシリーズがこれでもかと続く。
「…あの」
持っているパンツの中で一番好きなものと言うのまで出てきた。そこまで知っているのなら、もはやストーカーだし、そこまで十分に彼女の好みを熟知しているのなら、海王みちるという人物が火野レイにとって好みか否かを答えられるんじゃないかと聞いてみたくなる。もちろん、命が惜しいわけであるから、聞きはしないが。


1時間続いた火野レイの好きなものシリーズのあと、火野レイの生い立ちが2時間、火野レイの未来についての予想が3時間。。。

「まぁ、ざっとこんなものかしら。この程度でよろしくて?」

ドクター水野には「もう十分です」という言葉でさえ口に出す気力はもうなかった。

海王みちるには恋愛自白酒など必要なし。
スキップで帰ってゆく海王みちるの背中を見つめながら、自分はいったい何の研究をしているのかわからず、ただじっと手を見つめるドクター水野だった。



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Date:2014/09/23
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