【緋彩の瞳】 恋は戦い! ①

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

恋は戦い! ①

「まだ、見せてくれたことがないと思わない?」
「何が?」
主語のない会話に、まことは首をかしげた。
「レイちゃんの、本当の笑顔・・・とか」
「とか?何それ?」
「ほら、笑顔意外にも、本気で怒ったりやきもち焼いたり」
「あぁ、感情っていう意味?」
「えぇ、そういうもの」
クラウンのゲーム機が騒がしい中、そんなに真剣に話す話題だろうか。まことは腕を組んで、亜美の顔を覗きこんだ。
「亜美ちゃん、レイちゃんのこと好きだろ?」
「・・・・」
「そっかぁ。だからそういうこと気になるんだね。うんうん、わかるよ」
顔を赤くして俯いたままの亜美に、納得言ったようなまことが、ニヤニヤしながら頷く。
「でも、レイちゃんは大変だよ?ライバル多いしね」
「え?多いの?」
「うん。私も好きだもん」
「まこちゃんも?!」
「うん。あのつんとしたところが可愛い」
目をキラキラさせて言うものだから、亜美は思わず一歩引いた。
「お待たせ。何しているの?」
落ち着いた声の、そして噂をしていた少女がいつものように綺麗な髪をさらっとなびかせてクラウンに入ってきた。
「ううん。さ、行こう!」
ゲームセンターとレイというのはなんともミスマッチで、まことはその背中を押して、店を出る。
「え?だって、美奈と待ち合わせしているんじゃないの?」
「どうせ、遅れてくるよ」
「そうかしら?」
「そうそう。お茶でも飲んで、気長に待とうよ」
2階の喫茶店へ入った3人。まことはレイの隣に腰を下ろそうとする。
「まこちゃん、いつもは亜美ちゃんの横に座るのに。どうしたの?」
「え?」
まさか、亜美をライバル視しています。とはいえない。
「いいじゃん。ダメなの?」
「別に」
髪を掻き揚げると、まことの頬に当たる。ほんのり、優しい香りがする。
「私、ピーチティ」
「「私も!」」
レイが注文すると、まことも亜美も我先にと同じものを注文した。

「みんな、ゲーセンって言ったのに!!」
美奈子が文句を言いながら入ってきた。
「美奈が遅いのよ」
すかさずレイが突っ込みを入れる。
「私の学校、芝公園よー。遠いんだから」
亜美の横、まことの前に腰を下ろした美奈子は手を大きく振って宇奈月を呼ぶ。
「えっと、チョコレートパフェください!」
元気よく答えた美奈子は、まもなく運ばれた3人の飲み物を見回して首をかしげた。
「みんな、同じものなの?流行なの?」
「ピーチティよ」
レイは自分が飲んでいたものを美奈子に差し出す。
「へぇ」
((か、間接キッス))
亜美もまこともストローの行く末を追いかけながら、心の中で叫んだ。ごくり。
「結構、おいしいわね」
「でしょ?」
手元に帰ってきたものは、もちろんレイの唇に触れる。
「み、美奈子ちゃん」
「どうしたの、まこちゃん?」
「人のものを欲しがるのは、よくないんじゃない?」
「まこちゃんがそう言うだろうと思ったから、レイちゃんからもらったんじゃない」
「そうじゃなくて!」
ムキになるまことを、隣のレイは不思議そうに見ている。
「お待たせいたしました」
やってきたチョコレートパフェ。美奈子は早速スプーンを持ち、アイスを掬った。
「美奈、本当に幸せそうに食べるわよね」
「悪い?」
「別に」
手を伸ばしたレイは、パフェに付けられているウエハースを抜き取り食べる。美奈子は気にすることなく、チョコの付いたバナナを食べている。
「そういえばさ、この前のお買い物でお小遣い使ったから、今月ピンチなのよね」
「何の話?」
食べながら真剣な溜息をつく美奈子に、亜美は適当に相槌を打った。
「レイちゃんがね、水着買いに行くっていうから付き合ったのよ。で、私も買ったんだけど、そこの水着高いんだもの」
「買わなきゃよかったのに」
「そうは言ってもね、やっぱレイちゃんが買っている横で、見ているだけなんて」
「美奈はただ、荷物持ちをしていればよかったんじゃないの?」
「私は、レイちゃんの家来じゃないわよ」
「じゃ、来なきゃいいじゃない」
つんと答えるレイ。ここにもライバル、しかも優位にいる人物がいたんだと、亜美もまことも思
い知らされる。
「レイちゃんの水着、見てみたいな」
「やだー、まこちゃんえっちぃ」
ぽろっと出た本音に、美奈子がすかさず突っ込みを入れる。
「別にそんなんじゃないよ!」
「はいはい。もう、レイちゃんモテちゃって。憎いわよ、この色女!」
「口の中のものを飲み込んでからしゃべりなさい、美奈」
何を言われようとも、軽くあしらう。自分もこういう風になってみたいとまことは本気で思う。
「さーて、そんじゃゲーセンで遊ぼうよ!ね、ね、いいでしょう?!」
テンション高く元気いっぱいの美奈子は、まことの腕を掴んでズンズンと進んで行った。
「どうする、レイちゃん?」
「仕方ないんじゃない?」
亜美の問いかけに、別に嫌そうな顔もせずあとを追いかける。レーシングゲームのシートに腰
を下ろした美奈子の傍まで来て、画面を覗き込むから、レイが興味あるのかと亜美は少し思った。
「レイちゃん、それじゃぁ前が見えないじゃない!」
「美奈、お金入れてないわよ」
「へ?あ、本当だ」
足元の鞄から財布を取り出した美奈子の表情が渋っている。
「何?」
「小銭がない。パフェのおつりで、10円玉ばっかり」
「といいながら、いつまで居座り続ける気?」
「だってぇ・・・」
涙目で訴える美奈子に、レイは自分のお財布からコインを出して機械に入れた。
「サンキュー。もう、レイちゃん大好き」
「貸すだけよ。利子つけて返してもらうから」
アクセルを勢いよく踏んだ美奈子の頭を軽く叩くと、美奈子の分の鞄を預かり、レイは隣でリラ
ックスして観戦し始めた。
「レイちゃん、美奈子ちゃんに甘くない?」
「まこちゃんもコインがないの?」
「いや、そういうわけじゃなくてさ」
追求できないまことは、結局諦めるしかない。美奈子の隣で周回遅れにならないように、必死に
食らいつく。結局美奈子は、レイに何枚も100円玉を要求していた。


「じゃ」
クラウンから出て、レイと美奈子は右に曲がる。まことと亜美は左。美奈子がレイの腕を取り、
スキップしながら帰ってゆくのを見送りながら、二人はどちらともなく、溜息を漏らした。
「クッキーでも作って、遊びに行こうかな」
「いいわね、まこちゃん」
「亜美ちゃんだって、お勉強会する約束していたじゃないか」
お互いに、奪い合うより励ましあっていることに気付かない二人。
「とにかく、美奈子ちゃんが問題よね」
「そうだな」
他人にあまり興味を持たないレイが、何かと美奈子の世話を焼くのはちょっと許せない。本音
が一致した二人は頷きあった。

「じゃーね、レイちゃん!バイバイ!!!」
「あ、美奈」
「ん?」
「明日、食べに来るでしょ?」
「うん」
「何がいい?」
「うーん、オムライス☆」
「わかったわ。買い物してからだから、6時以降に来て」
「OK!そんじゃ」
スキップして帰る美奈子の背中が見えなくなるまで見送ったレイは、1つ、溜息を漏らして鳥居をくぐった。


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Date:2014/10/21
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