【緋彩の瞳】 恋は戦い! END

緋彩の瞳

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美奈子×レイ小説

恋は戦い! END

「レイちゃん」
「なぁに、まこちゃん」
「そのさ・・・一緒に海に行かない?」
「海?」
掃除当番の亜美、居残りのうさぎを置いて、まことはダッシュでクラウンへ向かうと、先に来ていたレイの腕を掴んでそっと耳打ちをした。
「うん。知り合いがさ、ホテルで働いていて。夏休みに遊びにおいでって。もう来週から休みに入るだろ?どうかな?」
「そう。別に構わないわ。美奈に言っておくから」
「あ、いや・・・」
“二人だけで”という言葉がどうしても伝えられない。まことはしょんぼり肩を落とした。
「どうしたの、まこちゃん?」
「ううん。楽しみだね」
「そうね」
なかなか二人になれない。まことは遅れてやってきた美奈子を見ながら、身体中の重たい空気を
吐き出す。

「レイちゃんさ、いい加減に気付かないの?」
「何のこと?」
「まこちゃんも亜美ちゃんも、レイちゃんを狙っているわよ」
「狙っている?何のこと?」
「決まっているじゃない。恋よ、恋。LOVE」
背中を抱きしめれば、髪を引っ張られる。美奈子はふてくされて、腕の中の姫を解放した。
「冗談でしょ?」
「まこちゃんがレイちゃんだけを海に誘うと思う?亜美ちゃんが美術展にレイちゃんだけを誘うと思う?行くならみんな誘うでしょう。レイちゃんをゲットしたいのよ」
「あっそう」
興味も示さずに、神社の階段を上ってゆく。
「ねぇ、レイちゃんはどう思うわけ?」
あとを追いかけて、レイが玄関から入るのもお構いなしに、先に縁側からレイの部屋に乗り込んだ美奈子は、ちょっと拗ねた声を出した。
「何が?」
「だから、二人のこと。どっちかに靡くわけ?」
「仲間でしょう?」
「そういうのよくない。はっきりしてよ」
「私はまだ、告白を受けたわけじゃないわよ」
先に部屋に入っている美奈子の拗ねた声にも、特別興味なさそうに、レイは制服を脱ぎ始める。
「うとい」
「何?」
「レイちゃん、どっちか選ぶつもりあるの?」
「だから、あるわけないでしょ?」
箪笥から取り出したノースリーブのワンピース。制服をハンガーにかけて、ワンピースの背中のファスナーに手を伸ばした。
「美奈、やって」
「あのさー、私の気持ちに気付かないで、よくこんなことお願いできるわよね」
「何?さっきから何なのよ?言いたいことがあるなら、はっきり言ってよ」
白いワンピースを着たレイは、髪をさらっと手櫛で梳くと、美奈子へと振り返った。
「まこちゃんや、亜美ちゃんには、あまり素顔を見せないくせに」
「そう?私、人付き合いがうまくないから」
「でも知り合って1年以上でしょう?」
「それが何?」
面倒くさそうな表情を見せて、ベッドに腰を下ろすレイ。美奈子は正面に座った。
「レイちゃん、私のことが好きだと思ってた。私には心を開いているから、私のことが好きなんだと思ってた」
「何のことよ?」
「だって、まこちゃんたちとは、こんな風に近付いて、いっぱいしゃべらないくせに」
唇が触れる寸前まで顔を近づけても、レイは逃げない。
「・・・・・・・美奈は、いつになったら想い出すの?」
「何よ?」
「うといのは、美奈のほうよ。最低」
表情を一つも変えないくせに、喧嘩を売る。怒っているのか冗談なのかもよくわからない。
「な、何よ?最低って何のことよ!」
「想い出すまで、キスなんてしないから。離れなさいよ」
美奈子の口を手で塞いだレイは、押しのけて立ち上がった。
「いったい何よ、レイちゃん!」
「さぁね?とにかく、別に私はまこちゃんと二人で海に遊びに行くのが嫌だから美奈たちを誘ったわけじゃないわ。いいのよ、別に来なくても。亜美ちゃんとうさぎと4人で楽しめば済むことだもの」
「行くわよ!」
「何をムキになっているの?」
キス未遂で終わったら、誰だって怒るだろうと美奈子は思う。
「わからないよ、レイちゃんの心の中」
「馬鹿。人の心を知ろうとするなんて、所詮無理なのよ」
「私のこと、好きじゃないの?」
その問いに、レイは答えない。
「帰ったら?いつまでここに居座るのよ」
「答えてくれなきゃ帰らない」
「答えても、帰らないでしょう?」
「そうよ」
レイと本気で睨み合えるのは、自分だけ。美奈子は瞳を逸らさなかった。
「さぁね?気兼ねなく何でも出来るという面では、便利な存在よね」
「レイちゃんの馬鹿!」
「馬鹿はどっちよ」
一体どうしろって言うんだか。




「まこちゃん、一緒の部屋にしましょうね」
「い、いいの?!」
「もちろん」
海へ向かう電車の中では、レイは亜美の横に腰を下ろし、ツイン、トリプルのホテルでは、レイはまこととツインに泊まると言い出した。そう、喧嘩してから3日。美奈子とレイは挨拶さえ交わしていない。
「さーて、泳ごう!」
ビーチへ向かって走り出す輪。レイは泳ぐつもりなどない。水着の上からTシャツを着込んで、チェアに座った。
「ねぇ」
「・・・・・何よ」
「そんなところにいると、ナンパされるわよ」
「美奈に関係ないじゃない」
「・・・・そうよね」
ビーチパラソルの影の中から出ようとしないレイ。美奈子はもっと素直に謝ればよかったと思いながらも、謝らなくてよかったとも思う。
「何よ」
呟いて、仲間の元へ走る。小さくなったレイが、さっそくナンパされていた。

部屋に戻っても、当然レイの姿はない。
「いいなぁ、まこちゃん。レイちゃんの寝顔見ちゃうんだよね」
うさぎのうらやましそうな声に、不安が募る。
「うさぎちゃんも、レイちゃんが好きなの?」
「へ?美奈子ちゃんもなの?」
「え?っていうか・・・亜美ちゃんもまこちゃんもだよね?」
話題を亜美に振ると、恥ずかしそうに認める亜美。
(誰と一緒になっても、危ないわね)
美奈子のそんな考えは同時に亜美の、そしてうさぎの脳裏を掠めた。時刻は12時を回っている。
「でも、美奈子ちゃんとレイちゃん、最近喧嘩してなかったっけ?」
「別に」
「うそだー!レイちゃん、美奈子ちゃんと仲良かったから諦めてたけど。チャンスだよねー、亜美ちゃん!」
うさぎが一人脱落者を決めて、喜んでいる。美奈子は黙ってベッドの中に潜った。

「お休み、まこちゃん」
「うん」
レイはさっさとベッドに横になると、目を閉じた。まことも寝転がるが目は閉じない。少しく
らい、レイの寝顔を見ていても罪にはならないだろうと思ったからだ。
(うーん、暗くてよく見えないや)


時計の秒針がうるさい。いったい今何時だろう。隣のうさぎは、完全に熟睡している。亜美も、
声を掛けたが寝ていた。そっと起き上がって、壁に耳を当てて見る。
(なにもないみたいね)
だけど、気になる。こんなに傍にいるのに。喧嘩なんてしなければ、絶対同じ部屋だった確信は
ある。
(でも、私は悪いことなんてしていないわ)
それでもレイが何かに対して怒っているのは確かで。その原因をつかめていないのも確かだ。
「会いたいよ・・・」
半べそかきながら、気が付いたらオートロックの部屋の外に出てしまっていた。
「開かない・・・なんで?」
ガチャガチャとノブを引いたり押したりして、ようやく寝ぼけた頭で、やってしまったことに気
が付く。
「うー・・・」
美奈子は、やけくそになって隣の部屋の扉を叩いた。

なにやら、鈍く響く音が聞こえてくる。レイは目が覚めてしまった。
「ん・・・まこちゃん」
「・・・何?」
隣のまことを揺すり起こしたレイは、サイドライトを付けて目を擦る。
「誰かいるのかしら?」
「さぁ?見てくるよ」
あくびをかみ殺して、まことは立ち上がった。
「誰だよ、まったく」
扉を開けて、飛び込んできた人物は、一直線にレイの元へと走る。
「な、何?!」
「・・・・・よかったぁ」
「美奈子ちゃん?」
まことはその人物が誰なのかようやくわかって、声を掛けた。
「レイちゃん、まこちゃんに何もされてない?」
「え?」
「触られてない?」
「何なの?抱きついているのは美奈でしょう?」
状況が読めないレイは、美奈子を引っぺがして頭を叩く。
「レイちゃん・・・ねぇ、なんで怒ってるの?」
それは、あなたが何もかもを想い出さないから。そう言えたら、戸惑うことなく美奈子を抱き寄
せることが出来るのに。
「自分で考えてよ」
「わからないわよ」
二人の間にあるのは、すれ違う想い。過去と現世の想い。
「なんだか・・・立て込んでいるみたいだから、隣の部屋に行くよ」
まことは、諦めの溜息を漏らしながら、部屋を出る。
「あ、でも・・・」
「いいよ。美奈子ちゃんがそこまで一緒がいいっていうならね」
止めようとするレイに、まことは寂しそうな笑みを浮かべた。
「美奈、こんな時間に寝ぼけてないで、さっさと寝たら?」
「ねぇ、怒っている理由教えてよ」
「嫌」
廊下からは、隣の部屋の扉をバンバン叩く音が聞こえてくる。寝ぼけたまことも、美奈子と同じ
ことをしていた。ようやく、気配が消えると、レイはベッドに寝転がって、サイドライトを消し
た。
「お休み、美奈。隣のベッドで寝てね」
「レイちゃん、いい加減に教えてよ」
「隣で寝なさい」
ぽんっと軽く肩を押されて、美奈子は一度ベッドから降りた。
「ねぇ」
隣のベッドには行かずに、レイのベッドサイドに腰を下ろして、ブランケットの中に手を入れる。
胸の膨らみに触れてしまった。
「スケベ・・・ちょっと、何やってるの?」
「ごめん、胸を触るつもりはなかったんだけど・・・」
「嘘吐き」
即座に言い返されて、美奈子は結局ブランケットの中から手を引っ込めた。
「少し嘘、吐きました」
両手を上げた美奈子は、大人しく隣のベッドに移った。
「ねぇ」
「何よ」
「そ、そんなに棘のある声にならなくてもいいじゃない」
天井を見ても、壁を見ても、気になるのは隣のベッド。
「何?早くして」
「・・・一緒に寝ようよ」
早くとせかされて、美奈子はポツリ呟いた。
「なぜ?」
気持ちをわかって、この人はおちょくっているのだろうかと、時々思う。
「好きだから」
それに対して、レイの返事はなかった。美奈子は溜息を漏らして、目を閉じる。
「・・・・来れば?」
「へ?」
「何してんのよ。早くしなさいよ」
こんな夜中に、寝ぼけているのではないだろうかと、美奈子は間抜けな返事を返した。
「う、うんっ」
がばっとブランケットから抜け出して、枕と共に、レイの横に寝転がる。セミダブルのそれは、
よほどお互いが離れようと努力しない限り、素肌が触れ合う距離なのだ。
「本当にいいの?」
「あんたがうるさいからでしょ。その代わり、私より先に起きて、ちゃんと起こしてよ」
「うん、もちろん目覚めのチューを・・・」
「キスなんてしてみなさい?息の根止めてやるから」
「・・・しないで、ちゃんと起こします」
美奈子はレイの身体に回そうとしていた左手を、右手でぱちんと叩いて見せた。
「ライバルはまだまだ続々と登場するんだからね。しっかりしなさいよ、美奈」
無意識に自分の手がレイに触れてしまわないように、美奈子はレイに背を向ける。なにやら耳元
で彼女が囁いていたけれど、聞き取れなくて、尋ねてみる。
「なんでもない」
レイははっきりとそう言うと、背を向けて欲望と戦う彼女の敵たちを思い出していた。彼女達は
今頃、どこで何をしているのだろうか。転生しているのだろうか。
美奈子の戦いは、まだまだ続く。


HAPPY BIRTHDAY MINAKO
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Date:2014/10/22
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