【緋彩の瞳】 彼女を殺すのは私しかいない ⑤ (R18)

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

彼女を殺すのは私しかいない ⑤ (R18)


「レイ」
「……みちる」
ボロボロになったネプチューンとウラヌスの姿は、何度もうさぎのそばに行こうとしたことをたやすく想像できた。
「簡単に近づけないのよ」
「そのようね」
「あの馬鹿な子、敵側に操られている生徒を助けようとここまで1人で乗り込んで来たらしい」
「……そんな気配はなかったわ。どうしてそんな急に」
「咄嗟なのでしょう。無駄な優しさが仇となったのよ」
「行くわ」
やつらを一気に叩いて突っ走っても、まだ力は残るだろう。たどり着きさえすれば、あとは全てを終わらせてしまうだけ。
「……レイ」
みちるがレイの名前を呼んだ。何を言いたいのか、今は聞きたくないし考えられない。
「援護して」
炎を身にまとい、マーズは走った。
ヴィーナスが地下へたどり着く前に、どうか全てが終わりますようにと願いながら。



足元から地響きが聞こえてきて、すさまじい爆風と熱が襲い、身体を吹き飛ばした。
敵は地下にいるのではないか。下へと降りながら走り回っていたヴィーナスは、先ほどから何度も通信機のボタンを押しても応えないマーズの身に何か起こったことを察し、地下へと急いで降りている最中だった。ひどい眩暈と暗闇の中、自分が宙に浮いているということを認識する間もなく、身体は壁にぶつかった。
世界が吹き飛んでしまったのではないか。自分はどこにいるのだろう。ここはどこだったのだろう。キツく目を閉じていたヴィーナスは、恐る恐る目を開けると、この世の終わりのような景色が広がっていた。
どうやら、建物が崩壊して、熱風の渦の中にほとんどを持っていかれてしまったようだ。
「……うさぎちゃん…!うさぎちゃん!!!レイちゃん!まこちゃん!亜美ちゃん!」
仲間たちはどこにいるのだろう。
瓦礫によろめきながら焦げた闇渦の中名前を叫んだ。
「うさぎちゃん!」
彼女が敵に落ちて銀水晶を奪われたせいでこんな恐ろしい事が起きたというのなら、この世界は終わってしまう。
「うさぎちゃん!!」
瓦礫の坂を転げ落ちたヴィーナスは、そこに光り輝く聖なる女神を見つけた。
銀水晶の光。プリンセスは生きている。
そう、確信した。


プリンセスの元へとたどり着くまでに、思った以上の体力を使った。うさぎを襲おうとするタウ星系の支配者どもを相手にすれば、そちらに力を注ぎ、本来の使命を果たせなくなる。だが、マーズがたどり着くより早く、プリンセスが銀水晶の力を解放させて敵を倒してしまえば、そちらも本来の使命を先送りするだけになる。

迷いなどなかった

プリンセスの命が途絶えれば、あるいは銀水晶の力を得られない敵はやがて衰退するに違いないだろう。

この使命から解放されるのは、今しかないのだ

左手が熱くなる

銀河で唯一、銀水晶を砕くことのできる“アレスの剣”

この焔に包まれる剣で、実際に誰かを切ったことがあるのは、あの時だけだった

星の使命がこの剣を振りおろせと叫ぶように、マーズの右手に現れる。
ヴィーナスはそばにいない。そばにいるのはみちるだけだ。彼女は止めないだろう。
“レイ”が死んだらきっと泣いてくれるだろう。

死んでもいい

死んでもいい


柄を左手で握り締めた。ジリリと火傷をするのではないかと思うほど熱い。
握りしめた途端、熱風がマーズを囲み、それに反応するように敵が先に銀水晶に手を伸ばし始めた。
「うさぎ!起きなさい!」
まだだ。最低でもうさぎが変身していなければ、ただうさぎを殺すだけになってしまう。
マーズの叫び声に反応したのか、うさぎがうっすらと目を開けた。
「変身するのよ!」
言葉よりも早く、敵の触手が銀水晶に伸びた。
「うさぎ!」




“彼女を殺すのは私しかいない”


関連記事

*    *    *

Information

Date:2013/11/14
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/39-7055f832
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)