【緋彩の瞳】 彼女を殺すのは私しかいない ⑥ (R18)

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

彼女を殺すのは私しかいない ⑥ (R18)


条件反射のようにマーズはその触手を焼き尽くし、剣を振りおろした。

巨大な炎が地下を包むと、熱風が建物を吹き飛ばすように吹いた

違う

まだ何も始まっていない!
まだ、何も終えていない!

声に出して叫んだが、剣はすでに手元から消えている

でも、まだ死んでいない
使命があるのだから死ねないのだ


「……うさぎ、どこ?」
うさぎではなく、レイが咄嗟に剣を下ろした相手はデス・バスターズの本体だった。ネプチューンはその直後、熱風に吹き飛ばされて目を閉じたまま、建物が崩壊していく音だけを聞いていた。

邪魔ものを排除してしまいたかったのか
うさぎを守りたかったのか
レイは瞬間に葛藤したに違いない
それでも“火野レイ”が友達の“月野うさぎ”を守ろうとしたようにしか、見えなかった。
「レイ……」
「うさぎは…」
生きているとはとても言えない真っ白な顔。気力だけで立っているような姿。
レイは……マーズは、この戦いで全てを終わらせることをまだ、諦めていなかった。
その腕を捕まえて、抱き寄せて、やめてと言えば。

たぶんその瞬間に焼き殺される

目の端にとらえたうさぎのお団子頭を黙って指差した

崩壊する直前に変身をしていたらしいセーラームーンは、無傷のまま神々しく佇んでいる

「あぁ……よかった」
マーズは呟いて、ふらりふらりと近づいてゆく
もう一度、あの剣を手に取るとしたら、もう全てを使い切ってしまう
殺されてでもいいから、レイには生きていてほしいと嘆願を許されるのだろうか
「……みちる、いいのか?」
近くにいたウラヌスが膝で立ち、神に命を乞うようにマーズの背中を見つめている
「その答えを持ち合わせていないわ」
「そうか」

プリンセスがマーズに向かって満面の笑みを投げかけるのが見える

その笑みをどんな顔で受け止めているのだろうか

マーズの左手に現れた焔

剣が鞘からゆっくりと抜かれた

その背中越しに、プリンセスの笑みが引き攣ってゆく



「うさぎちゃん!!」


火傷するように熱い。もう、これが剣を握りしめる最期だと思うと、どんなことがあっても振り下ろさずにはいられなかった。
プリンセスの震えるような眼差しは、ついさっきまでの安堵した笑みからは想像もできないくらい、美しいとさえ思う。

何の罪もない
いや、生きていることが罪なのだ
マーズもまた、生きていることが罪なのだろう

2人が死ねば世界は救われる。
なぜ、死んだ後の世界を救わなければならないんだという自問自答を、何度繰り返したのかわからない。それでも、生きている限りその答えは出せないのだ。

「………ヴィナ……」

あぁ

また

彼女を殺すのは私でしかないのだろうか
剣を持つ腕が痛い



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Date:2013/11/18
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