【緋彩の瞳】 愛狂 (R18)

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

愛狂 (R18)

「……もぅ…だめ…」
何度目かの快楽の海に沈んだみちるは、視界が霞んで緩やかに眩暈のようなものを覚えた。
誘ったのは自分からだったけれど、いつのまにか組敷かれていた。彼女の乳房に触れる隙も、鳴く声を聞くこともできずに、一方的に愛され続けて体力を削られてしまう。
「気持ちよかった?」
「……意地悪ね」
「誘ったのはそっちでしょ」
「……私がしたかったのに」
果てた身体の上に乗って、指にみちるの髪を絡めながら余裕の笑みを見せるから。本当はすぐにでもその身体を愛でたい。でも、まだ腕をあげるのも辛い。に髪を引っ張ってキスをねだり、舞い降りる温もりを唇で堪能する。
それだけで身体中が満たされてゆく。何度溺れても、何度追い詰められても、それでもレイの素肌を感じられるこの幸せが、みちるの理性を奪ってしまう。


このまま死にたいと声に出したくなる


互いのわずかな呼吸の音を奪い合うように唇を愛でた。レイの両手が腰を這って、乳房をなぞる。もう体力が続かないって思っても、それでも唇からレイへの想いが肺をみたして、彼女の指を欲しいと待ちわびている。
「……ぁ…ぃっ…」
ついさっき引き抜かれた指がまた、渇きを知らないみちるの奥深くに沈んだ。喘ぎ漏れる声がレイの唇に塞がれて、指が一気に快感へと誘う。
唇を重ねるだけでも、身体中にチリチリと電撃のような快楽が走るのに、こんなことをされたら本当に死んでしまう。
レイの背中をかき抱いて、背中が小刻みに震えるのも隠せずに何度も腰が踊った。
永遠にレイという世界だけに沈んで殺されてしまえばいいと願い、それからまた2度果てた。
囁く愛の言葉をレイは口にしない。
それでもみちるを見つめる瞳が、その愛を綴る言葉よりも深い想いをくれる。
汗で絡む髪を撫でられながら、縋りついて目を閉じる。
愛してると口にする力も奪われて、そのまま意識を失うように眠りに着いた。



「…………レイ?」
目を覚まし、腕を伸ばすと温もりの残っているシーツだけの感触しかなかった。その波間にレイを這うように探す。
「ん?」
「……レイ」
身体はまだけだるく、起きあがることもけだるい。
それでも足の付け根に感じる重みが、幸せを刻まれた満足感を携えている。
「おはよ。冷蔵庫に何もなかったから、何か買ってくるわ」
レイはベッドサイドに腰を下ろして背を向けながら、長くしなやかで艶めいた翠黒の髪をさらっと右の肩の前に束ねた。足元に落としてあったブラを取り、細い腕に通す。
一連の動作はとてもセクシー。
その背中、その流れに魅せられる。
髪が邪魔にならないように気を使いながら、みちるを愛した指が器用にホックをつける。
そっと近づいて、その背中に掌を置いた。
「ん?…なぁに?」
「……黒いランジェリーなんて持ってたのね」
「昨日脱がせておいて、今更?」
「ちゃんと見てなかったわ」
髪を掻きあげる仕草。
セクシーなんて口に出したら眉をひそめて睨まれるだろうから、心の中だけでとどめた。
「……綺麗よ」
「髪が?それともランジェリーのこと?」

レイ
その存在の全てが
神よりも気高く眩しく、そしてみちるの心に杭を打ち込み、その痛みも愛せと迫るような想いが

「髪も綺麗だし、レイのその姿も悪くないわ」
「そう?」
適当な相槌を打ちながら、そのことにはたいして興味もなく、淡々と下着を付けて立ち上がる。髪を払ってどこかに放り投げてしまったシャツをベッドサイドで探している。
「ねぇ、レイ」
「ん?」
真っ白いシャツ。黒いランジェリーが透けて見えている。
「あなたはずっと、私だけのもの?」
「………どうしたの?」
「答えて。レイは私だけのもの?」
赤い花の刺繍が描かれた、みちるがスペインに行った時に買ったシャツ。着る人を選ぶそのデザインは、やはりレイには似合っている。腕を伸ばすと、少し面倒な顔をしながらもみちるの腰にまたがってきた。
「………どういう答えだと満足する?」

みちるだけしか映されていないその瞳がとてもセクシー
肩からシャラシャラと音を鳴らしながらみちるの胸を包む艶やかな髪も
意地悪く上げられた口角も
みちるを愛してくれる指も


「決まってるわ。レイはみちるだけのもの。レイというものを形成するすべてはみちるだけのためにあるって」
吐息のような溜息を隠しもしない乳房に吹きかけて、それは少し笑っているようだった。みちるの身体中に咲き誇る花は、レイのシャツの赤い花よりも早く色褪せてしまうけれど、何度でも咲かせることはできる。この身体を愛撫してくれるレイの唇があればいい。
「……それは、抱いてっていう新しい誘い文句なの?」
「違うわよ」
「そう?」
「えぇ、真剣よ」
愛を乞うように両手で頬を包んだ。秋の朝はそのきめ細やかな肌をひんやりとさせてしまっている。みちるだけが映された瞳。じっと見つめる眼差しに、殺されたい思いが胸を押し潰して、叫びたくなる。
「じゃぁ、真剣に考えるために時間を頂戴」
「即答じゃないの?」
「…………さぁ?おなか空いたもの。みちるの望む答えを言ってしまえば、私は朝食を逃すことになるわ」
レイの指が乳房を愛で、触れることを望むように固くなる頂きに甘い痛みを与える。
それだけで、腰が震える。
「私はあなただけのものよ、レイ」
「……そんなの欲しくないわ」
「そうね」
レイがそう言うことくらいわかってる。それでも口にしておきたい想いはある。
「本当にみちるさんのすべてが欲しいって思ったら、その瞬間に殺してるもの」
殺されたい
甘く緩やかに首を絞めつけられて、絶望してゆくその刹那もレイと見つめ合っていられるのなら
そんな快楽の中に身をゆだねられるのなら
「………欲しい」
「朝食がランチになっちゃうわよ?」

死の淵をさまよう、その最果てに近い所へ連れて行って
すぐにでも連れて行って

「欲しいの……」
シャツのボタンをはずしながら、みちるはレイをねだった。
黒いランジェリーの胸元にも赤い花の刺繍があしらわれている。
なんてセクシーな姿なのだろう。
みちる以外の誰かの手がこの素肌に触れるようなことがあれば、その人を殺してしまうかもしれない。
あぁ、だけど、レイがその人を愛していればみちるは、自らの命を終わらせるしかない。
「レイ、愛して」
「……どうしたの?」
あなたがとても艶めいているから
いつまででも欲しい気持ちを止められなくなったから
「そんなセクシーなランジェリーをつけるからよ」
「欲情した?」
「………そうかも」
溶け合えない指がもたらす絶頂は、レイという存在がみちるの魂を揺さぶる唯一だと、ちゃんと伝わっているだろうか。
「私が欲しい?」
「欲しいわ」
「せっかくシャツ着たんだから、脱がないわよ?」
小さく笑みを漏らしながら、それでも身体を寄せてくる。お互いの胸を押し付けあうようにして抱きしめる。
「ブラを着けている後姿が……艶っぽかったわ」
「……何、そこからずっと欲情していたの?」
「いつだって、レイが欲しいって思っているわ」
一糸まとわぬ姿のままのみちるの太ももの内側をなぞるレイの右手。
触れられなくても、どんなことになってるかなんて、わかっている。
「んっ……」
「みちるさんは、身体も言葉も素直だわ」
「レイ……あっ」
全身を愛撫されるよりも、その瞳だけで欲しいと鳴き濡れる中に溶け合えない指が入れられた。
「殺したら、その声も聞けないから、まだ殺さないでおくわ」
「………あなたが好きよ。とても好き。殺されたいくらい」

最果てのその淵につま先で立って、二人で愛を交わらせて目を閉じて
世界を置き去りにしても構わないから

「気持ちいいって、普通に言えばいいのに」
レイは視線をそらしながらつぶやいて、小さく笑う。攻め立てられる身体は、快楽の渦がいきなり押し寄せて、すぐに果てた。
「みちるさんは……セックスしているときの顔がすごくセクシー」
「……バカ」
「本当だもの。何度でも見ていたいの。私の指に溺れる人魚……とても好きよ」
好きだなんて、あまり言わないのに。
「溺れ死ぬわ」
「死なせたいけど、まだ駄目よ」
「………いつか、殺してみせて」
唇を求めると、軽く触れる程度のキスをひとつ。
このまま死にたいと願っているみちると、死なせたいと願っているレイの愛の行く先は同じ場所だと信じてる。
「考えておくわ」
「きっとよ?」
「えぇ」

レイ、その艶のある髪も声も存在のすべてが愛しい。
愛しても愛しても愛しても、満たされることのない欲は次から次に溢れるの。
狂ってしまう。
殺されたいと願っているのだから、もう狂っているの。


愛に狂う
愛が狂わせる
愛に殺される

それが快楽になって果てへと誘う


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Date:2014/11/25
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