【緋彩の瞳】 take care 2

緋彩の瞳

みちる×レイ小説

take care 2

眠気が襲い、部屋の明かりを消してみちるは寝ていた。半分ふてくされていた。
身体が熱い。あまりに暑苦しくて目を覚ます。
「起きたの?」
「ん?……」
「暑いの?汗かいてる」
「……レイ」
いつの間に帰ってきたのだろう。まったく気がつかなかった。
「汗、拭くから。脱いで待ってて」
サイドランプだけついていて、レイの顔がよく見えないしせっかく会えたと思ったら、また姿を消してしまう。もう、そんな態度もどうでもよくなって、みちるはゆっくり起き上がると言われたとおりにシャツを脱いだ。
身体が火照って気分がよくない。
「熱、上がってきたわね」
濡れたタオルを持ってきた彼女は、背中の汗を拭いてくれた。
「ありがと……」
「後で熱、もう一度計ったほうがいいわね」
「えぇ」
彼女の手が身体の前へと向かう。
恥ずかしくて俯く。
「自分で出来るわ」
「病人でしょう?」
そう言うと、問答無用で寝かされる。時々、彼女の冷たい指が胸の膨らみを掠めた。
熱でぼんやりしていた思考が少しの間だけ敏感になる。
でも、彼女の不機嫌には変わりなかった。
「……ごめんね。呼び出したりして」
レイは基本的に自分のペースを相手に合わせることが苦手な人間。
分かっていて、それを愛している。
気まぐれにキスをしてきたり、気まぐれに求めてきたり、求められたり。
どちらかといえばみちるが振り回されるけど、そのほうがみちるにとってはよかった。
今は不調を理由にして、レイを振り回しているのだ。
「謝る必要があるの?」
「忙しかったでしょう?」
「……そうね、間に合わなかった。いろんな意味で…」
何か意味ありげな言葉を呟くレイに、みちるはまたごめんねと呟く。
「それはみちるのせいじゃないけれど。はい、脚より下は自分でやってね。それともやって欲しい?」
なんでそんなに不機嫌なのだろうか。
みちるはタオルを受け取る。
レイはクローゼットから新しいパジャマと下着を取り出して、投げよこしてくれた。
「着替えさせてあげましょうか?」
裸同然になったみちるに声を掛けるレイ。みちるはタオルを桶に入れて、首を振った。
「それは自分で出来るから」
「あっそ」
そっけなく返事をした彼女は、脱いだ服と桶を持って部屋を出て行った。
彼女の不機嫌に少し嫌な気分になってくる。
着替え終わった頃に、彼女はまた桶を持って入ってきた。
「体温、計った?」
「……まだ」
言うより早く、体温計を差し出される。計っている間に、彼女は冷たいタオルを額に乗せてくれた。
「レイ、あなた夕食食べたの?」
「まだ。これが終わったら食べるわ」
「そう」
こんなに不機嫌な彼女でも、やっぱり傍にいてほしいと思う欲は身体中から溢れている。
「冷蔵庫に暖めるだけのグラタンか何かがあったと思うわ。食べていいから」
「そう」
彼女が時計を見る。それに合わせてみちるも時計を見た。10時前になっている。
「おうちへ帰る?」
「帰るなって言う顔をされて、帰るわけにはいかないでしょう?」
計り終わった体温計を見ながら、そう言われた。もう少し嘘でもいいから笑ってもらいたい。
「結構上がったわね。後は下がるだけよ。ちゃんと寝てなさいね。風邪じゃなくて、疲れているんじゃないの?ここのところずっと、コンサートとかで忙しかったし」
「そうね」
彼女はタオルをひっくり返すと、明かりを消して部屋を出て行った。行かないでとは言えない雰囲気で、みちるは言葉を飲み込んだ。


いつの間にか、また眠っていたようだった。息苦しさを覚えて目を覚ます。
あたりは暗かった。
「どうしたの?」
声がしてあたりを見渡す。
「……レイ」
「何?」
サイドライトが付けられて、眩しさに一瞬目がくらむ。
「暑い?汗かいたほうが治りやすいわよ」
乾いたタオルで頬を撫でられる。彼女の冷たい指が頬に触れた。
「ずっとそこにいたの?」
「いなきゃ、タオルを誰が変えるの?寝相悪いから、すぐに落ちるし」
毛布に包まって、彼女はベッドサイドにいた。
「レイ」
不機嫌なはずなのに。それでも彼女は精一杯気を使ってくれている。分かっているのに。ふてくされた自分が情けない。
「何?何か欲しいの?」
「もういいから、あなたも寝なさい」
「気にしないで」
「でも……」
「朝になったら寝るから。私のことを心配するくらいなら、寝て」
命令するような彼女に、みちるは何も言い返せない。レイは優しさを人に伝えることが酷く下手だ。だからすぐに誤解される。みちるだって何度も疑ったことがあった。

今日だって。
今だって。

そのことについて苦言したくても、今は言える立場じゃない。
「そうね」
彼女に言われたとおり、みちるは目を閉じた。それでも、しばらく眠れそうになくて。
ライトが消されたのを確認すると、しばらくレイの存在を確かめていようと思った。


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Date:2014/12/17
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