【緋彩の瞳】 レイの悩みの種 ①

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

レイの悩みの種 ①


セーラームーンスーパーズのアニメより、アイディアを失敬したうえでの
原作美奈レイ+みちる



「……もとは、私が衛さんに教えてもらいたいって言ったせいだから、ごめんなさいね」
亜美ちゃんは心苦しいと言わんばかりに、レイに頭を下げてきた。
「いいの、そんなの。それより、消火器をぶちまけてしまったのは、間違いなく私だもの」
隣のマンションの人が、やってはならないベランダバーベキューをしていたせいで、その煙を見たダイアナが火事だと大騒ぎ。衛さんの部屋に集まって勉強していたメンバーは、大慌て。美奈が消火器を持ってきてと叫ぶから、レイはそれに従って取に行った。

が、ピンを抜いて窓に近づく前に、走り回るうさぎと正面衝突してしまい、そのはずみで、盛大に白い粉は部屋中に拡散されてしまった。
お嬢様学校では、教えてくれなかったのだ。

正しい消火器の使用方法というものを。

真っ白になった部屋。業者を呼んで掃除をしなければ、綺麗に粉を取り除けないらしい。
衛さんは大学のレポート提出期限を明日に控えていて、なんとしても朝までに仕上げなければならないんだとか。
そういうわけで、レイは神社の空き部屋を貸すことを申し出るしかなかった。
ホテルを借りることもいいけれど、お金を出させるのも申し訳ないし、レイが払うと言っても、相手は年上の男性なのだから、受け取ってくれることもないだろう。
「反対!!!」
物凄い勢いで、美奈が手を挙げた。
「なんでよ」
「レイちゃんの貞操の危機じゃない!一つ屋根の下に年頃の男女がいるだなんて、間違いが起きるに違いない!」
「はぁ?!」
その貞操を奪った張本人が、どの口でそれを言うのだろうか。頭をグーで殴ってやろうかと思ったが、美奈の隣のうさぎも勢いよく手を挙げた。
「私も反対!!!まもちゃんとレイちゃんに何かあったら嫌だ!」
「あるわけないでしょ?!」
「あるわけないだろう!」
流石にレイと同じ言葉を、衛さんもうさぎに向かって叫んでいる。衛さんには興味もないし、衛さんに興味を持たれても困るし、いや、そもそも衛さんはうさぎ以外に興味はない。それに、それよりも大学のレポートに追われているという、やるべきことが確実にあるのだから。
「衛さんは男なんだから、レイちゃんという美人が一つ屋根の下にいるというだけで、本能的に何をするかわかったもんじゃない」
「美奈、本人が目の前にいるのに、そんな失礼なことを言うんじゃないの」
美奈の方が危険極まりないと言うことを、わかっていないのだろう。衛さんは美奈のような節操のない、分別つかない人ではない。貞操の危機というのなら、美奈といると言うことの方が、よほど危険なのに。
「まもちゃん!ひどい!」
「いや、何もしてないし、しない自信はある。大体、火野レイに手を出すなんてそんな、自殺行為をする人間がどこにいるんだ?!麻布や六本木を歩けなくなる」
すぐそこにいますけど。レイは美奈を睨み付けたけれど、レイの意図するものになんて、気が付きそうにない。
「こうなったら、私が見張ってる」
鼻息荒く、美奈は叫んでる。
「あんたは来なくていいわ。静かにレポートを作成するという目的を、衛さんが達成できない可能性があるもの」
それに、衛さんがいようとも、レイに何をするかわからない。そういう見境のない、危険人物なのだから。
「じゃぁ、私がまもちゃんを見張ってる」
「あんたもダメ。衛さんの邪魔をするに決まってるでしょ?」
美奈がいても、うさぎがいても、衛さんのレポート作成という目的は達成出来やしない。
「大丈夫です!私が責任を持って2人が過ちを犯さないように見張ってます!」
子猫のダイアナが何か名案だと言わんばかりに叫んだ。
「……好きにしたらいいけど、そこまで信用されないわけ?」
衛さんも同じようなため息をついて、腕にすがるうさぎを窘めている。
「男はみんなオオカミなのよ!!」
「…………あんたが言うセリフなの?」
レイは呟いて、頭を抱えた。いっそ自分が神社ではないところに行った方がいいかも。だけど、何か衛さんに困ったことがあったら、住んでいるレイがいなければならないのだ。



「これで最後の忠告だけど、明日の朝、衛さんがレポートを書き終わるまでうちに来るんじゃないわよ」
「………レイちゃんは衛さんと私、どっちが大事?」
「私は自分が犯したミスの責任を取っているだけでしょ?」
「何か起きたらどうするのよ?」
「美奈がいなければ、私には何も起こらないってば」
10回以上念を押して、レイは衛さんを空いている部屋に案内した。机以外に何もない客間。レイの部屋とも離れている。うさぎが何か妄想にかきたてられて神社内で暴れないように、まこちゃんと亜美ちゃんに引っ張って連れて帰ってもらい、レイも美奈を追い帰した。
「ダイアナ」
「はい、レイ様!」
「誰も衛さんの邪魔をしないように、しっかりと見ていなさいね」
「任せてください!お二人が過ちを犯さぬよう、しっかりと見張っておきます」
ダメだ、この猫。
流石、アルテミスとルナの子供だけあって、ピントがずれている。
「……まぁ、もうお昼は過ぎているし……」
レイは神社の手伝いをするために着替えて、取りあえず境内に出た。ダイアナは何か目的がレイの意図と違うけれど、衛さんの見守りをしてくれているから、任せておけばいい。



「はぁ?うさぎ、それは考え過ぎだって」
久しぶりのうさぎからの電話に、はるかは満面の笑みだった。みちるは隣で紅茶を飲みながら、ふとレイは今日何をしているかしら、なんて考えてみる。とはいっても、昨日電話をして、今日はみんなとお勉強をしに衛さんの家に行くと聞いていた。男の人の家に女の子たちが詰めかけるっておかしくない?と言ってみたけれど、相手によるでしょ、と言い返されて反論できなかった。あの人はうさぎしかみていないし、レイだって衛さんなんてそもそも相手として想像の一片にすらないだろう。女の子が詰めかけても後ろめたいことなんて一つもないというのも、衛さんらしい。
レイは絶対に口にして認めていないけれど、長い付き合いなのだから、誰を好きで誰から愛されていて、どういう関係かなんて見ていればわかる。そういう意味で、レイが衛さんの家に行ったところで、何かおかしいことにはならない。そもそも2人きりにさえならない環境で、みちるが心配する理由もない。
「心配するなって。レイに手を出す程、衛さんは命知らずじゃないってば」
「……レイ?」
はるかの話の内容は、うさぎと衛さんの話じゃなかったかしら。まるでみちるが考えている内容を読まれたかのように、レイの名前が出てきた。
「だから、うさぎ。亜美の家でおとなしく勉強してろ。あんまりギャーギャー騒ぐと、嫌われてしまうぞ?」
宥めつつ、はるかは頼られていることが嬉しいと言わんばかりだ。うさぎと衛さんがまた、つまらない痴話げんかをしたのかもしれないけれど、レイという単語がなぜ出てくるのかしら。
「じゃぁな。はいはい、わかったから。また遊びに来い」
電話を切ったはるかに、みちるはどうしたの?と尋ねた。
「何か、衛の部屋でレイが消火器ぶちまける事故が起こったらしく、レポート作成のために、明日の朝まで、衛さんは神社に泊まり込むらしいよ」
「……なぜ、レイが消火器を衛さんの家でぶちまけるの?」
「外の煙を火事だと勘違いして、慌てふためいている間に、そういうことになったんだって」
あの子はまったく。
うさぎの言っていることをすべて信じたりはしないけれど、何かの拍子でレイに災難が降り注いだのは間違いなさそう。あれほど、あの子たちとの付き合いもほどほどにしなさいと、痛い目に遭うわよって言ってもこれだから。
「それで?部屋を使えない衛さんは、男性の分際でレイの家に泊まり込むと言うことなの?」
ホテルにでも行けばいいのに。内心思った。でもきっとレイは、自分がやってしまったことのせいで、お金をかけさせることに心苦しさを感じたに違いない。ホテル代を払うなんて言うことも、聞き入れてくれる相手ではないし。
「いや、まぁ、あの2人の間に何かが起こるなんてありえないだろ?うさぎが心配だ心配だって、うるさいのなんの」
「はるか、男の人はそのつもりがなくても、本能的に何をするかわからない動物でもあるのよ?理性と本能が別のところに存在しているの」
みちるは立ち上がると、携帯電話を取りに自分の部屋に向かった。
「動物?みちるまでそういうことを言うなんて、衛さんほどの男でも、信用されていないんじゃ、世の中の男は、みんな獣ということか」
はるかは笑ってる。
「じゃぁ、はるか。この家で私と衛さんが2人きりになっても、そうやって笑っていられるのかしら?」
「何も起こる気がしないけどさ」
「………さぁ、……どうかしらね?」
そう言って部屋に入って、バタンと扉を閉じた。
「おい、みちる?!」




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Date:2015/01/12
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