【緋彩の瞳】 彼女を殺すのは私しかいない ⑧ (R18)

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美奈子×レイ小説

彼女を殺すのは私しかいない ⑧ (R18)


「何をしているの、マーズ」
「その問いには、かつて答えたはずよ」
「……嘘でしょ…。前世の…前世の記憶が…あるというの?」
うさぎを守るように背後に押しやって、両の手を広げる。
プリンセスを守れば守るほど、ほかの星から災いを呼び寄せ、戦い続けるだけだというのに。
永久の平和を望むのなら、互いに悪と呼び合うものの存在を全て消し去るしかない。
「そんなことはどうでもいいわ」
切り裂いた琥珀色の髪がはらりと舞って、マーズの身体を覆った記憶はまるで昨日のことのよう。

そして、再演されるというのだろうか。

「レイちゃん……どうして?」
「ヴィナ……時間がないからそこをどきなさい」
「いやよ。なぜレイちゃんがうさぎちゃんを殺すの?なぜそれが使命なの!」
眩しい光は、残り少ない体力を奪うように輝く。
「どいて、ヴィナ」
「どかない!」

左手が自分の意志に反して、上がり始めた。
ひどく重たいはずの剣が、独りでに使命を果たそうとするかのように、熱を帯びて炎を生みだしている。
マーズは無意識な左手を、右手で抑え込んだ。自分の中にある能力がもう、剣の暴走を抑えられない。生まれ変わった身体では、やはり剣を自在になど操ることはできないのだ。
もはや、この剣は相手が誰であろうと振り下ろさずにはいられないと叫んでいる。
「ヴィナ!どいて!」
必死になって右手で抑え込もうとしても、その力は果てようとしている
「……二度も私に殺されたいの?」



なぜ、涙が出るのだろう



憎まれながら死ぬのが怖いのだろうか
どうせ死ぬのに


何もかもを知った美奈のことを思うと、なぜか涙がこぼれた
なぜ、右手は剣を止めようとしているのだろう
「レイちゃん!やめてよ!レイちゃん!」
「もう……終わりに…させて」
腕が焦げるような熱さと痛みで、早く振り下ろせと啼いている
マーズは全ての力を剣に注いだ

いかなる悪も聖者も切り裂く剣


結局


彼女を殺すのは私しかいない


そう


心の奥ではずっとあの頃から望んでいたことだった




「ヴィナ!!!!ヴィナ!!!!ヴィナ!!!!!!」

どれほど泣き叫んだのかはわからない
ひたすらに名前を叫び続けた
真っ二つになった身体から溢れだす深紅が
マーズの身体の全てを覆い、切れた金の髪が腕や顔に張り付いた
全ての力を出し切った身体から慟哭が溢れては流れてゆく

「ヴィナ!……ヴィナ!!!」

半神になった女神

血染めの顔
紫色の唇
愛した笑みが二度とよみがえらないことを知る

「ヴィナ!!ヴィナ!!!ヴィナ!!!」

なぜ、こんなことになったのか
なぜ、彼女を愛したのか

あぁ、もう二度とこんなことを……

マーズは亡骸を抱きしめてきつく目を閉じた
愛したことが罪なのだ
愛さなければこんな風には



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Date:2013/11/27
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