【緋彩の瞳】 私の好きなもの

緋彩の瞳

マリみて、舞乙、ワンピ

私の好きなもの

スカイピア、戦いの後で

「………ロビン、大丈夫?」
目の前で相当凄い雷を打たれたのを見た時は死んだと思った。本当、どうして生きているのか不思議だったけれど、生きていてくれてよかった。しかも、ロビンは完璧に気を失ったチョッパーとゾロ、ガン・フォールを安全な場所に移動させてくれていたらしい。身体中擦り傷だらけで凄く痛々しいけれど、全く持って痛いという顔をしていないから、不安にさえなってくる。
「平気よ。それよりも、エネルのせいでかなりの遺跡が崩れてしまったわ」
これだけの戦いで命があってよかったはずなのに、ロビンは膝を抱えて座り込むと残念そうにため息を吐いた。
「命あってなんぼじゃない?」
「……そうね。400年間待ち望んだ鐘の美しい音色、島の歌声を地上にいるモンブラン・クリケットに届けることができて、その瞬間に立ち会えたことは感動しているわ」

そっち?
ナミは微妙に話がずれていると思ったけれど、心の奥底から歴史的瞬間にいられたことを嬉しそうに話すロビンの横顔を見て、まぁいいかなと思えた。
「ロビンがあの鐘のありかを見つけたのでしょう?ロビンのおかげでもあるよ」
遺跡を愛するが故にっていうのも、もちろんあるけれど。
一応仲間を守ってくれたし。
「ふふ……持って帰ることができるようなお宝じゃなくて残念だった?」
「ふふふ、それはちょっと思い当たる場所があるのよ。手ぶらで帰ってたまるものですか」
「そう?期待しているわね」
ロビンはまだ、遺跡に視線を投げかけて何かを思いつめたようにため息をついた。
本当、恋してる。全然ナミを見ようともしない。
「ロビンが求めていたものは、ここにあった?」
もし、あったのならロビンの心は満たされてしまって、旅を続ける理由もなくなってしまうなんてことはないだろうか。
「ちょっとあまりにいろんなことがあり過ぎて、途中で探せなくなったから。明日の朝、空島を出るまでに探してみるわ」
あぁ、どうしよう。見つかってしまったらどうしよう。
って、なんでそんなに不安になるんだろう。
いや、だって仲間なんだから当然だと思う。ルフィだってロビンがここで離脱なんて絶対に認めないだろうし。
どうせなら、船に乗せる条件として、一味を抜けださないっていうのも入れておけばよかった。
でも、あの時は追い出そうとしたのだから、今さら遅い。
「………見つかるといいわね」
すっかり恒例の宴会が始まろうとしている。
組まれた木に燃え広がり始めた炎。相変わらず、ルフィたちはやかましいくらい元気。
まぁ、こういうときくらいしかできないことだからいいけれど。
「輪に入ろうよ」
なるべくさりげなく手を差し伸べてみた。
「ここで見ているわ」
「ダメ。仲間なんだから、ちゃんと入って!この前の夜だってやったでしょ?これは、私たちには必要なことなんだから」
傷に触れないように手を取って立たせると、有無を言わさずに引っ張った。感傷に浸らせていたら、いつまでも遺跡のことばかり想っていそう。
「みんな、楽しそうでいいわね」
「なら、一緒に楽しめばいいんだから」
強引に輪に入れて、お酒を飲ませた。ロビンはニコッと笑ってくれて、それがなんだか照れくさくて、傍にいればいいのにいられなくなって、適当にその辺にいたおばあさんの手を取って踊りの輪に入ってしまう。
きっと、ナミが酔っぱらって眠りについてしまっても、ロビンは明るくなればさっさと遺跡を見に行くに違いない。
真剣な顔をして、メモを取りながら。
エネルを倒したのだから調べるだけ調べつくすだろう。
一緒に行こうかな。
どうせ行っても相手にされないし、手を借りないと行けないところだと邪魔だって思われて、嫌われてしまうかもしれない。
「……いや、だから別にロビンがやりたいことしてるんだから、放っておけばいいじゃん」
自分で自分にまた突っ込む。
だから、気になるだけなんだってば。
明日、ナミはお宝をもらいに行かなきゃいけない。
ちゃんとロビンが船に戻ってくるのを、待っておかなきゃいけない。



「おいて行こうぜ」
「阿呆!」
お宝も山のように頂戴して、あとは船に乗る前に人数を確認。あぁ、確認するまでもなくやっぱりロビンはいなかった。ゾロはお宝を背中にしょって、待つのが面倒だなんて阿呆なことを言うし。きっとロビンのことだから、何かとんでもない発見でもしてキラキラしたおメメで遺跡に頬ずりしているに違いないけれど。
「来た!ロビン!!!!!!」
この空島に残るなんて言われたら、首に縄つけて地上へ戻してやろうと思っていたけれど、ロビンは機嫌よさそうな顔をして、ちゃんと船に戻ってきた。
「すごいお宝ね。あれ、いらなかったわね」
言いたいことがあったけれど、戻ってきてホッとして気が抜けたナミは、ロビンが手土産にしようとしていたものを遠目で見て腰を抜かした。
「何?!ロビンってばあれを奪おうとしていたわけ?」
それは、大鐘楼を支えていた柱の一本だった。売ったら札束で船が沈むくらいになりそうな。
「あげるって言われたから、運んでいたのだけれど。航海士さんが急かしたからいりませんって」
「……阿呆~~!」
でもあれ、船に乗せたら船ごと海に沈んでしまわないかな。
今さら遅い。
だってもう、いらないって言ってしまったのだから。
「それでロビンは、見たいものは見て来たの?その顔だと満足そうだけれど」
「えぇ」
「……ちゃんと、私たちについてくるってことは、ここが終わりって言うわけじゃなさそうね?」
「言ったじゃない。帰る場所がないからここにいさせて、って」
傷だらけの腕を隠すように、かっこよくジャケットを羽織ったロビンは、ナミの羽織っている青いパーカーに気付いているのかいないのか、空は寒いわねなんて呟いた。
「ロビンが帰ってくる場所は、いつでも私たちの元だから。この船なんだから。どんな凄い遺跡があっても、その石がおいしいご飯を作ってくれるわけでも、ロビンの傷を癒してくれるわけでもないんだから」
大切そうに抱きしめる本と手帳。考古学者って変な人がなる仕事っぽいけれど。ロビンは命をかけているっていうのはわかる。そのためならば、4年もの間クロコダイルの手下にだってなるし、人殺しだってしてしまうのだろうから。
「そうね」
一言だけ言って、ロビンは遠くに見えるスカイピアと出航の鐘の音を想うように、ナミから視線を逸らしてしまった。
「ロビン、海に降りたらまずは朝食、それから傷の手当。ロビンだけなんだから、手当てしていないの」
「もう治ってるわよ」
「それは医者が決めることだってば。雷受けて、ロビン死にかけたんだから」
「そう?そうね」
本当、何も見えてこない。
一枚上手なんてものじゃない。
何で年下のナミが、色々と世話をしなきゃいけないんだろう。

本当

なんでこんなに、いちいちロビンのことを気に留めているんだろう。


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Date:2015/02/01
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