【緋彩の瞳】 ロビン ロビン

緋彩の瞳

マリみて、舞乙、ワンピ

ロビン ロビン

ロビン!

チョッパーがものすごく嬉しそうな声でロビンを呼ぶ。
呼ばれていないのに、呼ばれた本人よりも過敏に反応してしまう。
「なぁ、これ凄いんだ!」
なんのことはない、チョッパーが手にしているのはウソップが作った木でできたおもちゃの飛行機だった。ゴムを使ってその勢いで飛ぶような感じのもの。
「あのな、あのな、これは空を飛ぶんだぞ!」
ロビンはと言えば、静かにデッキチェアに腰かけて本を読んでいたのに、チョッパーが邪魔をしたにもかかわらず、ニコニコしている。
「見せてもらえるかしら?」
「いいぞ!」
プロペラを巻いてビューンと飛んだおもちゃに、チョッパーはしてやったりみたいな顔をして、ロビンを見上げていた。
「すごいわね」
はしゃいだり大声を出したりしないけれど、ロビンはチョッパーの頭を撫でて褒めてあげて。
何、あの微笑み。
何なのよ、ロビン!

「……ナミ、おまえさっきから望遠鏡でどこを見てるんだ?」
近くに島が見えないか探してみようと誘いを受けて甲板にいたナミは、最初から海ではなくロビンを覗いていた。隣のウソップは海に背を向けて望遠鏡を覗きこむ姿を、さぞかし不思議に思っただろうけれど、そんなことはどうでもいい。

「ロビン、やってみるか?」
チョッパーは“貸してやってもいいぞ”なんて無駄に偉そうぶって、ロビンに飛行機を渡した。
「船医さんみたいに、上手に飛ばせるかしら?」
とか言いながら、ロビンはチョッパーが巻いたよりも少なめにゴムを巻いてわざと負けるつもりらしい。
なんて優しいのかしら。ますます惚れてしまうでしょ!
「……ナミ、おまえ。だから、海はそっちじゃねーだろ」
ウソップの声が耳触りだ。
「やかましーわ!」

ゴン!細長い鼻をへし折ってやる。
これで静かになった。

「ふふ、やっぱり船医さんの方が上手に飛ばせるみたいね」
手を放した瞬間に急降下する飛行機を見て、チョッパーは俺の方がうまいだろう?なんて胸を張って。
本当、子供って得よね。
ふん、……所詮ちっこいんだし。

……くそう!動物の癖に!!!

嫉妬で叫びたくなるのをこらえるように、唇をかんだ。
「ナミ!おまえ、船を沈める気か?やる気がないなら俺に貸せ!」
瀕死のくせに、ウソップはそれでもちゃんと船が停泊出来そうな島を探そうとして、ナミから双眼鏡を奪った。
まぁ、ロビンはそんなものがなくても十分姿を確認できる距離にいるからいいけれど。

邪魔してやる!

「ロビンちゅわ~ん!お待たせしました!特製“恋する大人のブラック・コーヒー”淹れたてですよ~!」
「あら、ありがとう」
ズンズンとロビンとチョッパーがいる場所へと進むと、さらに邪魔するようにサンジ君が踊りながら出てきた。
「ロビンちゃんのためなら。こちらのチーズケーキもどうぞ」
「ふふ。素敵ね」
“素敵ね”って、サンジ君に微笑んでるんじゃないわよ。
っていうか、チョッパー!当然のようにロビンの膝の上に跨ろうとしてるし!
「サンジ!俺はあったかいココアがいいぞ!」
「おまえ、最近ロビンちゃんのおやつを必ず一口もらうよな。なんてやつだ」
チョッパーは、サンジ君がロビンとナミだけにおいしいおやつを作ってくれることを知っていて、この時間になるとロビンにべったりしている。
それをロビンは満更でもない感じで受け入れているし。
「ナミさ~ん!ナミさんの分もちゃんとご用意できていますよ~!」
「……ありがと」
もう一つあるデッキチェアに腰かけて、やっと近くでロビンを見られた。
うん、今日も美人。
……チョッパーが視界に入ってるけれど。
「チョッパー、こっちおいで」
「なんでだ?」
「毎度毎度、ロビンのものばかり食べて」
ナミでさえ未経験の膝の上という、考えただけで幸せそうな領域に、ちっこい動物という特権を活用して乗るんじゃないわよ!しばくぞ!とは言えないのだから、オブラートに降りて欲しいと伝えなければ。
「ナミ、なんだか怖いぞ」
動物的感が働いているのか、ロビンの膝から下りようとしないんだから。
「ケーキ半分あげるって言ってるのよ。いらないの?」
そう言えば、キラキラした目でチョッパーがこっちにやってきた。
仕方ない、半分あげてもべつにいい。
「優しいのね、航海士さん」
麗しく微笑んでくれて。
そうよ、その顔が見たいわけよ。

ロビン
ロビン
ロビン
ロビン

あぁ、なんかこうやってゆっくりできる時間にロビンが目の前にいると、100回くらい名前呼んでおきたくなる。一瞬先に何があるかわからない海の上にいるんだもの、こうやって穏やかな時間があるうちに、何度も名前を呼んでおかないと。

……心の中で

「お~い!あっちに何か見えるぞ~!」
ウソップの声なんて聞こえない。
聞こえなかったことにする。

ロビン
ロビン
ロビン
ロビン

「私が見張り台に上がって見てくるわ。何かあったら言うわね」

……え?!
まだ眺めて3分もたたないのに?!

ロビンはウソップの問いかけに手を振って、上に行って見てくるなんて言ってさらっといなくなってしまった。
「ナミ?どうかしたのか?……ケーキ、半分食べたらダメだったのか?だったら、ロビンが残した半分を食べるぞ」

………くそぅ

せめて間接的だけど、チョッパーの頭を撫でてやった。ここをロビンが撫でたんだから。
「な、なんだ?!ナミ、どうしたんだ?何かあったのか?」
別にロビンはこの小さな船の上からいなくなったわけでもないから、いいんだけれど。


心の中で何度も名前を呼んだのに
まったくもって、届かないものなのね。


「おーい、ロビン!何か見えるか?」
「……さっきから、島がずっと見えているわ」
「もっと早く言えよ~~!!」
「そうだそうだ!」
「ごめんなさい」
そんなルフィたちとのやり取りの声が、なんかもうどうでもよく聞こえてくる。
出来る限り2人だけでいられる島はないかしら?

って、島が見えている?

ってことは、ナミがロビンばっかり望遠鏡で覗いている時も見えていたことになる。
おっと、あぶない。
ロビンに夢中過ぎた。

「航海士さん、霧が出てきているわよ」

……よっしゃ!
ロビンが呼んだらどこでも行きます、何でもします!


ロビンが見つけた島。あっという間にルフィたちは飛び出していった。
なんだか嫌な予感がする、妙に木々が長い島。
人がいる気配はないけれど、人が住んでいたような跡がある。
広々としすぎて、2人きりでのんびりなんてできる場所もなさそう。
「ロビン、降りる?」
「せっかくだから、そうしましょう」
「うんっ」
そうして降り立ったロングリング・ロングランド。
嫌な予感は見事的中して、結局フォクシ―海賊団とかいう変な奴らとデービーバックファイトをする羽目になってしまうのだけれど……

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Date:2015/02/01
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