【緋彩の瞳】 盆踊りにて。

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

盆踊りにて。

おじいちゃんからどうしてもと頼まれても、NO!を突きつけるくらいは簡単だった。だけれども、これは断りたくても断れない。主催者がパパの後援会の人だから。
「…まったく」
なおさら断りたい気持ちで一杯だった。でも大人の都合をそつなくこなして見せて、パパのメンツを保てば少しは存在を認めてくれるかもっていう気持ちがちらついて、結局二つ返事をしてしまった。

けれど。。。
けれども。。

「盆踊りなんだから、普通に音楽をかけて誰かが櫓の上で踊れば、自然と人も集まって円が出来るんじゃなくて?」
「それじゃぁ、普通じゃない」
「何?あなた普通じゃない盆踊りってどういうものなの?」
「だから、みちるの知恵を借りに来たのよ」
うさぎたちには秘密にしていたけれど、海王みちるとレイは生まれたときからの幼馴染だった。白々しく、みんながいる前ではみちるさん、なんて呼んでいるけれど。というのも、ミーハーなうさぎや美奈子がその事実を知ったとたん、うるさく言われるし、みちるの知り合いには有名人も多いのでそのツテでいろんなことを頼もうとするだろうというのを阻止するだめでもある。なんていうのは建前で、色々と知られたくない過去を、みちるに聞かれたくないから。
「知恵?ないわよ、そんなもの」
「そうだ!みちる、浴衣着てヴァイオリンで盆踊りの曲を演奏してよ!!」
レイはこれは名案!早速実行と言わんばかりにみちるの腕に食らいついた。
「……あのね。私を笑い物にするつもり?」
「まさか。優雅よきっと」
「レイの想像力っていったいどうなっているのよ?」
「お願い。金魚すくいをタダでやらせてあげるから」
「お断りよ!」
「お客いっぱいよ?」
「そういう問題じゃないわよ。私はクラシック専門。それに盆踊りにヴァイオリンっていうのは思い切り間違えていてよ」
名案に違いない!と喜んだレイは見る見るうちにしょぼんだ。
「みちる、可愛い幼馴染が可愛そうだと思わない?」
「櫓の上で浴衣を着てまじめな顔をしてヴァイオリンを弾く方が哀れだわ」
みちるは、全然あてになりそうもなかった。

「じゃぁ、はるかさんに頼んで太鼓を叩いてもらうとか?」
「なんではるかにやらせるのよ」
「みちるでもいいわよ?」
「私は一般客として参加する以外は何もしません」
「…じゃ、はるかさん」
どうしても、みちるかはるかを担ぎ上げてやろうというレイの考えは、何かみちるが知恵を出さないかぎり、変わる雰囲気はない。
「とにかく駄目よ。太鼓って、和太鼓のことでしょ?私の知り合いに和太鼓の名人がいるから、私の名前を使ってお願いしてみて。ね、それで私もはるかも出なくていいでしょ?」
「みちる、そんな知り合いもいるの?だったら最初から言ってよ!」
さすが、持つべきものは海王みちる。レイは口に出した。みちるはあきれながらも頼ってもらえるのは嫌な気分じゃなかった。
「…レイ。案外お祭り好きなのね。興味なさそうに見えるのに」
「べ、べつに!ただ、やる以上は妥協をしないのよ」
みちるからもらった遠野さんという名人の電話番号を握り締めたレイは、ふん!とあっちの方面をむいて、鳴りもしないくちぶえを必死に吹いていた。





(セーラームーンSのちびうさがやってくる回につながります・笑)
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Date:2015/03/08
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