【緋彩の瞳】 最後の手紙

緋彩の瞳

みちる&レイ小説[幼馴染]

最後の手紙

はるかが聞いてきた。
「みちる。もし明日地球が滅びるとして」
「…やっと戦いが終わったというのに、なんてことを言うのよ」
私はちょっとだけ本気で怒った。彼女は両手を上げて降参のポーズを取りながらも、安らぎを与えてくれる微笑をなげよこしてくれる。
「終わったから、言えるんだよ」
私にとってのメシアの微笑。思えばこんな表情をするはるかをほとんど見たことがなかった。出会った頃から二人は血を浴びて来たのだから。
「で、滅びるとして、…何かしら?」
「あぁ。そうだ。最後の手紙を君は誰に書く?」
「それは、遺書っていうこと?」
「遺書っていうより、手紙。ま、ラヴレターに近いようなもの」

近いようなもの。

なんていい加減な表現かしら。そして、はるかは何を期待してそんなことを言ったのかしら。

答えを見越して質問をしたというのが態度で見て取れてしまう。

可愛くて、幼くて、そして平和を手に入れた安心感があるのでしょうね。いたずらな天使がはるかにやっと羽を与えてくれた、とでも表現してみましょうか。

「そうね、最後の手紙は大切な幼馴染に書くわ」
「え?…お、幼馴染…?」
5回くらいすばやい瞬きをしているはるかがやっぱり好きだと思うの。
でも、それとこれは別だわ。

「そう。とても大切な幼馴染」
胸に手を当てて、心の中で彼女の名前を呼んでみた。むすっとした表情の彼女が面倒くさそうに「何なの、みちる」と答えてくれた気がした。
「へ…へぇ。男?」
「性別が気になるの?」
「そりゃ~…いや、別にいいけれど。君の過去をあんまり根掘り葉掘り聞きだすのは趣味じゃない」

嘘おっしゃい。思い切り知りたいと書いてあるじゃない。

「そうね。彼女との大切な想いではもう少し後でゆっくりと聞かせてあげるわ。お天気の話しをするように彼女のことを話すのは嫌なの。とてもとても愛しい思い出を共有する唯一の幼馴染だから」

はるかは勝てないと悟ったのか、少しだけ嫉妬した瞳で私を見つめ、指で頬を掻いて苦笑いを見せた。
「そうか…どんな手紙を書くのって聞くのもよそう」
「そうね。私もそのときにならないとどんなことを書けばいいのかわからないわ」

あんなこともあったわね、こんなこともあったわねって、だらだらと書くことはあの子は嫌いだと思うから。短く、愛しているということと感謝の言葉を綴るだけで十分だと思うわ。

「じゃぁ、みちるは最後の日に僕にも何かくれる?手紙以外で…」

そうね、それじゃぁ最後の口付けを。

なんて言えるほど私は洒落た人間じゃないのよ。
「考えておくわ。でもはるかがいるかぎり、最後の日なんて迎えないわ。そうじゃなくて?それが一番よ」
「…ま、それはそうだな」

複雑な、でもまんざらじゃない微笑。

好きよ、はるか。でもレイだけは言葉で語ることが出来ない存在なの。
だから秘密なの。


関連記事

*    *    *

Information

Date:2015/03/08
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/487-85e76994
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)