【緋彩の瞳】 Killing me softly END

緋彩の瞳

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Killing me softly END

「レイ」
廊下を誰かが歩く音が近づいてきて、レイちゃん1人がそれに大きく反応をした。
分かりやすいんだから。
襖をゆっくりと開けたら、相変わらずの美人が現れて、愛しい恋人の名前を呼んだ。
「みちるさん」
「みんな、お勉強は順調かしら?」
レイちゃんは立ち上がって、みちるさんの傍へと行ってしまう。もともと、別に必死に勉強しなくても、余裕なんだろうけれど。美奈子はもう無理っていうアピールのように、ペンを投げだした
「みちるさん、なんか差し入れないの~?」
「真面目にお勉強をした子には、ケーキがあるわ」
「やった!」
うさぎとハイタッチをして、まこちゃんがお茶を淹れる!って立ち上がるから。
「うさぎも~!」
「あんたたち、真面目に勉強したわけ?」
それにかこつけて、問題集から逃げるようにうさぎもまこちゃんについていってしまった。

部屋には美奈子と亜美ちゃん。そして、熱い視線を絡めるみちるさんとレイちゃん。
「レイ、夜はどうする?」
「あぁ、考えてなかった。お仕事は?」
「ないからここに来たのよ。どこかに食べに行く?うちに来る?」
「みちるさんの家に行こうかな」
レイちゃんの艶のある髪をしなやかな指先で梳きながら、まるで映画のワンシーンの様。
気持ちよさそうに微笑んでいる、仲間には見せないその表情。
「2人も居間でお茶をしましょう」
レイちゃんはみちるさんの手を取って、廊下の向こうへと行ってしまった。

当たり前のように握り合う手
見つめ合う瞳
愛し合う空気があって

カリカリとノートに字を書き続けている亜美ちゃんの気持ち、レイちゃんはさらりとかわしている。みちるさんも……本当は知っているんじゃないかって思うことがある。


「……亜美ちゃんなら、ソフレになれるんだって」
「そもそもありえないわよ。レイちゃんは、みちるさん以外の誰かと一緒に寝たりしないわ」
「だよね。なんか、ものすごく安全パイって思われてるみたいで……嫌だった?」
美奈子は亜美ちゃんを傷つけたいわけじゃないけれど、あんまりそんな、儚くて寂しくて、時々辛そうで、でも、傍にいたいっていう瞳で、レイちゃんを見つめない方がいい。
「嫌?さぁ、別に。何も思わなかったわ」
「そっか。でもさ、亜美ちゃんだって、レイちゃんの横でなんて、寝たくないよね」
「どうしてそう思うの?」
「………いや、何となく」

ソフレとしての定義から、亜美ちゃんは早々に離脱してしまっている。
気持ちを押し殺して、その隣であの髪を撫でることは、亜美ちゃんが安らぎを得るものではない。


レイちゃんが知っていてさらりと知らないフリをしている限り
亜美ちゃんが、恋人じゃなくて親友でも構わないと望んで傍にい続ける限り

2人は永遠に寄り添えない関係なのだから


「レイちゃんは、あんなことを言っていたけれど、もし誰か傍にいてって思うことがあったら、美奈子ちゃんを選ぶはずよ」
問題集を閉じて、丁寧にノートも閉じて一つに重ねた亜美ちゃんは、怖いくらいの笑みを見せる。

「うん………そうだろうね。それがレイちゃんの優しさだと思う」
「そうね」
「そういうところも好きなんでしょ?」
「………そうね。気持ち悪いってはっきり言わない優しさも含めて、とても好きよ」

それが、またきっと亜美ちゃんを苦しめる。
だけどその苦しみも、亜美ちゃんは受け入れてしまっているから。

「レイちゃんって、残酷なくらい優しい人だからね」
「そうね」
「……あの人は、亜美ちゃんを幸せにはしないわよ」
「いいえ、美奈子ちゃん。私はもう、幸せだわ」

間違えてる
そう言ってあげたかったけれど、まだまだ、美奈子には亜美ちゃんを救う力はないから。


「……寂しくなったら、うちのツレでも貸してあげるわ。ソフレにはもってこいかもね」
「せつなさん?遠慮するわ」
「そう?」
「寂しいなんて、想ってないわ」
「だよね。さ、ケーキ食べよう」


寂しいって思う気持ちがない方が
ずっと、タチ悪いんだから

やっぱり美奈子には、この天才的馬鹿を救えそうにない。



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Date:2015/03/15
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