【緋彩の瞳】 閉じた蕾のままでいて END

緋彩の瞳

マリみて、舞乙、ワンピ

閉じた蕾のままでいて END

次の日、薔薇の館に向かうと祥子がいた。令と聖と蓉子はまだ来ていない。
「ごきげんよう、江利子様」
「ごきげんよう、祥子」
コーヒーを江利子のために淹れてくれるようだ。
「どうぞ」
「ありがとう」
昨日、江利子が祥子のために作ったものと同じ配合だった。江利子の好みについて教えていなかったけれど、祥子は自分が飲んだものを狂いもなく再現している。そして、タイも結び方を少し変えてきていた。流石に江利子の胸元とまったく同じとは言えないが、それでも、努力の子である祥子は、昨日のあれだけでそれなりに修得したようだ。
姉妹揃って、努力ができるっていうのは素晴らしいし、恐れ入る。
「祥子、綺麗なタイの形ね」
「ありがとうございます。ご指導いただいたので」
「大変結構」
プライドが高いから、やらざるを得なくなったのだろうな、なんて考えながら、祥子の好みの味のコーヒーを飲む。
祥子は正面に腰を下ろして、同じようにコーヒーを飲んだ。
「江利子様に淹れていただいたコーヒー、美味しかったです」
「そう?これと同じ作り方よね」
「えぇ、そのつもりで作りました」
「ふーん」
昨日は、美味しいって言わなかったのに。
素直に負けを認めたということは、祥子も改めて作ってみて、美味しいって思えたのだろう。
「本当に、美味しかったです」
「素直でよろしい」
素直な祥子って言うのは、面白さが半減してしまう。
とはいっても、蓉子と2人きりになると、きっと素直なんだろうな、なんて。
あ、でもそうとは言い切れない。蓉子はよくぼやいているし。
まだ少し肌寒い部屋。江利子は昨日、散々からかって満足した想いが残っているので、静かに目を閉じて、祥子の視線を感じながら、蓉子が来るのを待つことにした。

2人きりの時に祥子をからかっても、祥子は江利子が欲しい反応をあまりくれない。
その理由は何となくわかっていて、それを何となく確かめたくない。
でも、祥子と2人でいる空間も、決して嫌いではないのだ。

嫌いではない
ずっと、それが正解のまま、もうしばらくこの空間を楽しもうと思う。
何も言ってこない祥子自身、何も言わないということが答えだと、彼女は重々承知しているだろうから。

静かな薔薇の館
江利子の愛する蓉子の妹は、瞳を閉じてじっとしている江利子から視線を外す気配はなく、それでもその、静寂を好んでいるように思えた。




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Date:2015/04/04
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