【緋彩の瞳】 チャレンジ140 まとめ④

緋彩の瞳

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チャレンジ140 まとめ④

「美奈」
「何?」
「好きよ」
「……ひぃ!!な、な何事?!」
仲間全員がいるというのに。
真顔でじっと見つめられて、いきなり呟かれた言葉。
慌てて美奈子はその額に手を置いた。
「大変、すごい熱だわ!」
「……可愛そうな美奈子。好きって言われて恐怖するなんて」
「笑いごとじゃない」


その姿を見た瞬間、胸に激しい痛みが襲った。
”愛野美奈子”は、この胸に刺さる矢がはるか幾億年も昔から放たれたものであるのに、
まるで今、受けたかのような錯覚に陥った。
「覚えている?私、ヴィーナスのことを」
「え?……初めて会うわ」
マーズはなぜ前世からこの胸に矢を放ったの


小さな違和感がある。
いつも抱き付かれているから、彼女の両手はレイの腰に巻かれていた。
今はその愛に縋り付くように、レイがその人の腰に腕を巻き付かせている。
「なんか、むず痒いなぁ」
「……あんたが手招いたんでしょ」
「うん」
「じゃぁ、もう少し我慢しなさいよ」
たまには悪くない


「レイちゃん、両手をパーに開いてこっちに向けて」
満面の笑みでそう言う。
何かまた、つまらないことを思いついたみたい。
「何?こう?」
それでも、抗えない
「うん!」
手の平を美奈に向けるように見せると、指を当然のように絡めて握ってくる。
「捕まえた」
「……別に、逃げてないわ」


「どうしたの?寂しそうな顔」
「花散らしの雨、今年の桜は刹那だわ」
「もっと見ていたかった?」
「当たり前じゃない」
「じゃあ、身体中に咲かせてあげようか?」
簡単には散らない桃色の花を
「馬鹿美奈」


「レイちゃん、愛って何?」
「………何故、私に聞くわけ?」
「いや、何だろうってふと思ってさ」
「あんた、わからなの?」
「うん、だって毎日その答えが違うんだもの」
「はぁ?」
「毎日、昨日よりもレイちゃんが愛しいって思うのよ」
たぶん、愛は形を成さない、無限に広がるものなのよ


「レイちゃん、好き」
「で?」
「大好き」
「……で?」
「今日は世界中の人が嘘で人を楽しませても、私はレイちゃんに嘘なんてつかないからね」
「あんたは嘘を吐かないんじゃなくて、吐けないだけでしょ」
「うん。レイちゃんの瞳と同じでしょ?」
だから、言葉なんでなくても平気


「レイちゃんって、どんな嘘なら騙される?」
「はぁ?」
「たとえば、私が別れたいって言ったら真剣に悩んだりする?」
今日が4月1日だから、美奈はただ便乗したいだけなんだろうけれど
「そうね、美奈が変なものを食べたんじゃないかって悩むわね」
瞳を見れば嘘かどうかなんてすぐにわかる


「大変大変!愛野美奈子に恋人ができた!」
うさぎが携帯で情報が回ってきたって、いきなり叫んだ。
「「え?!いや、ちょっと?!」」
亜美ちゃんとまことが驚いてレイを見つめてくるけれど。
「へぇ……」
エイプリルフールのネタだって事前に連絡を受けているから。
その優越感に浸るだけ。


『レイ』
「何、こんな時間に」
『お休み』
「いや、寝てたんだけど……何なの、美奈子」
『私が今から寝るから、お休みって言っておこうと思って』
「……お休み、美奈子」
『お休み、レイ。好きよ』
相変わらず、アイドル愛野美奈子は自分勝手で我儘
「嫌いじゃないわ」
『意地っ張り』





「レイ」
「え?ちょっとみちるさん…酔ってない?」
仄かに桜色の頬と、じっとレイの瞳を捉えた視線
「レイ、好きよ」
「えっと…結構、知ってる」
「抱きしめて、キスしたいくらい好き」
「私もよ」
朝になれば覚えていなさそうだし
「みちるさんのこと、愛してる」
今のうちに言っておくわ


レイの好きなものって何?」
「え?好きなもの?」
「動物でも趣味でも、場所でも」
「……あんまり考えたことないわ」
「でも、ないっていうことじゃないでしょ?」
「それは、そうだけど……」
答えの行きつく先は、全部”みちるさん”だから、言えない
「だけど?」
「秘密にしておくわ」


「え?会えないの」
『ごめんなさい、どうしても仕事が』
「そっか」
久しぶりに会える約束だった
「今度はいつ会えるの?」
『ちょっと、わからないわ』
「そっか」
「そんなに会いたかった?」 いきなり襖が開かれて、身体が動けなくなって
「な……」
「エイプリルフールだもの」


「レイが先に死んだら許さないから」
「許さないって、どうするの?」
「決まってるでしょ、私も死ぬわよ」
「やめて。みちるさんが死んだら、私が生きていたというすべてが世界から消えるわ」
「レイのいなくなった世界など、1秒たりともいらないのよ」
「じゃぁ、絶対、先に死なない」


「海のとても深い場所ってどんな感じ?」
「どんな?」
「重くてつらい、とか」
「さぁ…たぶん、静かで孤独で体が痛い所よ」
「でも、みちるさんは平気でしょ?」
「嫌に決まってるじゃない」
「え?そうなの?」
「絶対にレイがいない場所だもの。いくら海でも、そんなのは嫌よ」


祈りの間のその奥に、開けてはならぬ扉がある
千億の孤独を抱く戦士がいると
クイーンに告げられたことがある
「あなただけは知っておきなさい。名前はプルート」
「会うことは?」
「できないわ」
名前を知るということだけで、彼女の心から孤独が消え去るというけれど
私の心には孤独が刻まれる


「あれ、何やってんの?」
みちるさんと亜美ちゃんがものすごい目つきでチェスをしている。
「あぁ、レイちゃんの土曜日の予定を奪い合ってる」
「はぁ?」
「モテモテよね」
「美奈、あんた商売してる?」
「バレた?」
勝手に美奈はレイの休日を売ってる。
ゲーム参加費500円らしい。




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Date:2015/04/11
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