【緋彩の瞳】 チャレンジ140 まとめ⑦

緋彩の瞳

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チャレンジ140 まとめ⑦

「もし天国に1つだけ持って行けるとしたら、何持って行く?」
「無人島じゃないの?」
「天国」
「美奈子は?」
「何だろ、マイクかなぁ」
きっと天国もキャーキャーうるさいだろう。
「レイは?」
「別に何も」
「え?何も持って行かないの?」
「だって……一緒でしょ?」
「……そうね」


私はあなたがいれば、それでいいと思うのだけれど
あなたは私がいなくても、変わらずに生きて行けるのでしょう
その瞳に映らなくても、それでいいと思うだけれど
私の心は、それでいいと思うことで
「諦めている」という感情に向き合わずにいられるの
あなたがいる
それだけでいいと 


「レイちゃん、口移しして」
「はぁ?」
「そのジュース、口移し」
「美奈、運んで来てやっただけでありがたいと思わないの?」
「私、怪我人よ」
「足だけでしょう」
「痛いんだから」
「いろんな意味で、美奈の存在が痛いし、脳みそもいかれてるわね」
「イケず」
「骨折るわよ?」


「暑い」
レイが呟く。アイスコーヒーを飲みほした美奈子は氷を口の中に含んだ
「え?なっ……」
襟元を掴んで引き寄せて、何も言わずに唇を押し当てる。舌の中で小さくなった氷をレイの口の中に押し込んだ
「涼しくなった?」
「……何するのよ」
「暑いって言うから」
さっきより暑そうだけど


「馬鹿、もう、どこ見て歩いてたのよ」
「……レイちゃん見てた」
「あ、あんたは、運動神経しかとりえないんだから」
「今、照れたでしょ?顔赤いよ?」
正直捻挫した足は痛いけど
「……骨折るわよ?」
レイちゃんの、美奈子への好きは確認できたし
「怪我人に優しくしてよね」
ま、いいか



「レイちゃん、私に愛してるって言わなくてもいいの?」
「……何で」
「今、私のことを愛してるって思ったでしょ?」
「……別に」
「愛って有効期限あるの知ってる?」
「意味わかんない」
「思ったことを声に出さないと、もぅ使えなくなることってあるよ」
「じゃ、まだまだ使えるでしょ」


うさぎをプリンセスと呼ぶその声に
私をマーズと呼ぶその瞳に
星の使命とか、前世を繰り返さないとか
プリンセスをお守りするなんていうその言葉に
この身体が拒絶する
本当はその理由を正しく知っている
だけどそれは、本当の私の気持ちではないことも知っている
だから、前世なんていらない


「もう、うさぎちゃんったら」
柔らかく微笑む彼女の少しあとを追う
無邪気な笑い声が重なり合って、双子の様
彼女の命がたった1人のためにあると
もうずいぶん前から知っている
崇拝の瞳、愛と名の付くすべてをたった1人のために捧げる瞳
ヴィナがちゃんと生きている
もぅ、それだけでいい


「1人?」
「えぇ」
「美奈子は?」
「さぁ?はるかさん同じ学校でしょ?」
「まぁ、そうなんだけど」
携帯電話を取り出して誰かにメールを打っている
「みちる?」
「あぁ。何だか、レイがみちるを呼び捨てにするの、まだ慣れないよ」」
「嫉妬?」
「かもな」
こっちが先だし


「メール鳴ってる」
添付されたツツジの写真と『綺麗でしょ?』の言葉
「誰から?」
「みちる」
「福岡だっけ?」
「らしいわよ」
昨日は美味しい水炊きを食べたとか、そんな写真だった
「彼女かよ、みたいな」
美奈が突っ込む
「これは構ってほしいって言う合図よ」
寂しがり屋なんだから


「レイ、ソフレになってあげるわ」
「何それ」
「添い寝する友達」
「いや、なってあげるって、嫌になるほど一緒に寝てたでしょ」
「それはそれ。抱きしめてあげるから」
「みちるに抱きしめられるとか」
「何なのその顔」
嫌そうな顔をしてみせたけど
「……いつもと変わらないわよ」


「レイ、先に寝ててって言ったわよね?」
「そうだけど」
「どうかしたの?」
「……ずっと、夜遅いから」
「ごめんなさい」
「違うの、お休みなさいって、最近言ってなくて。だから」
「レイ」
「おやすみなさい、みちるさん」
「おやすみなさい、レイ」
久しぶりにレイに抱きしめられたわ。


「あっ」
全員が集まっているパーラー
同じものを注文していて隣同士
間違えてみちるさんがレイのコーヒーを飲んでしまった
「あっ…ご、ごめんなさい」
「別に、大丈夫」
「その、わざとじゃないのよ?」
「わ、わかってる」
なぜか恥ずかしい気持ちになる
「あんたたち、見ててかゆいわ」


「何、この手紙?」
「今時、珍しいラヴレターだと思うわ」
「レイは開けて読まないの?」
「読めないから捨てる」
「私がいるから?」
「それもあるけれど、知ってしまうと背負わないといけないでしょ」
「背負う?」
「人の感情なんて、いくつも抱えられないわ」
レイのその優しさが愛しい。


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Date:2015/04/24
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