【緋彩の瞳】 She said to her "I love you" R18

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

She said to her "I love you" R18

「大丈夫?」
「……平気よ」
ここ3日連続で、深夜に現れる敵。家を飛び出しては、朝の光を背負いながら眠い瞼をこすりつつ、けだるい身体を引きずって学校に向かう。
元気に出席の返事をした後は、教科書を立てて寝息も立てる。時々蹴られる椅子に驚きつつも、少しでも睡眠時間を確保したくて。昼休みも15分でお弁当を食べたらすぐに寝る。数学の授業はほとんど熟睡。うさぎからは寝言が漏れているし、まこちゃんもまっすぐ背筋を伸ばしているけれど、目は閉じているらしい。
流石に学校から帰ったらどこへも寄らずに、真っ直ぐにベッドに倒れ込んでいた。レイちゃんと会うよりも寝ていた方がいいし、レイちゃんだってきっと寝たいだろう。普段体力有り余る美奈子でさえ、眠気には敵わないのだ。美奈子に比べて体力が劣っているレイちゃんならなおのこと。

「送るわ」

4日目の深夜の戦いだった。いくら授業中に机に突っ伏して寝ているからと言っても、腕を上げることも辛くなってきている。仲間総出で緩慢な動きに鞭を打ちながらなんとか敵を倒した直後、レイちゃんが片膝をついて、辛そうにうつむいていた。
「いえ、大丈夫……」
幸い今日は、深夜と言っても朝までは時間が取れそうだ。3時間くらい寝る余裕もある。レイちゃんを送って帰っても、あるいは神社に泊まってから早めに出てもいい。
「いいから。立てる?」
レイちゃんは俯いたまま、身体を起こすことも辛いように見えた。でもその辛いっていうのを隠そうとしているのかもしれない。
隠しきれていない。
「美奈子、僕が送ろうか?」
「いい。私が背負うよ」
立ち上がれそうにないレイちゃんを見かねて、はるかさんが申し出てくれたけれど、美奈子は首を振った。

レイちゃんの右手が、美奈子のシャツを掴んだまま放さないでいる。




ひんやりとした蒲団に寝かせると、ぐったりと本当につらそうなため息が漏れた。
「学校忙しかったの?」
「1週間ほど早朝のお手伝いがあったから、寝てなかったのよ」
「まったく?」
「えぇ。学校でも眠れる時間なんて取れないし」
授業中に眠るなんて、レイちゃんはしないらしい。あの朝帰りのあとすぐにお手伝いをして学校に行って、帰ってからも神社のお手伝いがあって、とにかく休めずにいたのなら、流石にダウンするはずだ。
「………学校休んだら?」
「そうね、ちょっと…その方がいいわ」
髪を撫でて、お休みのキスを冷たい頬に押し当てる。そっとしておいた方がいい。傍にいてあげたい気持ちはあるけれど、1人で寝かせてあげた方が、身体も休まるに違いない。
「何かあったら、電話して」
「………帰るの?」
「うん、まだあと数時間寝られるし」
「……………そう」
重たげな瞼が薄っすら開いて、辛そうな瞳が美奈子を捉える。
「ゆっくり休んで」
重たげな腕が美奈子に縋るようにシーツを這う。
「どこか痛い?」
「………いて」
眩暈を起こしているのではないかというほど、真っ白い顔に瞳は気絶寸前と言わんばかりで、美奈子を捉えていることさえ怪しくなってくる。
美奈子の手に辿り着いたその指が、甲をなぞる。

ゾクっとした

疲れ切っているはずなのに、そして気絶しそうな彼女だというのに、ここ最近忘れていた感覚が支配しようとしてくる。
「………うん、一緒に寝よう」
腕を上げることすらままならない愛しい人を、その素肌を愛でるなんて、流石に出来るはずもない。
「手、握ってるから。傍に…いるから」
いつだって弱みを見せない人。疲れ切っているときこそ、1人にして欲しいって思うタイプだと思っていた。
「………レイちゃん?」
隣にそっと横たわると、力ない指が美奈子の指に絡みついてきた。握りしめてると、甲を指の腹で何度もなぞってくる。

どうしてだろう、彼女が美奈子を求めているように感じた。

「キスして………欲しい?」
「……して」
小さなスタンドライトだけが照らしている、ぐったりとしたその表情。
温度のない唇をついばむようにキスをする。
微かに冷えた唇は震えている。
疲れがピークを越えてしまっている証拠だ。
「………大丈夫だよ、レイちゃん。目を閉じて気を失っても、私、ずっと傍にいるから」
そう言えば、最近まともにデートしていないし、キスもしていないし、もちろんそれ以上もしていない。最後にセックスをしたのは何日前だろうか。絶えず敵は現れて、頻繁に顔を合わせているけれど、身体を重ねる機会はなくなっていった。
「……美奈」
囁くような吐息が、美奈子に縋ってくる。
その声が抱いて欲しいと言っているように聞こえたのは、美奈子が抱きたいと願ったせいなのだろうか。
絡まる指先が愛を誘おうとする。


「……………して」

愛してると言われるよりも
ずっと痛いと感じるほど心が震えた


唇を重ねて、舌を掬うように絡ませる
薄く開かれた瞼のその先にある小さな小さな灯
今にも消えそう

“愛して”と揺れる焔

ゆっくりとシャツのボタンを開き、露わになった乳房を、シャツを脱がせずに柔らかく愛撫する。繰り返す呼吸だけが耳を刺激し、それでもやめて欲しいという感情は流れては来ない。

美奈子の身体を駆け巡る愛を
その身体に流して欲しいと
彼女は願っている

引きずるように下ろした下着の中を這う舌先から、逃げる力がないのではなく
逃げたくはないような意志を感じる

「……………美奈っ…」

緩やかに舌で愛撫し、あやすような柔らかい刺激を与えるだけで、レイちゃんの足は快感に震えた。



「愛して欲しかったんだね、ずっと」


…………馬鹿

声にならない想いだけが唇を動かしている

「欲しいなら、もっと早くに言ってよ」


…………馬鹿


「ごめん、気が付いてあげられなくて。戦いで辛い時こそ、傍にいなきゃね」


彼女は強い

そして
弱くて
はかなくて
とても
脆い

張りつめられた緊張の糸を
自分でほぐす術を知らない


疲れた身体を休める方法すら
わからなくなるほど
あらゆるものを背負う悪い癖がある


だから、傍にいなければいけない



「抱きしめて眠ってあげる。そうしたら、安心して眠れるわ」


安心して、気を失っても大丈夫
目が覚めた時に襲う孤独なんてないから


その孤独の方が、ずっと辛いものだって
怯えて震える人だから


「………美奈」
「お休み、レイちゃん」


夢すら見ないで眠りに就いて
わずかなその安らぎを
抱きしめて見守っていてあげるから




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Date:2015/05/07
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