【緋彩の瞳】 チャレンジ140 まとめ⑩

緋彩の瞳

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チャレンジ140 まとめ⑩

「レイちゃんレイちゃん、見て!」
「……で?」
「谷間だぞ~」
「”一生懸命作った残念な谷間”っていうのよ、それ」
「何よ、何よ!私にエロスを感じないわけ?」
「1mmも感じない」
「愛と美貌の!愛野美奈子よ!」
「……うるさい。そんなのどうでもいいわよ」


「レイちゃん、腕組んでよ」
「あんたとなんて嫌よ」
「じゃなくて、自分でこう胸の前でクロスして」
「なんで?」
「かっこいいから」
「………で?前にかがんで見せて、とか言うんでしょ」
「な、なんでわかったの?!」
全部顔に描いてあるわよ、馬鹿


「美奈、何か飲む?」
「じゃ、紅茶」
「ダージリン?アールグレイ?イングリッシュブレックファースト?アッサム?あと、カモミール、ストロベリー、ピーチ、オレンジペコもあるわ」
「えっと、お、おいしいやつ?」
「どれもおいしいと思うけど」
「……からかってるでしょ」
「えぇ」


「美奈にはTパックで十分でしょ?」
「え?Tバック穿いてくれるって?じゃぁ、赤いのがいい!」
「……」
「じょ、冗談よ?」
「……」
「ちょっと、熱湯の入ったヤカン持ったまま、近づいてこないでよ」
「……」
「あ、あやまるから!ちょ!こわ!やけどする!」


いっそ、あなたの心から私の記憶がなくなっていたらよかった
マーズとヴィナの記憶のすべてが消されていれば
私は自由になって
ヴィナという存在に精神を奪われることなく
空虚な愛を知らずに生きて行けたのに
あぁ、優しく愛の真綿で私を殺めるその瞳から
また、逃れられずに
「…もぅ、ヤダ」


「世界の最果てまで一緒に行く?」
「嫌」
「私のために死んでくれたりする?」
「嫌」
「私にレイちゃんの全部をくれる?」
「絶対にヤダ」
「酷い人ね」
美奈が心の全部をくれないからでしょ
「こんなにも好きなのに」
「馬鹿美奈」
そんな好きは欲しくもない


「レイちゃん、これどうやって訳したらいい?」
ノートを見せてきた美奈。レイはその書かれた文字を目で読んだ。
「……わからないの?」
「わかんない。言われたことがないから」
「私も言ったことがないからわからないわ」
「知ってるくせに」
「あんたもでしょ」
「言ってくれてもいいのに」


みちるさんがレイちゃんの頭を撫でてる。何なのよまったく
「みちるさん、人んちの猫に手を出さないで」
「あら、だってちょうどいい高さなんだもの」
「ちょっとレイちゃん!どうして私の頭を撫でないのよ!ちょうどいい高さでしょ?」
拳が頭上に落ちた
「よく吠える犬は嫌われるわよ、美奈子」


時々、胸に微かな痛みを覚える
あの頃からずっと、その痛みを覚える時はいつも
「うさぎ!」
「美奈P!ゲームしようよ」
「うん!する!」
いつだって、あの子に向ける笑顔を見た時
私に見せる笑顔とは何かが違うと思う
「レイちゃん?」
「……何でもない」
その笑顔は永遠にくれないのね


「……何してんのよ」
「女の子は、よしよしされるのに弱いって雑誌に書いてた」
「……で?」
「ほら、もう私にきゅんきゅうんとか、ドキドキとか」
「イライラとか、ムカムカはするわ」
「そんな、もう恥ずかしがらないで」
「美奈、その手、どけなければ、美奈の弱いところを、殴るわよ」


「……亜美ちゃん」
右手を取り、微笑みもせずに頬に摺り寄せるようにして
薬指を唇に押し当てる
やめてって言えなかった
「ねぇ」
ゆっくりと噛まれていく痛みは
その想いに応えてあげられないことへの罰なのだろう
だったら血が噴き出るまで噛めばいい
傷はみちるさんが癒してくれるから


「どうしたの、これ」
晴れ上がった歯形のついたレイの薬指
「何でもない」
レイが自分でやったのではない
多分あの子
「受け止めきれないのなら、言えばいいことだわ」
「……そうだけど」
その優しさがレイ自身を傷つけるというのに
みちるはその指に唇を押し当て、そっと舌先で愛でた


突然降り出した雨。レイちゃんが広げた傘に一緒に入った
亜美の鞄や肩を気遣う、そのまっすぐな黒髪に向かって
次々と傘から雫が落とされていく
「亜美ちゃん濡れてない?」
「大丈夫」
レイちゃんの方が濡れているって言っても
平気って言われてしまうはず
でも、その優しさの傍にいたくて……


『愛してる?』
『もちろん愛してるよ、君だけを』
画面はずっと愛をささやき続けて
見つめ合う男女をあらゆる角度から映している
「……ん、何?」
興味ないって、隣に座って本を読んでいるレイをちらっと見て
「何でもないわ」
言葉はもらえない代わりに、肩に頭を乗せてみた


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Date:2015/05/12
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