【緋彩の瞳】 「パフェ、食べよう」 ①

緋彩の瞳

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「パフェ、食べよう」 ①

「木野先輩!」
振り向かないでも後輩のフルネームが頭の中にすぐに浮かんだ。
「やっほ、美紀ちゃん」
「先輩、もう帰るんですか?」
「そうだよ~」
中学の制服は、1年くらい前までまことだって着ていたけれど、やっぱり子供っぽくみえる。1人で待ち合わせ場所へ向かって歩いていると、偶然なのかそれとも待っていたのか、引っ越す前の中学の時から知っている後輩が声をかけてきた。
彼女もまた、まことと同じ十番中学に転入してきた境遇なのだ。
「へへ~!木野先輩、今日学校でお菓子作ったんですよ!」
「そうなんだ」
「おすそ分けしてあげます!」
「お、ありがと」
小袋に入った手作りだってすぐにわかるクッキー。
片手で受け取って、嬉しいよっていう意味をこめて笑顔を送る。
「あ、先輩。今度、おすすめの雑貨屋さんに連れて行ってください」
「うん、いいよ」
「今度の母の日に何かプレゼントをしたくて。選ぶのも1人じゃ寂しくて。それにお店もまだ、あまりわからないし」
「そうか、じゃぁ日曜になる前に行かないと」
「はい!」
元気な返事を聞きながら、亜美ちゃんと待ち合わせをしているオープンカフェへと向かう足は止めたりしない。
「木野先輩!じゃぁ土曜日にデートしてくださいよ!」
「ん~、そうだなぁ、友達と遊ぶ約束があるから。なんだったら、付いてくる?」
「え~、デートなのに先輩と2人じゃないなんて」
「ははは」

あ、亜美ちゃんだ。

オープンカフェでレイちゃんと一緒にパフェを食べていたようで、その姿が視界に入ったまことは手を挙げた。
「知り合いですか?」
「うん、同じ学校の友達」
可愛いだろ?なんて聞けないんだけど。
「あのお隣の美人の方は火野レイさんでしょ?」
「……あ、うん。有名人の火野レイ様だよ」
流石と言うかなんというか、やっぱこのあたりに住んでいる中高生でレイちゃんの名前を知らない人はいないっていうのは、伝説じゃなかった。
「有名人とお友達?」
「まぁ、そうだけど」
レイちゃんが有名であろうとなかろうと、仲間であることには違わないし、それよりもみちるさんやはるかさんの方が有名人っていう感じだから、よくわからない。
「……木野先輩、凄い。もしかして土曜日はあの人と遊ぶんですか?」
「いや、違うよ、隣の亜美ちゃんって子」
「………ふーん。じゃぁ先輩、土曜日は私と2人でデートしてくださいね!また電話します!」
美紀ちゃんは亜美ちゃんとレイちゃんに視線を向けて何かを確認した後、元気よく手を振って小走りで去っていってしまった。
「何だろ……」
相変わらず元気で威勢がいい。この街に慣れるのも時間の問題なのだろう。そう思いながらまことは、亜美ちゃんの横に腰を下ろす。
「お待たせ」
「………あの子、お友達?」
亜美ちゃんは膝の上に手を置いて、とても静かな声と視線をまことに送ってきた。







まこ亜美?!
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Date:2015/05/20
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