【緋彩の瞳】 唇が綴る愛を

緋彩の瞳

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みちる×レイ小説

唇が綴る愛を

ウトウトしていた。日曜日のお昼を過ぎた頃。手料理でレイをもてなして、お茶を飲んで。夕方前から雨が降るかもしれないから、のんびり部屋で過ごしましょうと言って、ソファーに腰を下ろした。控えめにCDをかけながら、レイの隣に座ってのんびり画集を見る贅沢な時間。


そう思っていたから、ウトウトしてもそれが心地よかった。気が緩んでいられることは、それはそれで幸せなこと。
画集を閉じてテーブルに置いた。
「……ん?」
レイはレイで、みちるが時々気まぐれに買う雑誌をパラパラとめくっていた。その膝の上に頭を置いて、2人でも十分に広いソファーに寝転がってみる。自然な流れのように見せかけてみたけれど、こんなことをするのは初めてだった。いつもレイを甘やかせることばかりで、それで心が満たされていたから。
柔らかい太ももに頬をあてるように頭を置いて、子供がママの膝で眠るようだわって思いながら目を閉じる。
レイは何も言ってこなかった。何も言葉が上から降って来ない。嫌だと言う感情も伝わってこない。
レイの呼吸する身体の小さな揺れを愛しく思いながら、その揺れにみちるの時間を委ねながら。眠気が急激に襲って、安らぎの誘惑に落ちた。



「……ん?」
画集を閉じたみちるさんが、とても自然な流れでレイの膝の上に頭を乗せてきた。足をソファーに上げて、体制を整えたら目を閉じてしまうから。レイは雑誌を上げてその流れる動きをじっと見ていただけだ。
どうしたの?という声をかけなかった。眠そうな瞳がチラリと見えて、尋ねる前に目を閉じてしまったから。
珍しいこともあるのね、と思いながら、レイは雑誌をそっと閉じて足元に置き、レイの膝枕で小さくなって眠るみちるさんの頭をそっと撫でた。
こんな風にみちるさんが甘えてくると言うことは、記憶ではたぶんなかった。
いつも、レイが甘えている。甘えさせてもらっている。
柔らかくてしなやかで、穏やかな口調で、いつもレイはみちるさんに赦しを乞い、愛してと縋り、愛しているという想いを礫のようぶつけることしかできないでいる。
レイのフレアのスカートを緩く掴んでいる指先。
穏やかに繰り返される寝息。
いつもみちるさんは、レイより早く寝ることはない。レイが眠れない時はいつまでも付き合ってくれているし、この部屋に泊まる時はいつも、少し先に起きている。
眠る横顔をちゃんと見ることは、ほとんどなかった。
そしてこんな風に無防備に眠る姿も、もちろん見たことなんてない。

優しくて
柔らかくて
とても静かで
安らかで
清らかな空気が、レイを抱きしめてくれる


そっとそっと頭を撫でながら、たぶん、この言いようもない心地いい感情を
愛しているっていうものなのだろうと、何となく思った

愛していると言う言葉をもらうたびに
その感情をみちるさんみたいに、正しく持ち得ているのだろうかと
不安になって

声に出せないことを
声に出さないことを
みちるさんは笑って許してくれていた
想ってくれていることはわかっているから、と

いつものように、抱きしめられているときに感じる情とは、確かに違う何かが
レイの心臓を震わせている

日曜日の午後
控えめに流れてくるピアノの音
レイの膝に頭を預けて、安心を預けてくれている
みちるさんは今、レイに安らぎを求めてくれている

レイと違う質の髪を指に絡めると、離さないでと鳴くように、レイの手の平に波が広がった。


そっとそっとその髪に唇を押し当てた
ひんやりとした感触
眠るその人を想う感情がレイを、どうしようもなく弱くさせてしまう

ゆっくりと髪に何度もキスを落として
穏やかに時が流れるその時間を
みちるさんの鼓動を
預けられた安らぎを感じて
眠る愛しい人を、しばらく見つめていたいと思った




フワフワ心地いい眩暈を覚えながら、ぼんやりと意識が戻ってきた。自分が眠っていたらしいということを理解するまで、何秒くらい費やしたのだろう。
「………ん」
「起きた?」
声が空から降ってくる。視界は白くて、それがレイのシャツだと言うことを理解することもまた、それなりに時間を掛けてしまった。
「………レイ」
みちるはすぐに起き上らずに、一度そのお腹に顔をうずめて腕を回した。レイの匂いで肺を満たす。ドクドクと身体中を血が流れる音が耳に届き、優しい温度が頬に触れて、大げさだけど、生きている心地よさを感じた。
「おはよう、みちるさん」
「……どれくらい、眠っちゃってた?」
「さぁ?30分くらい、かしら」
「……そう」
30分、レイはずっとみちるの甘えを許してくれて、動かずにいてくれたみたいだった。きつくお腹に顔をうずめてから、膝に頭を置いて顔を見上げてみる。
「レイ?」
「ん?」
「………どうしたの?」
「何?」
「………目が赤いわ」
「そう?」
見上げたみちるの最愛の人は、少し目を赤くしていた。泣いていたのかしらと思うような目の赤みだったけれど、泣き腫らすと言うようなものでもない。
でも、何も辛そうな感情は見えない。
「どうかしたの?痛かった?」
「……ううん、まったく」
そっと腕を伸ばして、ひんやりとした頬を手の甲でなぞってみる。涙を流していたと言う感じではない。何も、辛いとか悲しいっていう感情はやっぱり伝わってこない。
「みちるさんが甘えるの、珍しいわ」
「………そうね」
「何だかこういうのも、うれしいって思うの」
みちるの髪を絡めた指が、視界に入ってきた。ずっと、穏やかで心地よく眠りに落ちる少し前に、頭を撫でられていたような気がした。
レイはきっと、本当に頭を撫でていてくれたのだろう。
「…………レイは嬉しくて泣いていたの?」
冷たい頬をなぞる手の甲に、雫が落とされる。
みちるはもう片方の手を伸ばし、両手で頬を包み込んだ。感じる雫がみちるの指に愛情を沁み込ませてくる。
「よくわからないけれど………そうだと思うわ」

こういう真っ直ぐ過ぎて不器用なところがあるから
愛しくて仕方がないって思わせてしまう

「…………レイ」

泣いていると言う自覚がどこまであるのかわからない
ゆっくりと起き上って、みちるの髪を指に絡めたままのレイを抱き寄せた

身体中がみちるを想ってくれていることが、泣きたくなるほど伝わってくる
感情を露わにすることを苦手にしているレイはいつでも、みちるを愛している


さらりと指の間に黒髪を挟んで唇を押し当て
そして、涙を流す頬にキスを落とす
髪を絡めていたその指がみちるの頬を撫でる
そっとそっと流れてくる穏やかな感情
愛されているのだと魂に染みてくる
レイをどれほどに愛しく思っているか
みちるもまた、言葉に出して表現をすることはできない
言葉では足りない
どちらからともなく、自然に吸い寄せられた唇
流れ込む愛と同じくらいみちるも、愛のすべてをレイに渡した

指に残る雫の感触
それを愛で掻き抱いて、身体のすべてにキスしてあげたい


「レイ、……セックスしたいわ」
「………私もよ」
唇に籠る熱を携えたまま、レイの腕を取る
みちるの髪が絡みついたまま
それを解きたくはないような、解かないでと願いたいような想い



髪も愛情も心も絡ませながら、ベッドルームへと流れ込んだ



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Date:2015/05/24
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