【緋彩の瞳】 チャレンジ140 まとめ⑬

緋彩の瞳

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チャレンジ140 まとめ⑬

「私だって海未とお揃いで何か付けたいのに」
「えりち、我儘やなぁ」
「はっ!」
「……とりあえず、却下や」
「なんで?何も言ってないでしょ?」
「顔に描いとる。お揃いのスポーツブラって」


「にこ~にこ~!」
「ちょ、絵里、抱き付かないでよ」
「いいじゃない、ちょうどいい高さなんだから」
「何か馬鹿にされてる」
「えりち、うちのニコっちに何するんや。うちのもんや」
「ちょ、くるし!やめ!胸!胸!やめ~い!」
「希、にこが圧死するわよ!」
「そやなぁ…えいっ!」
圧死


「で、海未はそこで投げキッス」
「またですか?この前の曲だって。私じゃなくて真姫や穂乃果でもいいのでは?」
「ダメよ、海未って言ったでしょ?」
「……ですが」
「練習しておかなきゃ」
「いったい何の練習ですか?」
「いつかの本番のためによ!」
「誰得って、……えりちだけやん」


「…あいしてるばんざ~い」
「海未、何か憂鬱そうに歌われるとピアノ弾きづらい」
「すみません」
「いったい何よ?」
「いえ、その真姫が作った歌詞なので、この愛してるっていう意味がわからなくて」
「べ、別にラブソングじゃないわよ」
「そうですか」
あぁ、絵里と何かあったらしい


「レイちゃんの部屋ってさ、本当何もないよね」
「何もって」
「女子らしさ?」
「は?」
「ピンク系の小物とかもないし、ついでに塵一つないし、恋する乙女の部屋っぽくないわ」
「あんたねぇ」
「……あ、ごめん、レイちゃんには私がいるんだった」
この部屋は美奈子がいて乙女の部屋になる


あなたが私より先に死ぬなど
そんな未来を知りたくはなかった
「最近、ずっとしたくないのはどうして?」
「疲れてるの」
イトシイと想い続けたまま
あなたに先に死なれてしまえば
神を恨んでしまう
この体からその愛の香を消さなければ
愛が
この手が
あなたを殺さないように、ただ私は……


視線を重ねようとしてくる
だから絶対に合わさない
何を求められているかわかる
レイ自身が何を求めているのか
その答えと同じだと言うことくらい
ほんの少しだけ触れた指先
それだけで
唇がそうしたいって
「欲しいのはレイちゃんなんでしょ」
「美奈でしょ」
合わせられない目を閉じるだけ


「きれい」
満点の星空を見上げつぶやく美奈の声
あの頃、同じようにドームの向こう側を見ていた
「……そう、ね」
寄り添って
ずっと何も失わずにいられると
「どうしたの?」
「何もない」
星もいつか終わりを迎えると
知らないあの頃に戻れたら
永遠を信じていた
あの偽りの世界のまま…


下唇をきつく噛む。
ギリリと皮膚を伝い耳に届く音は、それでも痛みはまだ耐えられると思わせる。
歯の隙間を伝い舌に感じる鉄の味。
亜美の恋の味はいつも、鉄やあるいは鉛のようなものに似たもの。
誰かが歌う酸っぱさや甘さは、彼女があの人しか見ない限り、
いえ、亜美が生きている限りは味わえないもの


「好きよ、レイちゃん」
「はいはい」
「もう、相変わらず冷たい」
「サービスしない主義だから」
彼女が言葉にしない理由など求めない
その瞳に見つめられたこの心は
すべての愛をを捧げられないと歌っているのだから
それでも、こんな私をアイシテと希う愚かさを
どうか許してと乞ってしまう


「好きよ、レイちゃん」
「はいはい」
「もう、相変わらず冷たい」
「サービスしない主義だから」
「ふんだ」
好きだと同じように答えても
この想いはその言の葉では表現しきれないほど深くその心に杭を打ち込んできっと殺してしまうだろう
さらりとかわすふりをして、だから私はあなたを守る


「せつな先生、父の日って何したらいいの?」
「あらあら、2人とも。はるかは何をしても喜んでくれるはずよ」
「美奈、どうする?」
「はるかはみちるに何かもらうよ」
「じゃぁ、何もしなくていい?」
「だね!」
本当に何もしなかった。
「……僕は娘から嫌われてる」
日本語は難しい


「レイちゃんはどうして、私とキスするの?」
「美奈がしてくるから」
「愛してるからじゃないの?」
「何よそれ」
「言うと思った」
愛しいのではなく
この想いは恋情なの
注がれる愛の香りとは違う
捧ぐことすらできない恋情
「キスして、レイちゃん」
「嫌よ」
永遠に伝えられない恋情


「はるか、キスして」
「ダメ。みちるが見てるから」
「何でよ、私のこと好きじゃない?」
「そりゃ好きさ」
「じゃぁキスしてよ」
「だから、みちるがいるからダメ」
「美奈子とみちる、どっちが好きなのよ?!」
「それは何遊び?」
「不倫ごっこ!幼稚園で流行ってるの!」
怒られた。


「ママ、キスして」
「いいわ」
「ずるい!美奈子も!」
「はいはい!」
「じゃぁ、僕も」
「はるかはダメ」
「……なんで?」
「不倫しているのでしょう?」
「……そうか。僕はみちるとキスできないんだ」
「み、みちる!あのね、美奈子ははるかと別れたよ!たった今!」
気を使った娘。


「聞いて聞いて聞いて!」
「……なに?」
「…………なんだった?」
「はぁ?美奈、いろんな意味で大丈夫?」
「う~~!思い出したよ!」
「じゃぁ、何よ?」
「私、レイちゃんが好きすぎてやばいんだけど、どうしよう?!どうしようか?!もう、キスするしかないよね?」
ある意味正常だった


「亜美ちゃんのローファー、新品ね」
「え?よくわかったわね」
「そんなの、見たらわかるわよ」
同じ学校の3人は気が付いていなかったのに
レイちゃんは、そういう些細なことにすぐ気が付く
前髪を切っても、ピアスの色を変えても
「じゃぁ、見えたらいいのかしら?」
……なんて、言っても


「レイちゃんプレゼントあげる」
「いや、いらない」
「ものじゃないよ、想い」
「は?」
「愛してるっていうその想いを全部あげる」
「別に…」
要らないっていう言葉を言えなかったのは
美奈の唇が愛を流し込んできたせい
「別に、何?」
「別に、何でもない」
流れ込む想いが胸を熱くする


この分厚い雲が降らす雨を、私は憎いだなんて思わないの。
あなたと手を繋いで歩くことなど、初めから望んでいないの。
緊張して変な汗を掻いて、どうしようもなく瞳が泳ぐことを、
傘が隠してくれるのならば、むしろ好都合だと思ってしまうのだから。
お互いの傘を差して、私はあなたの隣を歩くだけでいい


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Date:2015/07/05
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