【緋彩の瞳】 恋の果実 ⑱

緋彩の瞳

絵里×海未小説[ラブライブ!]

恋の果実 ⑱

海未はずっと顔を自分の手で隠しているから、エリーが教室を覗き見しているなんて気が付いていない。
「それで?だから、好きでどうしたいの?手を繋いで帰ったり、待ち合わせをしてデートしたり、したいって思わないの?いつでもエリーの傍にいたいって思わないの?」

「………したい、です。たぶん」
「たぶんって何?声が小さい!はっきりしなさいよ!」

エリーに聞こえないし

「……だから、その、絵里の傍にいたいです!」
「恋人になりたいんでしょ?」
もう後、一押しなんだけど。
「…………たぶん、そう、です」
だからなんで、そう声が小さくなるの、馬鹿。

たぶんって何、たぶんって!

もうメンドクサイ!

「あ~!メンドクサイ!!」
目の前に連れてきて、言わせてやる。
真姫は立ち上がると、ズンズンと入り口に向かって大股で歩いた。扉の向こうで慌てふためいて逃げようとしているエリーとばっちり視線が絡む。
「覗き見していたくせに、今更逃げないでよ!」
「ま、ま、待って、覗いてない!い、今、今来たわ!」
「真っ赤な顔して、何が今来たよ!どうして顔が赤いのよ!こっち来なさいよ!」
勢いよく開いた扉の向こうにいた、真っ赤な顔をした絵里の腕を捕まえて、引きずった。
「待って、ちょっと、真姫!待って、ちょっと」
「海未!エリー連れてきた!エリーに直接言ってやってよ!」
「ななななななな、なぜ、絵里が?!……うぁわ!」
また、お化けを見たなんてものじゃない、相当に驚いた海未はそのまま後ろに倒れて、椅子から転げ落ちてしまった。

何してんのよ、馬鹿。

「う、海未?!」
引きずっていたはずのエリーが倒れた海未に慌てて駆け寄る。

あぁ、メンドクサイ。

「大丈夫、海未?」
「は、はい、へ、平気です。その、お、おど、驚いただけです」
「そう?えっと、どこも打ってない?」
「えぇ、問題はないです」


……
…………

熟れたトマトが二つ並んでる。


「私、部室に行く。あとは勝手にして。っていうか、結論出すまで、部室に来ないでよ。見ていてイライラするから」
「ま、待ってよ、真姫!」
助けを求めるように呼び止めた、エリーは海未の背中を支えながらもうろたえていて。
この期に及んで、まったくもう、本当にμ’sは学年が上がるほどに問題がある人たちばかりなんだから。
「何よ、エリー。聞いたでしょ?前にも言ったけど、海未はエリーが好きなの。ちゃんと好きなの。エリーがもっと押して押して、付き合ってってちゃんと言えば、海未はきっと、応えてくれるわよ。って言うか、もう両想いなんだから!付き合えばいいでしょ!見ててイライラするのよ!なんでギクシャクしてんのよ!意味わかんない!」

……
………
…………

「あとは、2人で何とかして。私が何から何までコーディネートするのだって、おかしいでしょ?」
口をパクパク動かしているエリーと、同じ表情の海未。
こういうところはそっくり。
ある意味似た者同士。

真っ赤な2人をそのまま放置して、真姫は鞄を手にさっさと教室を出て、ぴしゃりと音を立てて扉を閉めた。
「何や、漫才よりも面白いもん見てしもうた?」
「放置しておけばいいのに、あんたもお人よしよね」
「……希、ニコちゃん」
ダメンズ3人衆のうちの2人が、腕を組んでじっと真姫を見つめている。
この2人こそ、どのタイミングから見ていたのだろう。
「えりちにな、海未ちゃんが真姫ちゃんに呼ばれて、音楽室に籠ってるって伝えてん。なんや真剣な話があるみたいやって。えりちが振られて、真姫ちゃんはチャンスって思ったんかなって、突いてみたんよ。鬼の形相で走って行くからな、面白いもんが見られるって思ってんけどな」
「あんたねぇ、何つまらないこと言ってんのよ。ことりと静観するっていうことで話し合ったあれは何よ?」
ニコちゃんも何だかんだ全部知っていたんだ。まぁ、ある意味一番まともな人のような気もするんだけど。
「いやいや、にこっち、うちらはそうやけど、真姫ちゃんはそれに参加してないやん?」
「放っておけばよかったのに。その方が面白かったのに」
……やっぱり、ニコちゃんもダメンズと横並びなのかもしれない。
ちょっと見直そうって思ったけれど、そう思った自分が馬鹿だった。
「ぜ、全然、面白くないわよ!」
「そうやな。だから、真姫ちゃんは海未ちゃんの気持ちを引き出してくれたん。えりちな、完璧に振られたって思いこんでいたみたいやし、うちらもそう思っててん。ことりちゃんは違うと思うって言うてたけど、海未ちゃんに任せるって言うてたし、うちらもな、海未ちゃんの扱いはようわからんし。でも、真姫ちゃんのおかげや。えりちがドンドン耳たぶ赤くなっていくところ、動画に撮っておきたかったわ。ほんなら、あとは若いもんに任せて、うちらは練習しようか」
どこのおっさんよ。って言いたかったけれど、希に頭を撫でられて、“ いい子やね”何て言われてしまえば、頬に空気をためたものを吐き出すしかなくて。
「真姫って本当は海未が好きだったなんてこと、ないでしょうね?」
「そんなことないわよ」
「……ふーん。どうだか~。失恋したなら、ニコが慰めてあげましょうか?」
「いらないし!失恋してないし!」
これでまだ、あの2人が明日もぎくしゃくしているのなら、頭叩くだけじゃ済ませない。
全員がいる前で、2人は両想いだって大声出して言ってやろうと思う。
「にこっち、慰めてあげな~」
「まったく、仕方ないわねぇ~」
がしっと両サイドから腕を掴まれたかと思えば、ずるずると引っ張られる。
「もぅ~~!この人たち、嫌だ~」


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Date:2015/07/09
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