【緋彩の瞳】 ♭【フラット】 ⑥

緋彩の瞳

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その他×海未小説[ラブライブ!]

♭【フラット】 ⑥

わざとらしく絵里にすり寄っていたことりを思い出す
ここ最近は必ず、海未がいるときに限って仲良しのふりをしていた
それを見ていた海未がずっと、何かに思い悩む横顔を見続けてきた


ことりは
海未に
とんでもない嘘を吐いて
海未の心を縛りつけたのだ

まさか

「……私は愚かにも、友情と自分の淡い絵里に対する想いを天秤に掛けたりしてしまいました。ことりのように絵里に甘えたりすることも、絵里に好きだと言う想いをアピールすることもしない私には、……ただ、想うことに満足していただけの私には、ことりの想いを邪魔する権利もなければ、抜け駆けする権利もありません。それに、私は……結局のところ、ことりが絵里を想って楽しそうにしている笑顔を守ることの方が大事なのです。ことりが大事なのです」


違う
違う


ことりは海未に嘘を吐いたの


「……海未」
海未の肩に置いた手に力が入っていく。自分でも止められないくらい、指先が震えているのはわかっている。でも、ことりが嘘を吐いていると声に出せない。

ことりが嘘を吐くだなんて
海未は露ほどにも思っていないだろう
真姫が本当のことを言ったところで、今度は真姫が嘘を吐いたと思われるに違いない

最愛の親友を大切に想う海未の、馬鹿が付く程の優しさ。
ことりを信じ、絵里への恋情の間で苦しみ、悩み、そして、彼女はことりへの信愛を選んだ。海未が絵里を諦めた、と言うことだ。
それが、辛い。
どうして、って自分でも思う。
今、海未はことりの嘘のせいで絵里を諦めたってわかったのに。

海未が真っ直ぐすぎて
真っ直ぐであろうと自分を律しすぎる故、信愛を選ぶしか方法がなかった海未が
可愛そうで
でも、そう言うところが好きで


だけど


「真姫、今言ったことは……誰にも言わないでください」
「…………海未、…絵里は……ねぇ、ことりと絵里がどうにかなるって決まったわけじゃないわ」
ことりと絵里がどうこうなんて、永遠にありえない。むしろ、この嘘が絵里にバレたりでもしたら、それこそもう、μ’sは……。

どんなに周りが、ことりが好きなのは海未だと言ったところで
海未は、ことりが好きなのは絵里だという、“本人の言葉”を信じ続けるに違いない。


真姫は、ことりから海未が好きだと告げられたことは一度もない
ことりが海未を好きだと言うのを、言葉として聞いているのは絵里だけだ
そして、ことりから絵里を好きだと言われたのは海未だけ
海未の絵里への想いを言葉として聞いたのは、真姫しかいない


誰も恋している本人に、直接、想いを告げていない


「それは……私は何もできませんし、その、恋についてのアドヴァイスなんて出来るはずもありません。見守ることしかできませんが、せめて、少しでも一緒にいる時間を作ってあげるべきだと思うのです」
「だから、ことりがユニットに入って自分が抜けると?」
「……それしか、思いつきませんでした。絵里がことりを好きになってくだされば……そ、それが、その…両想いになるきっかけ、とかに…って、その、そう思って」

これが園田海未と言う人なのだ。
強くて真っ直ぐで友情に熱くて、本当に心根が優しくて。忍耐強くて。


「……絵里を諦めるの?」
「……諦めるという言葉は適切ではないです。彼女のことは大切で、これからも仲間として傍にいる人です。ただ、恋をする相手ではなかった、ということです」
真姫は肩に置いた震える指先を誤魔化したくて、その少しだけ自分より低い海未の腰を抱いて、引き寄せた。

真っ直ぐな髪
鍛え上げられた、引き締まっている体つき
ここ最近、ずっとことりの嘘に踊らされた心

可愛そうな海未
どれ程ことりを大切に思っても
ことりを友達として愛しても

ことりが欲しいものはそうじゃなくて
だからこそ、ことり自身が考え出した嘘なのだろう

そして
ことりが欲しい海未からの恋情は
永遠に海未の心に生まれることはなくなった

「私、絵里が誰を好きなのか知ってるの」
「………そうですか。ことりは…ことりの恋は実りますか?」
「ありえない」

永遠にことりの恋も
絵里の恋も
実ることはない

「………………そう、ですか。だから、真姫はことりがユニットに入ることを反対しているのですね?」
「そうよ」
「………ですが、それは真姫の考えです。どうなるかは本人たちのことなので、私たちは憶測で物事を決める訳にはいきません」

これは憶測なんてものじゃない
絶対に永遠にありえないことなのだ
だけど、そう言いきったって誰にも何の得にもならない

絵里が好きなのは海未だと、真姫が伝えたところで

今更

海未をもっともっと苦しませるだけだ

それでも彼女は
ことりの嘘の恋心を守ろうとするだろう

例え両想いだと分かったとしても
ことりに申し訳ないと、そんなことを想うだろう
ことりを裏切ることなんて、出来るはずもない、と



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Date:2015/09/06
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