【緋彩の瞳】 恋人占い END

緋彩の瞳

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みちる×レイ小説

恋人占い END

「…………………レイ?」




そのわずか1秒にも満たない視線だけで、みちるさんがレイだとすぐにわかってしまうことが、嬉しいって思ってしまう気持ちの方が先だった。
バツの悪い気持は遅れてやってきて、冷や汗が背中を伝っていくのがよくわかる。
「…………知っている人に会わないだろうと思ってたのに」
レイはフェイスベールを外して、暑苦しかったコスプレ衣装の中に風を入れるように、襟元をパタパタさせた。
「…………レイ。何してるの?」
「昨日電話で言ってた、おじいちゃんからお願いされたアルバイト」
「神社のお手伝い……じゃないの?」
みちるさんは瞳を赤くしていた。レイがそうさせているんだということくらいは、嫌と言うほど伝わってくる。
「言えないわよ、……こんなことしてるなんて」
ましてやコスプレまでさせられて。恥ずかしさこの上ない。
「………………レイ、正体がバレなけれずっと私の話を聞いているつもりだったの?」
「……ごめんなさい。だって………怒られると思って…」
本音を聞きたくて、と言う言葉を飲み込んだ。みちるさんがレイをどんなふうに思ってくれているのか、聞きだせるものなら聞いてみたいなんて思ったことの罰があたったんだ。
「……………神社のお仕事って言っていたのにレイがいないから」
「ごめんなさい」
「おじいちゃんも教えてくれなくて……。でも、電話しても出られないところにいる、って言われて」
「おじいちゃんには、絶対誰にも言うなって念を押していたの」
面白がって、みんなが押し掛けるに違いない。こんなコスプレ衣装を見られた日には、目も当てられない。だから、絶対に誰にも言わないという条件だった。
「きっと私、凄く憂鬱な顔をしていたんでしょうね。おじいちゃんが、悩み事があるのなら、よく当たる占い師がいるから、話しを聞いてもらうといいって…ここの場所を教えてくれたの」

おじいちゃん、約束を破ったわけね。

「みちるさん、占いとか信じないタイプだと思っていたから、びっくりしたわ」
「…………びっくりしたっていうのは、私のセリフよ」
「……ごめんなさい」
みちるさんはレイを見つめて、小さくため息を吐いた。
「せっかくお金を払っているのだから、ちゃんと占ってもらえないかしら?私の好きな人は、私のことをどう思っているの?」
「………」
レイは視線をそらして右斜め下に目を向けた。

どう言えばいいのだろう。

みちるさんはお客さんとして聞いて来ていて、レイは占い師として答えた方がいいんだろうか。
「………」
言葉が出なかった。何か気の利いた言葉はないかと探しても、何も生まれてこない。
「………占い師さんでも、その人の気持ちはわからないの?」
「…あの………その……その人は、あなたのことはちゃんと好きです」
「………でも、きっと何か我慢させているのでしょう。私の都合で振り回しているから。私はわかってはいたけれど、きっと……ずっと苛立っていたんだと思うの」
今日1日一緒にいて、レイの気持ちを確かめたかった。みちるさんはそう続けた。それなのにレイが予定を入れてしまい、反故にした挙句に逆切れされて、どうすればいいのか分からなかった、と。
「………たぶん、………寂しいだけ…だと思います」
「寂しいなんて言葉を聞いたことはないわ」
「………困らせるだけだから、我慢しているんだと思います」
みちるさんに視線を戻すと、今度はみちるさんが視線を下に向けていた。

ほら、困らせてしまっている。

「どうしてそんな大事なことを言ってくれないの?」
「……だって………困らせたくない、から」
そんな風にため息をついて、うつむく姿を見たくはないから。
赤く腫らした瞳は伏せられて、だからレイも同じようにうつむくことしかできない。
うつむいた頬に、冷たいみちるさんの掌が触れてきた。見上げると、寂しそうな微笑みがある。
「後、何時間くらいでお仕事終わるの?」
「……まだ、あと2時間」
手元の時計は、3時過ぎを指している。
「そう。終わったらまっすぐ、私のマンションに来られる?」
17時までの縛りがあって、その後はおじいちゃんの知り合いとおじいちゃんと食事をするとか言われていたけれど、無視してもいい。後で怒られたって構わない。
「行けるわ。タクシー飛ばして必ず行くから」
「じゃぁ、ごはんを作って待ってるわ。ゆっくり2人で過ごしましょう」
「………うん」
本当は、あと2時間分のチケットをみちるさんが買ってくれてもいい、なんてちょっとした冗談を言おうとしていた。でも、こんな狭い空間にあと2時間みちるさんを縛るのは悪いし、時間を測っている外のスタッフも流石に不振に想うに違いないだろう。
「占いが当たるのなら、私は私の好きな人を信じていれば大丈夫よね?」
「…………信じてあげて」
レイがみちるさんのことを大好きだと言う気持ちは嘘じゃない。伝えられない困った性格なだけで、みちるさんに何も落ち度はない。
「そう。じゃぁ、信じるわ」
みちるさんの掌に撫でられた頬が熱を持つ。2人の間のタロットカートは何も答えを与えたりはしない。答えはレイの中にしかない。立ち上がったみちるさんは、最後に深呼吸に似たため息を落として、小さく手を振ってブースから姿を消した。


それから2時間、来る客の相談にものすごく真剣にタロット占いをしたレイだった。





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Date:2015/09/16
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