【緋彩の瞳】 ファースト・キス コンツェルト ④

緋彩の瞳

その他×海未小説[ラブライブ!]

ファースト・キス コンツェルト ④

「真姫~~!真姫~~!!どこですか~?!」

部室にお弁当を置いてきて、お腹空いたけれど戻れない。
っていうか暑い。
ダッシュして息を切らしながら、他の部活動でざわつくあちこちを彷徨って、結局1人になれる場所を探していたら音楽室に辿り着いてしまった。クーラーを入れて機械の前で風を受けながらシャツをパタパタと煽る。
ため息も冷たい空気で消されて行って、これからどうしようかなって考えていると、まっすぐに芯のある声がこちらに近づいてきた



海未


どうしよう、隠れなきゃ


慌てふためいてクーラーから離れてピアノの下に潜り込む。何で隠れなきゃいけないのよって自分に突っ込みを入れながらも、海未に会って何を言えばいいのかも思いつかないし、何となく逃げたかった。


「真姫、いますか?」

いません

「真姫~」

返事がないのに、どうして部屋の中に入ってウロウロするのよ。

「あ、真姫」


……
………

真っ直ぐにピアノの下を覗きに来たということは、丸見えだったと言うことだろうか。
今更ながら恥ずかしくなってくる。

「……何よ、海未」
「出てきてください」
「嫌」
「何故ですか」
「嫌だから」
「真姫、ほら」
2本脚しか見えなかったのに、海未が膝を吐いて覗き込んできた。


……
………

このまま見つめ合っていても仕方がない。きっと、行けって誰かに言われたんだと思う。そろそろとピアノの下から出た真姫の頭を海未の手が撫でてきた。
「いい子ですね、真姫」
昨日の凛の様子をすぐに思い出してしまう。思い出してしまう自分に腹が立つ。海未がこういうことを自分じゃない人にもするんだって、そう言うことを一瞬で考えてしまうことが腹立たしい。
「………海未、何の用?」
「お弁当を食べましょう」
「いらないわ」
「せっかくですから」
綺麗に整列されている机の1つにお弁当箱が2つ。真姫と海未のものだ。ここで、2人で食べると言うことなのだろうか。一体誰がそんなことを仕向けたんだろう。こういうの、全部誰かの知恵だとしか思えないし、それもちょっと腹が立つ。
「……誰に言われたの?ニコちゃん?」
「いえ、ことりですが……?」
首をかしげて、どうして?と言いたげな眉。
「………ほんっとに、海未って鈍感で素直ね!」

食べればいいんでしょ!
食べれば!!!

「私は全員に鈍感だと思われているようですね」
「そ、そうよ!」
真姫は自分のお弁当箱のある方に座って、包みを広げた。ママが作ってくれたお弁当。
「あ、待ってください。えっと、交換しましょう」
「………何を交換するの?」
「お弁当です」
微笑んでいるけれど、なんだか用意されたセリフっぽい。
「それは誰に言われたから?」
「ことりが仲直りをするためにそうしろと……あ、言わない方がいいですね」
「うん、そうね。ぜーんぶ言わない方がいいわね」

別に海未なんて好きじゃないし
っていうか、どうしてことりに言われたらハイハイって言うこと聞くわけ?
だいたい、花陽にお弁当を渡したのはどうしてなのかも説明するようにって、絶対言われてるに違いないんだから、まずそれを言えばいいのに

「……あの、怒っているのは私が花陽にお弁当を渡したからですか?」
「べ、べ、べ、別に!怒ってないわ!」
「すみません、怒らせていますね。その、それはわかります」


………

怒っている本当の理由はわからないくせに。何だか馬鹿馬鹿しい。だけど目じりは熱いし、どうして自分が泣いているのかも分からないし。
「泣かせたのも私が悪いのですか?」
「……海未のせいだって言ったら、謝るんでしょ。理由もわからないのに」
「えっと、理由はですね、花陽のダイエットのために、白米を玄米にするようにとおすすめをして、食べたことがないということなので、味わっていただこうと思ったんです」
「そっちじゃないわよ!鈍すぎるわよ!」
そんな事情なんて知るわけないし、っていうかそんなの聞いたら嫉妬した自分の方が馬鹿ってことになる。
いや、最初から自分が悪いことはわかってるけれど。
「えっと……その、あの、真姫はダイエットなんていらないので、作りませんでした」
「別にいいわよ」
そして、やっぱり鈍い。
「………では、せっかくなのでお弁当を交換して食べましょう」

何がどう
“せっかく”なんだか、意味がわからない

「別にいいわよ」
「いえ、食べてください。交換しましょう」
「ことりに言われたからって、別に素直に言うことを聞く必要もないでしょう?」
「いいえ、真姫が食べたいって思っているのなら、食べていただきたいです」


別に
食べたいとか
想ってないけど


「さぁ、どうぞ」
綺麗な微笑みを目の前にすると、要らないと言う言葉なんてもぅ出るはずもなくて。その完璧な笑みには嘘とか義務とかが見えるわけもなくて、言われるがままに受け取ってしまう。

「………ありがとう」
「はい」

ほら、その笑顔
そうやって、無防備にふりまく笑顔

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Date:2015/09/28
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