【緋彩の瞳】 ファースト・キス コンツェルト ⑥

緋彩の瞳

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その他×海未小説[ラブライブ!]

ファースト・キス コンツェルト ⑥

「海未、もう手を放して欲しいんだけど」
「真姫にそっぽ向かれると困ります」
「どうしてよ、もう話は終わったんだからいいでしょ?」
「終わっていませんよ」
「終わったの。私は海未に好きだと言って振られた。だからこれで終わりなの!もういいじゃない。言われなくてもわかるわよ」
「いえ、私は振っていませんよ」
「はいはい、これから振るんでしょ?もうわかったわよ!こういう時はそっとしておくのが一番いいのよ!」

頬に置かれた暖かい優しさを引き剥がすように、両手で払いのけた。

優しさは痛い
無意味な気遣いが痛い

純粋な瞳は好きだけど
真っ直ぐな言葉は
今だけは聞きたくない


「真姫」
「わっ……な、な、な、な、何すんのよ」
「少しだけ、こうしましょう」
「ななななん、なんで?まさか、海未は振った1年生全員にこんなことしてたの?」
払いのけた両手が迷うことなく、ぐっと真姫の身体を抱き寄せて、それから放さないと言わんばかりにきつく力を込められた。何の心の準備もなかったから、なんで抱きしめられているのか、これが園田海未式お別れの挨拶とでもいうのか、もう本気で意味がわからなくて。でも振られたクラスメイト達が、相も変わらず海未のことを好きだ好きだとわめいているのは、これのせいなのか、とか、もういろんなことが頭の中でグルグル回って。

身体が熱い
瞳も熱いし
頬も熱いし


「しませんよ。いえ、私は真姫にお断りをした覚えもありません。ただ、こうやって抱きしめたくなったから、抱きしめただけです」
「何それ……い、意味わかんない」
「そうですね。私もどうして抱きしめたくなったのか、理由がわかりません。ただ、真姫が可愛いなって思いまして」
「いいいい、意味わかんない!」

心臓がドキドキ音を立てて
身体もそのリズムに合わせて震えて
きつく抱きしめられて
真姫の両手はどうしたらいいのかしら、とか変なことを考え始めて

もう何がどうなっているのか
意味がわからなくて


「………海未」
「はい」
「えっと………………好き」
「はい」


……
………

この両腕は、海未の背中を抱いてもいいのかな
どうしたらいいんだろう
どうすればいいんだろう

「……ねぇ、海未…」
「はい」
「………抱きしめてもいい?」
「はい」

心臓がドキドキ音を立てて
指先もそのリズムに合わせて震えて
シャツを掴むように、長い髪を掴むように背中を抱きしめた

「海未」

触れ合う心臓から
違うリズムが聞こえてきて
真姫とは違う心臓が
同じような速さで動いていて

重なればいいのにって思ってしまって

「海未……好き」
「何だか、恥ずかしいです」
「………好き。あの……ごめんなさい」
「謝るのですか?」
「………えっと…じゃぁ…ありがとう?」

っていうか、お礼を言うのは真姫じゃないはずなんだけど
よくわからなくなってきて、なぜかお礼を言ってしまって

「真姫、あと少しだけこうしていてもいいですか?」
「………うん、いい、けど……」
「それと、明日は真姫にお弁当を作ればいいですか?」
「え?」
「あと、真姫がして欲しいことは何ですか?」
「………べ、別に。っていうか、その…今、してもらってるし」
指に絡みついた海未の長い髪。性格と同じように真っ直ぐでサラサラしていて、気持ち良くて。少し癖のある真姫の髪とは大違い。指に絡めてもすぐに真っ直ぐ落ちてゆく。
「そうですか。真姫は抱きしめて欲しかったんですね」
「………いや、えっと………」
違うし、違わないし。何が何だかわからないし。っていうか、お弁当を作って欲しいんじゃなくて、他の人にお弁当を作るのにイラッとしただけで、あぁ、でも別に花陽に作るのがダメとかじゃなくて、えっと……

えっと

えっと

「真姫の心臓、凄くドキドキ鳴ってますね」
「う、海未だって!」
「そうですか?」
「そ、そうよ!」

もう何だかよくわからない。涙は止まらないし、でもなんで泣いているのかわからないし、これだけ抱きしめておいて、振られるとか、嫌だし。

「真姫、まだ泣いていますか」
「別に、な、泣いてない」
「泣かないでください」
背中を撫でてくれるその掌。薄いシャツ越しに感じる暖かさは優しくて、その優しさがもっと涙を生成させようとする。
「真姫、その、私は真姫が好きですよ。ですので、少し考える時間をください。知らない人に告白されることと、真姫に好きだと言ってもらうことは、全然違います。ですので、真剣に考えます」
正直、海未はそう言うことを言うかもしれないっていうことを考えたことは何度もある。たとえば真剣に告白をしたならば、相手が名前も知らない1年生じゃない場合、海未は時間が欲しいって言うんじゃないか、って。

でも
真姫の中ではそれでも結局、海未は断わるんだろうという結論を出している。

「……時間、あげてもいいわ。でも、その間待ってるコッチはどうなるのよ」
「え?」
「同じ結論なら、さっさと振ればいいじゃない」
「えっと……その、お断りするつもりはありません、が」
「…………え?」
「え?」
「え?」


……
………

え?

え?


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Date:2015/09/28
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