【緋彩の瞳】 ファースト・キス コンツェルト ⑧

緋彩の瞳

その他×海未小説[ラブライブ!]

ファースト・キス コンツェルト ⑧

「………遅かったね、2人とも」
真っ赤な顔をした海未ちゃんと真姫ちゃんが手を繋いで部室に戻ってきたのは、お弁当も食べ終わって、午後の練習が始まってから1時間経ったくらい。放っておくかどうか、悩んだ結果、ことりだけが衣装を作るついでに部室に残ることなった。ちゃんと謝ったんだと思うけれど、何かすごくいい感じ、っていうことでいいのか、この真っ赤な2人の間に何があったんだろう。
「べ、べ、べ、べ、べ、別に」
真姫ちゃん、真っ赤な顔でずっと指先で髪いじってる。あと、恋人繫ぎになってるし。
「そうです、ことり。な、何でもありません。キスとかしてません!」
「え?キス?……え~~!!キス?!!」
「海未!なんでいきなりそう言うこと言うのよ!嘘吐けないなら声出さないでって、さっき言ったばかりじゃないの!素直すぎるのよ!」
「あっ!あ~~!わ、忘れてください、ことり!今のことは、忘れてください!」

ちゃんと真姫ちゃんに謝ってって言ったけれど
なんでキスまでしてるんだろう
流石にことりもそこまで行きつくというのは、想像できていなかった
ビックニュースっていうか、どうしよう、2時間もしない間に2人の間で告白タイムと初キッスをしてしまうなんて、何だか凄くありえない展開を、ありえない2人がしてる。

「ほぇ~~~~。海未ちゃんと真姫ちゃんは、こ、恋人になったの?」
「わ~~~!!!!そ、それはそのですねっ」
「わ~~~!!!!って、海未は黙ってて!海未、わかりやすいんだからお願いだから、黙ってて!」

同じ仕草で慌てふためいた後、真姫ちゃんは湯気が立つような勢いで、海未ちゃんを怒っている。真姫ちゃんだけでも十分に伝わってくる。どう反応したらいいんだろう。

「えっと……うん、わかった。黙っておいたらいいの?」
すぐばれると思う。っていうか、隠そうとしていること自体が無駄なことなのに。というか、どういう経緯でキスまで行ったのか、ちゃんと説明してもらいたい。
「………あの、ことり。私はまず、真姫のご両親にご挨拶をした方が」
「しなくていいってさっきも言ったでしょ!」
「で、ですが、やはりきちんとしなければ」
「だから、いらないの!親は関係ないって」
「では、部長のニコにご報告とか」
「それは一番しなくていい人物だから!ニコちゃん関係ないから!」
「……えっと、では、どうすれば」
「だから、どうもしなくてもいいってば。もぅ~!!!」
ことりに迫ってくる海未ちゃんと、海未ちゃんを引っ張る真姫ちゃん。

あ、うん。

状況はなんとなくわかった。
取りあえずどういう流れかはわからないけれど、付き合うって言うことになったのと、キスまでしちゃったのと、あと海未ちゃんがパニックになっているっていうことも。

「海未ちゃん、ちょっと落ち着いて。深呼吸して欲しいな」
ニッコリ笑って見せると、海未ちゃんの血走った表情が固まった。
「は、はいっ」

す~~は~~~

繋がれた手が離されて、真姫ちゃんがちょっと残念そうな顔してるけれど、海未ちゃんはそう言うのは気が付く人じゃない。

「それで、えっと。真姫ちゃんの親に挨拶に行かなくても大丈夫だよ」
「よろしいのですか?」
「うん、むしろ行っちゃダメ」
「……わかりました」
真姫ちゃんが、どうしてことりの言うことは素直なのよ!って怒ってる。
可愛いなぁ、真姫ちゃん。
「あと、真姫ちゃんとお付き合いするの?」
「は、はい。えっと、キスされてしまいましたので、責任を取っていただきたいと」


……
………

「……そ……そっかぁ。じゃぁ、海未ちゃん、幸せにしてもらわないとね」
「はい、幸せにしていただきます」
「……」
「……」
「……」

真姫ちゃんは真っ赤な顔のまま
口をパクパクしているだけ

もう、言いたいことがたくさんありすぎるんだろうなぁ
可愛いなぁ真姫ちゃん
あと、キスを“されてしまった”海未ちゃんも


「…………うん。詳しい事情は分からないけれど、真姫ちゃん、よかったね」
「よ、よ、よかったって……こんなの…嬉しくない」
よくないってはっきり言わないし、恋人繫ぎでここまで来たんだろうから、本気で困ってるわけでもないんだろうって言うのはわかる。
「大丈夫だよ、海未ちゃんは純粋だし単純だし素直だから、あっという間に真姫ちゃんゾッコンになるよ」
「海未は恋とか付き合うなんて、全然わかってないの。どうせ、落ち着きを取り戻したら、無かったことにするわよ」
真姫ちゃん、嬉しいのに信じられないって顔。
泣いた後みたいな瞳が、ちょっと不安を含んでいる。
「そんなことないよ。大丈夫だよ。海未ちゃん、ちゃんと真姫ちゃんのことを大事にするよ。っていうか、真姫ちゃんが責任取らないといけないんでしょ?」
「……うっ…」

キスしてしまったのは真姫ちゃんらしいし、海未ちゃんは責任を取ってもらう宣言をしているので、たぶん、自分から積極的にラブラブしていくと言うことはないと思う。それは真姫ちゃんの望む付き合い方ではないかもしれない。でも、海未ちゃんはそもそも、そう言うタイプじゃないっていうのは、流石にわかっていると思う。

「だから、真姫ちゃんが教えてあげたらいいよ」
「…………も、もちろん。ことりや絵里が海未に余計なことを吹き込むくらいなら、私が一から海未に教えるわよ。その“責任”あるわけ、だし」
可愛いなぁ、真姫ちゃん。髪をいじりながらそっぽ向いて。あぁ、海未ちゃんも可愛いって思って真姫ちゃんの顔を覗き込もうとしてる。
「こ、コッチ見ないでよね!」
「あ、はい、すみません」
天井を見上げる赤い顔の海未ちゃんと、髪をクルクル指でいじりながら真っ赤な顔をしている真姫ちゃん。

世界は今日も平和です。



「暑いにゃ~!!!」
休憩に入ったらしいメンバーが、勢いよく扉を開けた。
「あ、真姫ちゃんと海未ちゃんだ。もう仲直りしたにゃ~」
「真姫ちゃん!!ごめんなさいごめんなさい、花陽はもう二度と海未ちゃんのお弁当を食べません。許してください!」
流れ込んできた仲間たちの輪から、凛と花陽が飛び出して真姫にしがみついた。
「……お弁当とか、別に怒ってないし」
「本当?!美味しかったよね~!あ、海未ちゃんありがとう!白米の方がやっぱりおいしいけれど、あれはまた、あれで美味しくて、幸せだったよ!」
真姫に同意を求めた花陽は、直ぐに海未の手を両手で握りしめてお礼を言っている。
「そうですか?それはよかったですね。では、3食のうちの1食は玄米にしてみるといいですよ。よければまた……」
海未は結局こういう人。まったく反省しない。いや、するわけないし。分かっている。
「いや、ううん、作ってくれなくていいよ。真姫ちゃんに作ってあげて!!!!」
物凄く焦って首を振る花陽を不思議そうに見つめる、そのすっとぼけた顔。
誰にでも優しくて、純粋で素直で鈍感。

あと、人の恋する気持ちを分からない。

「真姫、あんたが好きな人はこういう人だってば。悪気ないタラシだから、ちゃんと首輪を付けておいた方がいいと思うわよ?」
「………ふん」
きつく海未を睨んでも、睨まれていることに気が付いていない。足でも踏んづけてやろうかと思っていたら、ニヤニヤしたニコちゃんが視界に入ってきた。
「ちょっと前にさ、1年生10人くらいが海未を追いかけてたけど、あんたその人たちに殺されないといいわね」
「………ふん」
ニヤニヤしているのはニコちゃんだけじゃない。希も穂乃果も。あからさまにわざと知らないフリをしている絵里は、なぜか顔が赤い。でも、チラチラ海未と真姫を交互に見ている。
腹立たしい。
「何よみんな!聞きたいことがあれば聞けばいいでしょ!!!」


……
………
言ったのは真姫なのに、なぜかみんな一斉に海未を囲んでしまう。

あ、そっちはダメ

「海未ちゃん!」
「海未!ねぇ、全部話して!」
「なぁなぁ、海未ちゃん、一から再現して教えてくれへん?!」
「海未、私は別に人の恋路に口は出さないけれど、その、仲間として、一応は知っておくべきだと思うのよ」
「海未ちゃん、真姫ちゃんを泣かせたにゃ~~?」
「は、白米と玄米はどれくらいカロリーが違いますか?!」
「ねぇ、どんなファースト・キスだった?!」



……
………




「「「「「「ファースト・キス?!!!!!!!!!!」」」」」」
「あ、ごめん。ことり、口を滑らせちゃった」





その後、ものすごく大変な目に遭った。




関連記事

*    *    *

Information

Date:2015/09/28
Trackback:0
Comment:0

Comment

コメントの投稿








 ブログ管理者以外には秘密にする

Trackback

TrackbackUrl:http://fireredfantasia.blog.fc2.com/tb.php/637-dae86128
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)