【緋彩の瞳】 8minutes Love (R18)

緋彩の瞳

美奈子×レイ小説

8minutes Love (R18)

クーラーは苦手。高台にある神社は寝苦しくなるほどの気温だとレイは感じたこともあまりないし、それでも湿度が高かったりすれば、扇風機をかけたりして暑さをしのいでいた。
でもこの2年ほど、夏の夜にクーラーの室外機が、ずっと動いているのが普通になってきている。


「あっち~~」
「そう?」
「暑いわよ、夏なんだから」
「だから、あんたがうるさいからクーラー付けているでしょう?」
28度に設定されてちょうどいい温度。それでも美奈は勝手にリモコンの温度をピッピと下げてしまう。レイがしっかりと蒲団をかぶって眠る横で、キャミソール1枚でも風邪を引く気配すらないのだから、よほどの馬鹿ということだ、
生まれながらに健康というのも、1つの才能なのかもしれないけれど、そう言うことを本人は自覚しているはずもなく、当然ながら、限度っていうのもわからない馬鹿で。
「暑いわ、もう」
胡坐をかいてキャミソールの中に風を送りながら、長い髪を鬱陶しいと言わんばかりに首を振って後ろへと追いやる。リモコンを奪い返して温度をあげてやりたいけれど、どうせそれも無駄な抵抗だから、抗議の視線すら送ることもしない。
「電気消してもいい?」
「うん」
サイドライトを付けて、部屋の明かりを消した。夏の間はクーラーを付けていないレイの部屋ではなくて、客間に蒲団を敷くようにしている。

「そう言えば、レイちゃん、今年はまだ、夏バテしてないよね」
「あぁ、そうね」
枕に頭を置くよりも早く、美奈の両の手はレイの腰を抱いていた。髪を掻きあげて、その腕が引き寄せる力に抵抗をせずに、ただ、委ねるだけ。耳の裏に感じる吐息に覚えるのは、快感ではなくて安らぎ。
「ねぇ、週末からキャンプに行かない?」
「キャンプ?先週、まこちゃんたちと海に行ったのに?」
「いや、レイちゃんはビーチにさえ来なかったし。ずっと別荘の中にいたじゃない」
水着も持って行かなかった。のんびりと持ち込んだ本を読み続けて、飽きたら寝て、それを繰り返した、本当に充実した時間の過ごし方だった。
「キャンプって、何するのよ」
「バーベキューとか、肝試しとか」
シャツの中に入ってきた暖かい右手がお腹をなぞり、這うように上がろうとする。腕を少し開いたら、手のひらが乳房を包み込んだ。
「別に、私は肝試しなんてしなくていいけど」
「そうね、本物見られちゃたまらないし」
「ビビらせるっていう意味の肝試しに、加勢して欲しいなら協力するわよ」
胸の頂を指の腹で愛撫しながらも、美奈の話声はずっと耳元から離れることはない。背を向けたまま、こうやって愛撫されるのが何となく落ち着く。
楽しそうな未来のことを話す声と、指先から貼り付けるように感じる愛撫と。
見つめ合うこともほとんどしない。
「……いや、ほたるも来るんだからさ」
「え?そうなの?」
「大きいなお姉さんたちがね、ほたるをキャンプに連れて行きたいから、一緒においでって」
「あぁ……何、お守りさせたいんじゃないの?」
「そうかもね。でもまぁ、タダなんだからいいんじゃない?」
キャンプということは、別荘じゃなくてそういうアウトドアっぽい場所なのだろうし、川遊びだとか、火を起こしてバーベキューとか、花火とか。そう言うことを楽しむんだろう。
「それ、みちるは行くって言ってるの?」
「さぁ?私ははるかさんに誘われたんだけど、そりゃ行くんじゃない?」
「どうかしらね。テント張るようなところなら、あの人は来ないと思うわよ」
「お嬢様は、アウトドアはお気に召さないって言うことね」
避暑地でもない場所なら、みちるは来ないだろう。せっかくだからと、ここぞとばかりに1人でのんびりする方を選ぶはずだ。海王みちるにキャンプは無理に決まっている。秋から始まるコンサートのこともあるのだから、何一つ手伝わせることもできないだろうし、いるだけでレイからしてみたら迷惑この上ない存在だ。みちるはレイが行くことも、危ないから行かない方がいいって言うに違いない。
「あの人の場合はね」
「レイちゃんは行くでしょ?」
「まぁ……暇だし」
暑いって言いながらも、美奈はレイの足の間に右足をぐっと差し込んでくる。乳房を撫でていた右手がお腹をくすぐり、迷いなくズボンの中に入ってくる。抵抗をしようと言う気はおこらない。美奈の右足がすでにその行為を妨害しているのだから。遠慮なく下着の中に入れられた右手は、その指先で愛しいと身体にスペルを刻み込もうとしてくる。
「木を擦って火を起こすのを手伝ってもらわないと」
「ライターでいいでしょ」
「せっかくのキャンプなんだから」
「お断り。そういうの、私は遠くから見ているから」
「言うと思った」
欲しいと願う想いは、声に出さなくても許される。愛していると綴るその想いは、勝手に身体に沁み込んでくるのだから。左手がズボンを引っ張るので腰を浮かせた。するりと脱がされた下着とズボン。美奈も当然のように着ているものを脱ぎ捨ててしまう。
適当に髪を掻きあげて一つにした美奈は、膝をつくと迷うことなく、脚の付け根に顔を埋めてきた。口づけの感触を受けて、それだけでふわりと身体が浮きそうになった。
「ん……」
美奈の愛は迷いを見せることがない。真っ直ぐにレイを愛し、真っ直ぐにレイを導き、迷わせることもない。軽く腰が浮きそうになると、ぐっと抑え込んで、まだ駄目だと許してもくれない。
「……あっ…んっ」
「ここがいいんでしょ」
奥へと響かせるその愛は、ゆらゆらと泳ぐこともない。シーツを握りしめるだけしかできなくて。何も答えられないのは、抗いたいからじゃなくて。美奈は否定するようなことを聞いてこないから。
「あっ」
勢いに任せて注がれる愛を抵抗できずに受ける。どれほど身体が跳ね上がってもそれでも、ただ揺るぎのない愛がレイの意識を確実に奪おうとしてくる。2度3度程度で足らないのは、美奈の方じゃないのだろう。

その愛が欲しいと飢えているのは。
きっと。

「あ……美奈っ、美奈っ……」
眩しい光に包まれて、このまま死んでしまったらどうするのだろう。
いつもそんなことを考えながら、それはそれでいいかもしれないと思わずにいられない。
「キャンプ場にいったら、流石にエッチできないね」
「……するわけ、ないでしょ」
「だよね」
手の甲を舐め、じわりと額に汗を掻いた美奈が無遠慮にレイの身体に乗ってくる。それを受け止めて、高くなった体温を感じるように両手できつく抱いた。


美奈のことが、好き。


「暑い」
「……私はちょうどいい」
「いつも思うんだけど、レイちゃんより私の方が疲れてると思うのよね」
鼻を鎖骨に押し当ててくるから、髪留めを外してその頬をそっと撫でた。
満足げに笑うその瞳の輝きは、これから迎える夢の世界でも、傍にいてくれるだろうと信じるには十分だ。
「勝手にしているくせに」
「欲しがるくせに」
「始めたのは美奈」
「まぁ、そうだけどさ」
クーラーの温度を1度だけ下げて、タイマーをセットした。
寝相の悪い美奈は、こうやってレイがきつく抱きとめていても、勝手に横に転がって、いつの間にか敷蒲団からはみ出していく。レイがクーラーの寒さに小さく身体を震わせて、脱がされたものを着て、しっかりと蒲団に包まっても、彼女は満足げな寝息を立てたままに違いないだろう。

だからそれまでは。

「このまま寝ちゃっていい?」
「どうぞ」

美奈の我儘を受け入れて、重たいその愛を両手できつく抱きしめた。





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Date:2015/10/25
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