【緋彩の瞳】 チャレンジ140 まとめ⑭

緋彩の瞳

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チャレンジ140 まとめ⑭

「海未、パンツの日って何するか知ってる?」
「……知りたくもないです」
「好きな人にパンツを見せると、ずっと2人はしあわせに…」
「じゃぁ、見せてください」
「……え」
「どうしたのですか、絵里」
「いや、海未が私に」
「見せてください。ずっと2人は幸せに、ですよね?」
一枚上手



「何をしているんですか!」
「傘、どこかでなくしちゃった」
傘の奥から覗く瞳がじっと絵里を捉えている
「入れて、海未」
「どうして濡れる前に」
「その表情が見たかったから」
怒って
困って
息を飲んで言葉を選ぶ間の震えるまつ毛
「……ズルいです」
「知ってるわ」
「…ズルいです」



「海未、一緒に帰りましょう。いえ、偶然ねって、さりげなく隣に並ぶ。いやいや、お疲れ様って声をかけたらきっと足を止めてくれる。うんそれ、それにしたらいいわ」
「……えりち、信号赤やから、走らないと海未ちゃんに追いつかんし、全部無理やと思うで」
「…聞こえてた?」
「……大丈夫?」



海未を好きだと言う想いは
すべてここに置いていこう
『海未のために』
そう、言い訳をして
好きと告げなければ、彼女の笑みだけを心に留めておける
驚く顔も悲しませる顔も、海未との最後の思い出なんて欲しくはない
だから
楽しい仲間の想い出だけで心を満たし
『好き』をおいで卒業するの



メンバーお揃いのシャツが1枚落ちていた。
誰のものだろう。
「自分のものに名前を書かないから、こういうことになるんです」
海未がため息を吐く
「海未は名前を書いているの?」
「当然です、ちゃんと書きます」
絵里は自分の首筋の赤い印を指差して見せる
「なるほど確かにね」
真っ赤な顔



卒業する私は海未から何かをもらえない。
「あ、絵里」
「どうしたの?探し物?」
「ブレザーのボタンが取れたみたいで」
「卒業するのは海未じゃないのにね」
笑ってごまかす。
「あぁ、確かに第2ボタンですね」
この恋を卒業するために奪った それは
未練がましく この手に握りしめたまま



「……レイちゃん」
「何、亜美ちゃん」
想いを口にすることはたやすい
それでも躊躇するのは
この身体が楽になるその重みを ただ、
この人に預けてしまうからだ
そして永遠に微笑んでくれなくなることを知っている
「何でもないわ」
「……そう?」
躊躇い想いを飲み込む間は 傍にいられる



「あ、可愛い」
日向ぼっこしている野良猫を見つけて、亜美ちゃんは立ち止まった。
そっと近づいて腰を下ろし、愛でるように二匹の猫を眺めてしまう。
「可愛いわね」
「別に」
「……レイちゃん?」
同意して微笑んでも、彼女の興味は私へと戻ってくることはない。
馬鹿馬鹿しいって思うけど。



「亜美ちゃん」
「あ、待って。髪が濡れてるから」
満面の笑みで近づいてきたレイちゃんは、プールから上がったばかりの亜美の髪をそっと優しく撫でてきた。
「塩素の匂い」
「そうね」
「亜美ちゃんの匂いって感じよね」
「塩素が?」
「なんとなく、よ」
濡れた髪に残る手の温もりが心地いい



「みちるさん、何してるの?」
赤い紐をレイの左薬指にきつく結び付けた彼女は
裸身のままレイの身体を跨いでいる
「ちょっとね」
余っている紐をみちるさんは自分の左薬指にきつく結んでいた。
「……そんなことしなくても」
「私を愛してる?」
「えぇ」
「レイってズルい子よね」



『ねぇ、キスして』
耳元で囁いて、艶やかな黒髪でこの腕を撫でてくる。
その願いに応えようと、その髪を指に絡めたところで目が覚めた。
「ねぇ、レイ」
「ん?」
「キスをねだって」
「え?…ねだって?」
あんなセリフをレイは口にする子ではない。
だから続きはみちるが演出してあげなきゃ。



彼女の濡れた髪が太ももの内側を這う。
冷たくてチリチリと痛い。
痛いと感じているのは身体のどの部分なのかわからない。
痛いと伝えたいのか、もっと欲しいとねだりたいのか。
ただ、その濡れたままの髪を指に絡めた。
「欲しいのでしょう?」
「……みちるさん」
らしくない彼女の突然の愛にただ……



美奈と亜美
「レイちゃんが歯医者行けってうるさくて」
「虫歯?」 「ばい菌呼ばわりするの」
「移るものなのよ、虫歯って」
「え~、どうやって?」
「キスよ」
「はっ。そうか、つまりレイちゃんはこの私とキスしまくりたいから!何よヤダもぅ、ツンデレ。あぁんもう☆」
「……幸せそうね」



「美奈、どうしたのそのピアス?」
「昨日買ったの。へぇ、気が付くのね」
「そんなの見たらわかるわよ」
「私のことなんでもわかる?」
「わかるわけないでしょ」
「私はレイちゃんのこと、何でもわかるよ?」
「は?」
美奈の両手が頬を包み込み、見つめられると
「ほら、キスしたがってる」



「レイちゃん、私を褒めて!」
「は?」
「褒めてよ!」
「褒める要素が見当たらないんだけど」
「レイちゃんは褒めるものがない人と付き合ってるわけ」
「説明が難しいだけよ」
褒めると言うよりも縋るものに想えて 素直にあなたの身体を包み込む柔らかい愛、だなんて 言えるわけもなくて。



「美奈子」
ヘッドフォンで音楽を聴いているアイドルは、呼んでも気づかない
「あなた何しに来たのよ」
まったく。相変わらず自分勝手。
「何よ、私に会いたいなんて言ってたくせに馬鹿」
「…馬鹿って何よ」
「聞こえていたの?」
「キスしたいって素直に言えばいいのに、馬鹿」
馬鹿馬鹿馬鹿



「一度くらいは聞かせてよ」
「何を」
「言ってよ。私のこと愛してるって」
「嫌」
「私のこと、愛してないの?」
その言葉を口にして満足した微笑みを見せられたら、きっとこの愛に溺れてしまう。
全てを捧げ、全てを求めなければ生きて行けないほどに。
「どうかしらね」
言葉では足りない位



「いった~!」
うさぎが盛大に転んでひざを擦りむいた
呆れるレイの隣にいた美奈子がいつものように駆け出す
「もう、ドジね~うさぎちゃん。ほら、イタイのイタイの飛んでけ~!」
プリンセスに差し伸べられる手
冗談で和らぐ空気
レイの心の隅にまた傷を作り
彼女はそれに気づくこともない



「この王国はずっと、平和であり続けるわね」
「えぇ」
「私たちも戦士と言われても、剣を誰かに向けることなんて、これからもないだろうし」
「えぇ」
「ずっと、プリンセスの傍で笑顔を見守っていられる」
「……そうね」
「マーズ?」
「……きっと、大丈夫よ。信じていれば」
……きっと




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Date:2016/01/13
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